2025年版採点規則(修正版)における主な変更点(あん馬)

2025-2028 Code of Points Ver.1.1 (PH)


2025年版採点規則における主な変更点(あん馬)です。

7月に入り、2025年版採点規則が修正版にアップデートされました。修正箇所について赤字で記載します。

これまでにNewsletterや『男子体操競技情報』ですでに通達されている内容や新技については記載しませんので注意してください。なお「⇒」以降は私のコメント(戯言)です。

解釈の間違いや見落としがあるかもしれません。競技関係者の方は原本を直接確認するか、日本体操協会の公式な情報をお待ちください。

一般条項 General
ゆか FX
あん馬 PH
つり輪 SR
跳馬 VT
平行棒 PB
鉄棒 HB


あん馬 PH

● 技のグループ:変更なし(p.41)

● 他に記載のない限り、全ての1/2転向(下向き転向、シュテクリ、下向き逆移動)は同価値である。→削除(p.41)

● ロシアン転向移動技は移動またはロシアン転向が余分な手を突いたりして中断されたときには技が終了したとみなされる。(p.41)

● ウ・グォニアンは片手または両手の支持があん部馬背に達するまでに360°の転向を完了していなければならない。(p.42)
⇒ウ・グォニアンはあん部馬背での両手着手が要件になるようです。

● シュピンデルを伴う全ての移動技は、適切な位置で旋回してから開始されなければならない。(p.42)

● 一把手上の全ての交差倒立技は、支持の手または把手を換えなければならない。また(正交差ひねり逆交差入れのように)脚も入れ換えなくてはならない。(p.43)
⇒以前にセア倒立に思うで書いた8つのパターンのセア倒立は、ついにパターン4とパターン8のみが残ることになりました。

● フロップを開脚旋回で実施すると難度が一段階格上げされる。→削除(p.43)

● フロップやコンバインの後には、旋回倒立技を除き、一把手上の技を続けて実施することはできない。(p.43)
⇒特に新しい事項ではないと思います。


● ショーン系及びベズゴ系の技はフロップやコンバイン、倒立技を含め一演技中2回まで。(p.45)
⇒これまではショーン系2回まで、ベズゴ系2回まででした。

● 開脚旋回で実施される技は一演技中4回まで(終末技は含まない)。(p.45)
⇒演技の半分は閉脚旋回で実施されなければなりません。

● ブスナリ系の技は一演技中1回まで。最も難度の高い技がカウントされる。(p.45)

● 以下のi~iiiの小グループに属する移動技は一演技中それぞれ1回まで。最も難度の高い技がカウントされる。(p.45)

i. 3/3部分ロシアン転向移動技
・III-64 馬端横向き支持からロシアン630°(以上)転向移動(3/3部分)
・III-65 ロシアン720°(以上)転向移動(3/3部分)(ウ・グォニアン)
・III-70 ロシアン360°転向移動(3/3部分)(ロス)

ii. トン・フェイ系の移動技
・III-57 下向き正転向移動(把手間に着手なしで逆馬端へ)(横向き~横向き、横向き~縦向き、縦向き~横向き)
・III-58 下向き正転向移動(馬端~馬端、把手または把手間に着手なしで)(横向き~横向き、横向き~縦向き、縦向き~横向き、縦向き~縦向き)(トン・フェイ)
・III-59 両把手を越えてロシアン360°(540°)正転向(ヴァメン)

iii. ニン・レイエス系の移動技
・III-22 縦向き1/3前移動直ちに縦向き2/3移動ひねり(ニン・レイエス)
・III-23 両把手を越えて縦向き3/3前移動直ちに1/2ひねり(ニン・レイエス2)

ex.
・III-22 ニン・レイエス+ III-23 ニン・レイエス2→繰返し+E難度
・III-22 ニン・レイエス+ III-23 ケイハ4→D難度+E難度
・III-22 ティトフ+ III-23 ニン・レイエス2→D難度+E難度
⇒同一枠の技でも対応が変わることになります。

● 減点(p.46)
・馬体の3部分を使用しない:中欠点→削除
・倒立において力を使う:小欠点または中欠点または大欠点(不認定)
・倒立での停滞や停止:小欠点または中欠点または大欠点(不認定)

● 難度表(pp.47-58)

グループI
・正交差倒立1/4ひねり一把手上倒立経過、下ろして開脚支持(リ・ニン)
→正交差倒立1/4ひねり一把手上倒立経過、手を換え下ろして逆交差入れ(リ・ニン)
・逆交差倒立1/4ひねり一把手上倒立経過、下ろして開脚支持
→後ろ振り倒立1/4ひねり一把手上倒立経過、手を換え下ろして逆交差入れ
⇒日本語訳としてはこのような表記が適当ではないかと思います。

グループII
・一把手上横向き旋回→削除
・一把手上縦向き旋回のうち、1/4転向して片手が馬端馬背になる捌き→削除
・馬端旋回ひねり と 両把手を挟んで横向き(開脚)旋回ひねり(ケイハ2)(C→B) が同一枠。名称が「全ての旋回ひねり」になる。
・あん部馬背縦向き旋回1回ひねり(2回以内の旋回で)(E→F)
・一腕上上向き全転向(ショーン)(E→D)
・把手上ロシアン360°(540°)転向(B→A)
・把手上ロシアン720°(900°)転向(C→B)
・把手上ロシアン1080°以上転向(D→C)
・馬端馬背ロシアン360°(540°)転向(B→A)
・馬端馬背ロシアン720°(900°)転向(C→B)
・馬端馬背ロシアン1080°以上転向(D→C)

グループIII
・1回の旋回で横移動(馬端から両把手を越えて逆馬端) と とび横移動(馬端~馬端) が同一枠
・縦向き1/3移動ひねり→削除
⇒グループIIの旋回ひねりに統合された感じでしょうか。
・縦向き(1/2or2/3)前(後ろ)移動ひねり→削除
⇒全ての旋回移動ひねりに統合された感じでしょうか。
・縦向き前移動(両把手を越えて馬端~馬端) と 縦向きとび前移動(馬端~馬端)(ドリッグス)(F→E) が同一枠
・片手ずつ支持して前移動連続横向き支持(ビロゼルチェフ)→削除
・縦向き後ろ移動(両把手を越えて馬端~馬端)(クルバノフ) と 縦向きとび後ろ移動(馬端~馬端)(リード) が同一枠
・馬端横向き支持から上向き転向、下向き逆移動(ウルジカ)→削除
・把手を挟んだ横向き支持からロシアン360°転向移動(クロル)→削除
・ロシアン720°以上転向移動(3/3部分:あん部馬背両手着手)(ウ・グォニアン)
⇒難度表の表記にも要件が付記されました。

グループIV
・下向き転向下り→下向き転向下り(ロシアン180°(270°)転向からも)
・ロシアン360°(540°)転向下り(B→A)
・ロシアン720°(900°)転向下り(C→B)
・ロシアン1080°以上転向下り(D→C)
・下向き正転向下向き転向下り(B→A)



間違いなく最もルールが複雑な種目です。今回の改訂では「特別な繰り返し」にさらに細かい制限が加わりました。何か、難度表自体をもうちょっと工夫しなくてはならない事態になっているような気もします。

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