FIG Newsletter 16th Cycle No.3
FIGのNewsletter No.3が発行されました。
日本体操協会公式サイトにおいては、Newsletter発行のわずか6日後に『体操競技男子 FIGニュースレター(NO.3)発行に伴う国内適用について』として翻訳された情報を公開しています。協会の対応も本当に早くなりました。
というわけで遅ればせながら、当ブログとしても中身の確認をしておきます。2025年10月にFIG公式サイトにてニュースとして掲載された、終末技の要求グループ点への上限設定という重要な内容が含まれています。なお「⇒」以降は私のコメント(戯言)です。
一般条項 General
● 終末技が安全上の懸念を生じさせるレベルにまで進歩していることが明らかになった。FIG理事会はあん馬、つり輪、平行棒、鉄棒の終末技グループのグループ点に最大0.5の上限を設けることを承認した。具体的には要求グループ点は終末技の価値点と同じであるが、最大値は0.5となる(A=0.1、B=0.2、C=0.3、D=0.4、E=0.5、F以上=0.5)。他の全ての要求グループ点と同調することができ、高難度の終末技を実施することで「二重の価値」(終末技の価値点と不釣り合いに高い要素グループ点の両方を得ること)が得られることはなくなる。
⇒せっかく高難度の終末技が多く見られるようになっていたので、見る側としては残念な変更です。高難度終末技の出現頻度にどのような影響を及ぼすか注目です。
● 各大陸の技術委員会及びコーチ陣との協議を経て、FIG男子技術委員会は終末技の変更がジュニアの演技の発展に及ぼす影響について検討を行った。その結果、選手の安全確保のため、ジュニア選手に対して全ての3回宙返り技にレッドドット(禁止技)を付与することを決定した。これには全ての種目の終末技とゆかにおける全ての宙返り技が含まれる。これらは禁止技となる。
● 世界ジュニア選手権では全843演技のうち108演技に着地加点が与えられた。着地加点を要求する問合せが22演技であり、10演技の得点が変更された。着地加点の判定において、選手がバランスを保つために踵またはつま先を上げた場合は、着地加点は与えられない。
● 着地時に転倒した場合、歩く、低い着地、転倒そのものの減点は1.0が上限となる。準備不足、着地時の足の開きなど、その他の減点は別途適用される。
● 前方屈身2回宙返りが減点なく評価されるためには2回目の宙返り中に背中がゆか面と平行になるまで膝が真っすぐに伸びた状態を維持する必要がある。膝の曲がりは45°が上限となる。この技の詳細な認定基準は富士通ジャッジング・サポート・システム(JSS)で定義されている。こちらのページを参照のこと。
ゆか FX
● 全てのコーナーへの移動は異なるものでなくてはならない。そうでない場合はD審判による減点(1回のみ)が適用される。ターン、ロール、脚を伸ばした状態または曲げた状態でのジャンプ、片膝立ちなどのバリエーションは一つ一つのコーナー移動を構成する要素となり得る。以下の動画には、認められる移動の例が示されている。それ以外のバリエーションも認められる場合がある。
● 1回ひねりまたは1/2ひねりを伴う鹿ジャンプの全てのバリエーションは、ジャンプ/リープの要求を満たせなくなる。
⇒かなり重要な項目がしれっと書かれています。ついこの間、構成要求技に追加されたばかりだった鹿ジャンプ1回ひねりでは要求を満たせなくなります。まぁ仕方ない気もしますが、もっとよく検討してから当初の通達をしてほしいものです。
あん馬 PH
● 倒立下りの実施において、選手が倒立を経過し、アップグレード(移動、ひねり)中に大きな過失をしてしまった場合、アップグレードによる難度アップは認められないが、終末技の難度は倒立まで認められる。
● 2回以上の旋回を伴う複雑な技は、倒立と組合せて難度を上げることはできない。フロップやコンバインに倒立を組合せた場合は2つの技として扱われる。
例:DSA倒立下り=C
ベルトンチェリ倒立下り=D
一把手上旋回+DSA倒立下り=B+C
SSLLSから倒立下り=E+C
旋回1回ひねりから倒立下り=2技
ピネーロから倒立下り=2技
⇒いろいろな練習動画が散見されるので釘を刺したような感じです。
つり輪 SR
● 手指を伸ばす輪の握りにおいて、手首が輪の上のある場合は「深い握り」として減点される可能性がある。
⇒手首を曲げていなくても輪の上にあれば減点の可能性があるということになります。

