2024年パリオリンピック代表選考の結果について

2024 JPN Team for Olympics


NHK杯が終わり、2024年パリオリンピックの代表選手が決定しました。すでに内定が出ていた橋本大輝に加え、NHK杯で上位に入った岡慎之助萱和磨、そしてチーム貢献度で杉野正尭谷川航の4人が代表に選出されています。あらためて代表選考の結果を確認しておきましょう。



これまでの経過については過去の記事で書いたとおりです。すでに内定が出ている橋本大輝が右手中指の負傷によりNHK杯を欠場。NHK杯は大方の予想どおり、これまでのリードを保った岡慎之助が優勝、萱和磨が2位に入り、パリオリンピックの代表を決めました。

代表選考に用いられる得点は、橋本については全日本の上位得点と参考スコアのいずれか高い方になりますが、結果的に参考スコアは用いられず、全て全日本の得点となりました。それ以外の選手については、全日本、NHK杯の2大会4試合のうち各種目高得点上位3つの試合の平均得点となります。したがって、ベースとなる3人の得点は以下のようになります。一番左列の数字はNHK杯順位です(以下、同じ)。

FXPHSRVTPBHB
橋本大輝15.00015.13314.16615.10014.83315.100
1岡慎之助14.47713.95514.42114.28814.93314.555
2萱和磨13.67714.61114.16614.48814.89914.044
Total43.15443.69942.75343.87644.66543.699261.846

そしてNHK杯を終え、NHK杯3~10位までの選手とそれ以外の有力と思われる選手の組合せによるチーム得点を算出したところトップ3は以下のようになりました。Totalの下段()は加わった2人の選手が上昇させたチーム得点、いわゆる貢献度です。

1st
FXPHSRVTPBHB
橋本大輝15.00015.13315.10015.100
1岡慎之助14.47714.42114.93314.555
2萱和磨14.61114.16614.899
5杉野正尭14.28815.03314.78814.910
12谷川航14.47715.12214.988
Total43.76544.77743.06445.01044.82044.565266.001
(0.611)(1.078)(0.311)(1.134)(0.155)(0.866)(4.155)

2nd
FXPHSRVTPBHB
橋本大輝15.00015.13314.16615.10015.100
1岡慎之助14.47714.42114.93314.555
2萱和磨14.61114.16614.899
5杉野正尭14.28815.03314.78814.910
6三輪哲平15.03315.033
Total43.76544.77742.75344.92144.86544.565265.646
(0.611)(1.078)(1.045)(0.200)(0.866)(3.800)

3rd
FXPHSRVTPBHB
橋本大輝15.00015.13314.16615.10014.83315.100
1岡慎之助14.47714.42114.93314.555
2萱和磨14.61114.48814.899
5杉野正尭14.28815.03314.78814.910
金田希一14.866
Total43.76544.77743.45344.37644.66544.565265.601
(0.611)(1.078)(0.700)(0.500)(0.866)(3.755)

NHK杯1位、2位の岡慎之助萱和磨はこれまでの戦いぶりから順当な代表入りと言えるでしょう。2人とも全日本から得点を落としているのは気になりますが、積み上げてきた得点で土井陵輔や田中佑典を何とかかわしました。岡は2022年全日本選手権で負った右膝前十字靭帯断裂を乗り越えての代表入り。その正確で美しい演技は間違いなく日本の武器になるでしょう。萱の安定した演技も団体戦には必要不可欠。ここぞという場面で何度も日本を助けてくれると思います。

杉野正尭は2022年にあと一歩のところで代表を逃した姿が印象に残っています。今回の代表選考ではあん馬、鉄棒の貢献度で常に優位な位置をキープ。待ちに待った代表入りを果たしました。A代表は初めてになりますが、ゆか、あん馬、鉄棒では過去にワールドチャレンジカップでの優勝経験もあり、実績は不足していません。

最後の代表は谷川航。2月の右膝骨折により、4月の全日本では出遅れましたが、NHK杯では跳馬のリ・セグァン2をものすごい精度で決めて猛追してきました。日本の弱点、つり輪でも着実に貢献度を稼ぎ、NHK杯12位からの代表入り。パリではゆかでの活躍も期待されます。



結果だけ書くとこのようになりますが、今回の代表選考はNHK杯の結果で全てが決まるため、最後の最後まで分からない展開でした。NHK杯5位と12位の選手が代表入りしたことについては意見がある人も少なくないようです。NHK杯4位の土井はNHK杯2日目には86点台を出していますが、代表に届きませんでした。しかし、これが事前に定められた選考ルールであり、この5人の組合せが最もチーム得点が高くなる組合せです。

各種目の起用についてはまだ悩ましいところがありそうです。つり輪は上の表ではバランスを考え萱にしてありますが橋本も同じ14.166です。ゆかは谷川航の復調次第というところもあるでしょう。そして何と言っても平行棒。杉野以外の4人には差らしき差がほとんどありません。ここは誰を起用するか最後の最後まで分からないかもしれません。

絶対エースの橋本に、実力無限大の岡、安定と信頼の萱。そして貢献度で選ばれた杉野、谷川航の2人の爆発力はとんでもないものがあると思います。今回の代表は最強の5人が選ばれたものと信じています。パリでの日本代表の活躍に大いに期待します。

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