2024年パリオリンピック:種目別あん馬の演技

2024 Olympics Paris (FRA) EF PH


2024年パリオリンピック:種目別あん馬の演技です。

動画はいつまで見られるか分かりませんが、NHKによりアップされています。こちらから参照してください。

MCCLENAGHAN Rhys (IRL)

1.後ろ振り倒立Back Swing to HdstCI
2.Gコンバイン2 Flops + R1080GII
3.Eフロップ4 FlopsEII
4.あん部馬背ロシアン1080°転向Russian 1080 btw PommelsEII
5.マジャールMagyarDIII
6.シバドSivadoDIII
7.ウ・グォニアンRussian Travel 3/3 720EIII
8.ロスRussian Travel 3/3 360DIII
9.馬端馬背ロシアン1080°転向Leather Russian 1080DII
10.DSA倒立450°ひねり3/3移動下りDSA to Hdst Travel 3/3 450EIV

D:6.6
E:8.933
Score:15.533

動画は2:28:20から。伸びのあるスムーズな旋回で終始乱れることなく演技を通す。気になったのは終末技前にロシアン転向から両足旋回に移る場面で少し腰が曲がったことと、DSA倒立にいく場面で膝が緩んだことくらいか。いずれも小さな乱れであり、全体的にはほぼ完璧な実施を見せた。


KURBANOV Nariman (KAZ)

1.ミクラックMikulakDI
2.トン・フェイTong FeiDIII
3.縦向き前移動(両把手を越えて馬端~馬端)Front Loop Travel over Both PEIII
4.クルバノフKurbanovEIII
5.ニン・レイエス2Nin Reyes2EIII
6.ニン・レイエスNin ReyesDIII
7.Eコンバイン2 Flops + R360EII
8.ショーンSohnEII
9.Fフロップ(BeLSL)Bertoncelj + 3 FlopFII
10.一把手上縦向き旋回倒立3/3移動下りP Loop to Hdst Travel 3/3DIV

D:6.7
E:8.733
Score:15.433

動画は2:18:27から。コンバインを3周回すDスコア6.9の構成も持つが、今回は6.7。落ち着いたゆっくりとした旋回で乱れることなく演技を通す。


NEDOROSCIK Stephen (USA)

1.ミクラックMikulakDI
2.Eコンバイン2 Flops + R360EII
3.ショーンSohnEII
4.ベズゴBezugoEII
5.Eフロップ4 FlopsEII
6.ウ・グォニアンRussian Travel 3/3 720EIII
7.馬端馬背ロシアン720°転向Leather Russian 720CII
8.マジャールMagyarDIII
9.シバドSivadoDIII
10.一把手上縦向き旋回倒立3/3移動下りP Loop to Hdst Travel 3/3DIV

D:6.4
E:8.900
Score:15.300

動画は2:35:18から。順調に演技を進めていたが、馬端馬背ロシアン転向が2周になってしまう。それほど乱れているように見えなかったが。全体的にはほぼ完璧な実施を見せる。


4th WHITLOCK Max (GBR)

1.正交差倒立Front Scissor to HdstDI
2.Gコンバイン2 Flops + R1080GII
3.あん部馬背ロシアン1080°転向Russian 1080 btw PommelsEII
4.Eフロップ4 FlopsEII
5.ブスナリBusnariFII
6.両把手を越えて横移動Side Hop Travel 3/3DIII
7.ロスRussian Travel 3/3 360DIII
8.ウ・グォニアンRussian Travel 3/3 720EIII
9.馬端馬背ロシアン1080°転向Leather Russian 1080DII
10.DSA倒立450°ひねり3/3移動下りDSA to Hdst Travel 3/3 450EIV

D:6.9
E:8.300
Score:15.200

動画は2:20:53から。Dスコア6.9のフル構成。フロップでやや腰が曲がり、ウ・グォニアンでは脚がはっきり開いてしまった。目に見えるミスが出てEスコアは伸びなかった。


5th VERNIAIEV Oleg (UKR)

1.正交差倒立Front Scissor to HdstDI
2.ショーンSohnEII
3.Fフロップ(BeLSL)Bertoncelj + 3 FlopFII
4.Eコンバイン2 Flops + R360EII
5.あん部馬背ロシアン1080°転向Russian 1080 btw PommelsEII
6.シバドSivadoDIII
7.ウ・グォニアンRussian Travel 3/3 720EIII
8.ロスRussian Travel 3/3 360DIII
9.馬端馬背ロシアン1080°転向Leather Russian 1080DII
10.DSA倒立3/3移動下りDSA to Hdst Travel 3/3DIV

