2024年パリオリンピック:団体決勝の行方は

2024 Olympics TF Prediction


パリオリンピック、予選の後にまず行われる競技が団体決勝です。今回はこの団体決勝の行方を占ってみたいと思います。

団体決勝で有力なのが日本、中国の2国であることは間違いないでしょう。もう1つの強豪国ロシアの出場がないため、今大会の団体決勝は日本と中国の一騎打ちとなることが容易に想像されます。なお、中国代表は孫煒から蘇煒德に交替があるようなので、これを前提に話を進めます。

2国だけの予想ではちょっと寂しいので、今回は勢いのあるアメリカも加えた3国の団体決勝の得点を予想、というか実績に基づく予測をしていきます。方法としては日本の団体代表選考を参考に、2024年に行われた主要な大会の得点を用いて、平均点や最高点を算出します。「主要な大会」はもちろん国により異なってしまいますが、得点の予想にあたり参考にはなるでしょう。各国の「主要な大会」は以下のとおりとします。

日本(4試合)
・全日本選手権(予選・決勝)
・NHK杯(予選・決勝)
※ただし、橋本大輝は全日本(予選・決勝)の2試合

中国(2試合)
・中国選手権(予選・個人総合)
※ただし、劉洋、蘇煒德、鄒敬園は予選・種目別の2試合。張博恒は2023年アジア選手権(予選・個人総合)の2試合

アメリカ(4試合)
・全米選手権(予選・個人総合)
・オリンピック代表選考会(1日目・2日目)

というわけで、基本的には2024年に入ってからの4試合の得点を採用しますが、中国は2試合、さらに張博恒に至っては2024年中国選手権が不本意な結果だったため2023年の大会の得点を採用します。

これらの大会から、各国各団体メンバーの各種目得点が高い3試合の平均を算出してみます。2試合の選手は単純平均です。結果は以下のとおり。


日本 (JPN)
FXPHSRVTPBHB
橋本大輝14.65015.04915.00014.450
岡慎之助14.47714.42114.93314.555
萱和磨14.61114.16614.899
杉野正尭14.28815.03314.78814.910
谷川航14.47715.12214.988
Total43.41544.69343.06444.91044.82043.915264.817


中国 (CHN)
FXPHSRVTPBHB
劉洋15.350
蘇煒德15.05014.550 13.033
肖若騰14.37513.65014.60014.70014.300
張博恒14.71614.46614.81614.73315.46614.733
鄒敬園14.72515.21616.158
Total44.14142.84145.38243.88346.32442.066264.637


アメリカ (USA)
FXPHSRVTPBHB
HONG14.133 14.58314.71614.800
JUDA14.53314.10014.53313.750
MALONE14.01614.51614.56614.80014.600
NEDOROSCIK14.950
RICHARD14.73314.05014.81614.416
Total43.39943.06643.14943.81544.41642.766260.611


日本と中国がそれぞれ得意種目でお互いに差を付け合いましたが、最後は僅差で日本が金メダルとなりました。やはり今回の日本は最強チームと言いたいところではありますが、気になるのはやはり平均点ということで、2試合しか採用されていない中国勢の得点です。蘇煒德の鉄棒や、肖若騰のあん馬は1試合の低い得点に引っ張られて平均点が下がっています。

そこでもう1パターン、各国各団体メンバーの各種目の「主要な大会」の最高点を用いてみましょう。結果は以下のとおり。


中国 (CHN)
FXPHSRVTPBHB
劉洋15.400
蘇煒德15.10014.550 14.200
肖若騰14.60014.60014.65014.75014.450
張博恒14.93314.60014.93314.86615.46615.200
鄒敬園14.90015.23316.166
Total44.63344.10045.56644.06646.38243.850268.597


日本 (JPN)
FXPHSRVTPBHB
橋本大輝15.00015.13315.10015.100
岡慎之助14.53314.46615.20014.600
萱和磨14.70014.23315.000
杉野正尭14.40015.10014.83315.100
谷川航14.56615.43315.100
Total43.93344.93343.26545.36645.30044.800267.597


アメリカ (USA)
HONG14.35014.70015.25014.900
JUDA14.75014.25014.70014.000
MALONE14.10014.85014.70014.90014.900
NEDOROSCIK15.400
RICHARD14.90014.30015.05014.450
Total44.00043.75043.85044.65044.85043.350264.450


一転、中国が1点の差を付けて金メダルとなりました。演技する選手は3国とも変わりはありませんが、日本のあん馬は岡と萱が同点、アメリカのゆかもホンとマローンが同点で、ここは平均点の計算と同じく萱やホンが演技するものとしています。日本はやはり安定感の萱、アメリカもそれ以外の5種目フル出場のマローンではなくホンを使いたいところでしょう。ポティウムトレーニングや予選を経てのこととなりますが、各種目のオーダーや演技順も目が離せないポイントです。

最高点の計算で金メダルとなった中国ですが、負担の大きいオールラウンダーと失敗の許されないスペシャリストというチーム構成であり、危うさをはらんでいる感は否めません。日本は代表5人全てが比較的バランスの取れたオールラウンダーであり、多少の問題は吸収できてしまう柔軟さがあるようにも思えます。このあたりのチーム構成の差が、団体決勝の緊迫した場面で顕在化するか否かにも注目したいところです。

そしてアメリカ。計算上は日本、中国に差を付けられましたが、平均点と最高点では4点近い伸びがあり、その若さと爆発力は侮れません。日本も中国も大きなミスが出れば、あっという間に逆転されてしまう可能性があります。団体決勝の舞台をどれだけかき混ぜてくれるか楽しみなチームです。

日本はやはりEスコアの0.1をこつこつと積み上げる体操を、5人全員が確実に遂行することに尽きると思います。持てる力を最大限に発揮し、5人全員が悔いのない最高の演技をしてほしいと思います。


全ての競技の予選は7月27日(土)。全3班のうち、アメリカは1班(日本時間18:00開始)、日本、中国は2班(同22:30開始)となっています。そして、団体決勝は7月29日(月)日本時間24:30開始です。

この記事へのコメント

  • hirohiro

    いつも楽しく拝見させていただいています。
    いつ、今日のような予想が掲載されるのか、楽しみにしておりました。
    谷川選手が足を痛めた記事がありました。
    これがどう左右するかでしょうね。
    いずれにしても、私は日本が金メダルと信じています。
    岡選手と杉野選手が爆発してくれるように思います。
    2024年07月26日 18:54
  • Ka.Ki.

    いつもご覧いただきありがとうございます。

    谷川航選手の足、心配ですよね。私も日本の団体金メダルを信じています。岡選手、杉野選手にも大いに期待ですね。
    2024年07月26日 22:35