2024年パリオリンピック代表選考の行方は(その2)

2024 JPN Olympics Team Selection (Part2)


NHK杯の1日目が終わりました。前回の予告どおり、あらためて現時点での状況を確認しておきたいと思います。

代表選考方法については、すでに2024年1月に記事にしています。具体的な内容についてはそちらを参照してください。



まず最初に、橋本大輝が平行棒の練習中に右手中指を負傷、大事を取ってNHK杯を欠場することになりました。パリオリンピックに向けて順調な回復を祈りたいところです。

橋本は全日本の2試合しか行っていないので、今後の代表選考に用いられる得点は規定により2試合の上位得点と参考スコアのいずれか高い方になります。したがって橋本の基準得点は以下のスコアで確定しました。

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橋本大輝15.00015.13314.16615.10014.83315.100

結局、参考スコアは一切使われず、ゆかから跳馬までの4種目は全日本決勝、平行棒と鉄棒は全日本予選のものが用いられることになりました。ちなみにこの6種目を合計すると89.332というとんでもないスコアになります。

NHK杯1日目を終えた時点で、暫定1位には岡慎之助、暫定2位には萱和磨が付けています。やはり全日本で取った得点が効いてくるため、大幅な逆転はなかなか難しいと言ったところでしょう。今日はこのNHK1日目の暫定順位を採用します。

代表選考に用いられる得点は、全日本、NHK杯の2大会4試合のうち各種目高得点上位3つの試合の平均得点です。3試合が終わったため、橋本以外の選手については単純にこの3試合の平均得点を用います。ベースとなる3人の得点は以下のようになるはずです。一番左列の数字はNHK杯の暫定順位です(以下、同じ)。

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橋本大輝15.00015.13314.16615.10014.83315.100
1岡慎之助14.47713.95514.39914.12214.77714.333
2萱和磨13.63314.55514.15514.46614.89913.788
Total43.11043.64342.72043.68844.50943.221260.891

顔ぶれが変わっていないため、42点台のつり輪の強化が課題であることも変わっていません。岡のあん馬、萱のゆか、鉄棒が13点台で、貢献度はこのあたりで特に稼げそうです。

同様に3試合の平均得点を用いて、上記3名との組合せでチーム得点が最高となる2人(内1人はNHK杯暫定10位以内)を選出します。あらゆる組合せについてくまなく試算したわけではありませんが、NHK杯暫定10位以内の選手とそれ以外の有力と思われる選手の組合せによるチーム得点を算出したところトップ3は以下のようになりました。Totalの下段()は加わった2人の選手が上昇させたチーム得点、いわゆる貢献度です。

1st
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橋本大輝15.00015.13314.16615.10014.83315.100
1岡慎之助14.47714.399
2萱和磨14.55514.15514.46614.899
3田中佑典15.08814.866
5杉野正尭14.15514.60014.61114.810
Total43.63244.28842.72044.17744.82044.776264.413
(0.522)(0.645)0.489)(0.311)(1.555)(3.522)

2nd
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橋本大輝15.00015.13314.16615.10014.83315.100
1岡慎之助14.47714.39914.333
2萱和磨14.55514.899
5杉野正尭14.15514.600 14.61114.810
13谷川航14.42214.76614.988
Total43.63244.28842.98744.47744.72044.243264.347
(0.522)(0.645)(0.267)(0.789)(0.211)(1.022)(3.456)

3rd
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橋本大輝15.00015.13314.16615.10014.83315.100
1岡慎之助14.47714.39914.77714.333
2萱和磨14.55514.46614.899
5杉野正尭14.15514.60014.61114.810
23金田希一14.822
Total43.63244.28843.38744.17744.50944.243264.236
(0.522)(0.645)(0.667)(0.489)(1.022)(3.345)

NHK杯の暫定順位では5位と少し後退していますが、杉野正尭の優位が変わりません。その杉野との組合せで上位に入っているのが田中佑典谷川航、そして金田希一が3番手のポジションに入ってきました。

5人目、1番手の田中はベテランの卓越した技術を持って平行棒と鉄棒で貢献度を稼いでいます。2種目とも全日本決勝ではやや得点が低かったため、わずかですがさらに貢献度を伸ばす余地があります。

2番手の谷川航は3種目で貢献度を稼いでいますが、さらに伸ばすとすれば全日本予選で14.366と得点が低かった跳馬が残っています。ただ、どうしてもギャンブル性の高い種目になりますので、Dスコア6.0のリ・セグァン2で挑むのかどうか悩ましいところになりそうです。

そして3番手につり輪のスペシャリスト、金田希一が迫ってきています。日本の最大の弱点を14.822というスコアで救うことができるでしょうか。つり輪1種目に関しては髙橋一矢もぴったり後ろにつけており、NHK2日目での逆転もあり得る状況です。



パリオリンピックの代表選考は4試合中3試合が終わり、いよいよ佳境に入ってきました。NHK杯上位選手はこのままいけばかなりの確度で岡、萱の2人に決まったと言っていいと思います。

貢献度で選ばれる選手も杉野についてはかなり確実なラインと言えそうですが、最後の1人は本当に最後まで分からない状況です。田中と谷川の差は0.066とほぼないようなもの。金田も0.2未満の差で迫ってきています。NHK杯上位選手の岡や萱の得点によっても貢献度は微妙に変わり得ます。代表争いは、NHK杯2日目が終わるまで分かりません。

この記事へのコメント

  • 速報ありがとうございます。
    私も計算してみました。
    橋本、岡、萱、杉野、岩澤の組合せでも現時点の同点3rdではないですかね?
    2024年05月18日 00:52
  • Ka.Ki.

    杉野・岩澤の組合せも同点3位ですね。ご指摘ありがとうございます。
    2024年05月18日 20:19