D:6.6
E:8.366
Score:14.966

動画は2:42:32から。フロップやコンバインでの旋回の揺れや腰の曲がりは気になるが、その後は立て直して演技を通す。終末技では一瞬詰まりかけるが、落ち着いて下りる。


6th 杉野正尭 SUGINO Takaaki (JPN)

1.ミクラックMikulakDI
2.ウ・グォニアンRussian Travel 3/3 720EIII
3.縦向き前移動(両把手を越えて馬端~馬端)Front Loop Travel over Both PEIII
4.シバドSivadoDIII
5.Eフロップ4 FlopsEII
6.Hコンバイン(BeLR1080)Bertoncelj + 1 Flop + R1080HII
7.ショーンSohnEII
8.モギルニーMoguilnyDIII
9.ロスRussian Travel 3/3 360DIII
10.DSA倒立3/3移動下りDSA to Hdst Travel 3/3DIV

D:6.7(正しくはD:6.8?)
E:8.233
Score:14.933

動画は2:38:51。予選、団体決勝では1周だったコンバインを3周回してH難度を取ってくる。一方、前移動はやはり国際大会ではドリッグス(F)では取ってもらえない。さらにDスコアが0.1合わず、何らかの技がダウングレードしている模様。旋回の質も世界のスペシャリストに比べると劣る感は否めない。


7th HUR Woong (KOR)

1.正交差倒立Front Scissor to HdstDI
2.Eコンバイン2 Flops + R360EII
3.ショーンSohnEII
4.Eフロップ4 FlopsEII
5.ニン・レイエス2〈落下して再試技〉Nin Reyes2EIII
6.縦向き前移動(両把手を越えて馬端~馬端)Front Loop Travel over Both PEIII
7.シバドSivadoDIII
8.ウ・グォニアンRussian Travel 3/3 720EIII
9.ロスRussian Travel 3/3 360DIII
10.DSA倒立450°ひねり3/3移動下りDSA to Hdst Travel 3/3 450EIV

D:6.7
E:7.600
Score:14.300

動画は2:45:58から。大会直前にキム・ハンソルに替わって出場となった選手。2024年に入りワールドカップシリーズで結果を残しており、その時からさらにショーンやニン・レイエス2を入れて難度を上げている。しかしニン・レイエス2に失敗して落下。やり直してDスコアは確保する。旋回自体は雄大で質が高い。


8th DE MUNCK Loran (NED)

1.後ろ振り倒立Back Swing to HdstCI
2.ショーンSohnEII
3.Fコンバイン(BeLR360)Bertoncelj + 1 Flop + R360FII
4.あん部馬背ロシアン1080°転向Russian 1080 btw PommelsEII
5.Eフロップ4 FlopsEII
6.ウ・グォニアンRussian Travel 3/3 720EIII
7.ロスRussian Travel 3/3 360DIII
8.マジャールMagyarDIII
9.シバド〈落下して再試技〉SivadoDIII
10.一把手上縦向き旋回倒立3/3移動下りP Loop to Hdst Travel 3/3DIV

D:6.5
E:7.233
Score:13.733

動画は2:24:24から。全体的に揺れのある安定感を欠く旋回で、終盤のシバドでバランスを崩して落下してしまう。やり直してDスコアは確保する。



マクレナガンがほぼ完璧な実施を見せ金メダル。クルバノフ、ネドロシックが続く順当な結果となりました。マクレナガンは2022年、2023年世界選手権を連覇しており、今サイクルのあん馬を完全制覇。ウィットロックはオリンピック3連覇を狙いましたが、ミスもあって4位でした。

杉野は高いDスコアを持ちながら、Eスコアで世界との差が出てしまいました。しかし、あん馬という種目で予選からの3演技を全て落下なしで通し切ったことは素晴らしく、団体優勝の立役者であったことは間違いないと思います。一方、技の認定については国際的な基準に統一されるべきであり、国内では認定されるが国際大会では認定されないということはあってはならないと思います。日本体操協会の見識も問われるところではないでしょうか。

この記事へのコメント

  • K

    徳洲会のyoutubeの米田監督によると杉野選手のDスコアはモギルニーがC難度で取られているそうです。会場練習でモギルニーは馬端正面支持で終わる必要があると言われたそうですが、ミスがでないようにそれまでやってきた通りの演技をすることを選択したみたいですね。
    2024年08月14日 01:57
  • Ka.Ki.

    コメントありがとうございます。やはりウルジカ(C)扱いですか。Dスコアがあと0.1下がるならそこしかないと思いつつ、あのモギルニーのどこがいけないのかと思っていました。

    ドリッグスもそうですが、認定されないと分かっていても、それまで練習してきた捌きを急に変えるのは難しいのでしょうね。
    2024年08月14日 20:27