平行棒 PB
● 「演技開始時にジャンプして脚前挙支持」、「腕支持からのけ上がり支持」は構成上の欠点として0.3の減点となる。
⇒動画を見る方が早いと思います。「腕支持からのけ上がり支持」について協会の公式訳は「腕支持から跳ね起き支持」となっています。
● 棒下宙返り支持は身体が水平かそれ以上の角度で完了する必要がある。水平から45°までの場合は小欠点、45°を超える場合は中欠点となる。
⇒動画を見る方が早いと思います。
● バブサーやモイ系の技で、選手がゆか面に当たった場合は不認定となる。
⇒技の後の懸垂でゆかに当たった場合は、バブサーやモイそのものも不認定になります。
● ヒーリー系の動きにつながる技(マクーツなど)は、ヒーリーに至るまでの手の握りが1回の場合に限り1技と見なされる。ヒーリーに至るまでに手の握りが2回ある場合は、2技と見なされる。
⇒動画を見る方が早いと思います。いろいろな練習動画が散見されるので釘を刺したような感じです。
鉄棒 HB
● ヴィンクラー及びポゴレロフ(II-42)は、足がバーに最も近づくまで身体を真っすぐに伸ばした姿勢で実施しなければならない。足がバーから遠ざかる前に身体が45°を超えて曲がっている場合はD難度となり、「あいまいな姿勢」として0.3の減点となる。
⇒動画を見て分かるとおり、空中で宙返りをして頭が上を向くまでのほぼ全過程で伸身を維持しなければならないことになります。そうでない場合は謎のD難度で判定されるようです。
● 手放し技は、選手が落下する前に明確な懸垂局面が示された場合には難度を得ることができる。明確な懸垂とは、両手でバーを掴み垂直方向にコントロールされたスイングを示すことである。片手でバーを掴み、止まることなく演技を継続できた場合も手放し技は認定される。手放し技では両手を同時にバーから放さなければならない。片手ずつ放した場合は0.1の減点が適用される。
⇒動画を見ると、両手同時離手はやはりヴィンクラー/ポゴレロフを対象としていることが分かります。G難度になってよく見られるようになったヴィンクラー/ポゴレロフにはかなり厳しいチェックが入ることになりそうです。
● 後方とび車輪1回ひねり(クースト)から直接後方片手車輪は、後方とび車輪1回ひねりが両手で完了していないため、認められない。
⇒動画でも出てきますが、最近ではフレデリック・リチャード(アメリカ)が実施していました。技の認定基準の関係でしょうか。JSSの影がちらつきます。かつてヴィタリー・シェルボ(ベラルーシ)も実施していて、個人的にはかなり好きな技捌きだったのでちょっと残念です。
全ての通達は2026年1月1日から適用されます。国内においても同様とのことです。
新技が2技掲載されています。
あん馬 PH
マヌキャン 発表者:MANUKYAN Hamlet (ARM)
・3/4ショーン直接3/4ベズゴ
・F難度
・2025年ワールドチャレンジカップ・パリ大会で発表

当ブログではこちらの記事で演技を紹介しました。Newsletterでは「ベルトンチェリからダフチャン」となっていますが、練習動画を紹介したこちらの記事でも指摘しているとおり、後半はダフチャンと表記するのはちょっと違う気がします。
平行棒 PB
パトロン2 発表者:PATRON Stefano (ITA)
・後ろ振りとび3/4逆ひねり単棒倒立(とび動作が3/4に満たない)
・C難度
・2025年種目別ワールドカップ・コトブス大会で発表

発表時の演技では単棒倒立から3/4ヒーリーにつないでいたようです。今回の通達で手の握りが2回あるため2技に分割された上で、名前が付きました。
この記事へのコメント
コフトゥン
そしてこの変更で鉄棒のベーレや平行棒の3回宙返り降りも遠くなってしまいましたね。
Ka.Ki.