2025-2028 Code of Points Ver.1.1
FIGの公式サイトで2025年版採点規則が公開されましたので、ここで内容をまとめておきたいと思います。分量が多いので、一般条項と各種目の7回に分けて書いていきます。
7月に入り、2025年版採点規則が修正版にアップデートされました。修正箇所について赤字で記載します。
これまでにNewsletterや『男子体操競技情報』ですでに通達されている内容や新技については記載しませんので注意してください。なお「⇒」以降は私のコメント(戯言)です。
解釈の間違いや見落としがあるかもしれません。競技関係者の方は原本を直接確認するか、日本体操協会の公式な情報をお待ちください。
一般条項 General
ゆか FX
あん馬 PH
つり輪 SR
跳馬 VT
平行棒 PB
鉄棒 HB
一般条項 General
● ポディウム上での直前練習は全ての種目で50秒が与えられる。(p.7)
⇒これまでは平行棒に限り50秒、平行棒以外の種目は30秒でした。
● 種目審判の義務:審判をする競技会のレベルに応じたカテゴリーを有すること→削除(p.11)
● 種目審判の競技中の必要事項:疑わしいときは選手に対して有利になるよう判断すること→削除(p.11)
● 線審および計時審判の構成:1名の平行棒のウォームアップ計時審判→削除(p.12)
● 計時審判の任務(p.13)
・平行棒のウォームアップ時間の管理→削除
・ゆかにおいては、選手に対し60秒と70秒で音による合図をする。
● Dスコア:難度の高い順位7技と終末技からなる8技の難度価値点の合計点、この際同一グループから最大4技までを有効とする。(p.14)
● Eスコアは次のように計算される。(p.14)
・E審判7人:中間3人の平均
・E審判5人:中間3人の平均
・E審判4人:中間2人の平均
・E審判3人:3人の平均
・E審判2人:2人の平均
● 短い演技に対して、D審判は決定点から所定の減点(ニュートラルディダクション)を適用する。(p.13)
技数 | 減点(ND) |
---|---|
8 | 0 |
7 | 0 |
6 | 0 |
5 | 3.0 |
4 | 4.0 |
3 | 5.0 |
2 | 6.0 |
1 | 7.0 |
0 | 10.0 |
● 同一枠内で異なった難度が与えられている技は、一演技中にどちらも実施でき、Dスコアに加算することができる。→削除(p.15)
⇒このような技は現在は存在しないと思います。
● 技のグループと終末技について(p.15)
・ゆかを除く各種目にはI、II、IIIとして示された3つの技のグループとIVとして示された終末技のグループがある。ゆかには4つの技のグループがある。
・演技において、選手は3 つの技のグループ(ゆかでは4 つの技グループ)から少なくとも1つの技を含まなくてはならない。
・D難度以上の技(カウントされた7技(ゆかでは8技)の内)によって満たされる各技グループの充足に対して、D審判によって 0.5点が与えられる。
・A~C難度によって満たされる各技グループの充足には、D審判によって0.3点が与えられる(全ての種目のグループIは難度に関わらず0.5点が与えられる)。
・終末技のグループについては、終末技と同じ難度のグループ点が与えられる(F難度の終末技を実施した場合は難度0.6点と要求グループ0.6点が与えられる)。
・あん馬を除き、C難度以上の終末技または跳馬の宙返りを伴う跳越で着地を止めた場合、D審判によって0.1点の加点が与えられる。
⇒今回のルール改訂のキモとなる部分と思われます。特に終末技の倍付けと着ピタボーナスは二律背反的でもあり、とても興味深いものがあります。ゆかは終末技のグループがなくなっているので、この倍付けもないということでよいのでしょうか。
● 組合せ加点は高難度技を含めた技の直接的な連続が落下や転倒なく実施されたときに与えられる。(p.15)
⇒2022年版採点規則では「大欠点」とされていました。
● D審判による評価:判定が疑わしい場合には、選手に対して不利益にならないように対処しなければならない。→削除(p.16)
● 跳馬を除く全ての種目において、原則として終末技を最初にカウントする。→削除(p.16)
● 実施欠点と技術欠点の判定(pp.19-20)
・すべての種目において力静止技または静止技では、完璧な姿勢からの逸脱の度合いが、技術欠点とそれに伴う大きさを定められている。
欠点 | 角度減点 |
---|---|
小欠点 | 5°~20° |
中欠点 | >20°~45° |
大欠点(難度不認定:D審判) | >45° |
・つり輪において、振動または押し上げから静止姿勢に移る間、肩や身体が最終的な静止姿勢より上げてから持ち込んではならない。その場合の減点は下記のとおりである。
欠点 | 角度減点 |
---|---|
小欠点 | 5°~20° |
中欠点 | >20°~45° |
大欠点(難度不認定:D審判) | >45° |
⇒5°以下が減点なしになったのはまだいいのですが、20°以下か20°超かというのはなかなか人間の眼では判定が難しいような気がします。もう富士通システムの世界ということでしょうか。
次回からは各種目の修正点を書いていきます。
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