2024年パリオリンピック代表選考の行方は

2024 JPN Olympics Team Selection


いよいよ5月16〜19日に開催されるNHK杯で2024年パリオリンピックの代表が決まります。

代表選考方法については、すでに2024年1月に記事にしています。具体的な内容についてはそちらを参照していただくことにして、今日は現時点での状況を確認しておきたいと思います。

もちろん代表選考はまだ前半の全日本選手権が終わっただけで、何かを語れる状態では全くありません。あくまで現時点の状況ということに留意してご覧いただきたいと思います。



代表選考に用いられる得点は、全日本、NHK杯の2大会4試合のうち各種目高得点上位3つの試合の平均得点です。まだ2試合しか終わっていないので、ここでは全日本2日間の良かった方の得点をNHK杯1日目でも出したと仮定し、3試合の平均得点を算出してみたいと思います。

この考え方について橋本大輝の得点を例に具体的に説明します。

1 橋本大輝
FXPHSRVTPBHB
全日本予選14.30014.96614.10014.90014.83315.100
全日本決勝15.00015.13314.16615.10014.76613.800
NHK杯1日目15.00015.13314.16615.10014.83315.100
平均得点14.76615.07714.14415.03314.81014.666

このように、全日本2日間の良かった方の得点をNHK杯1日目でも出したと仮定します。なお、橋本に限っては2023年世界選手権・アントワープ大会の予選・個人総合のうち高いスコアを採用した参考スコアも設けられており、上記の平均得点がこの参考スコアを下回った場合は以下の参考スコアが採用されることになっています。今回の仮定では鉄棒のみ参考スコアが採用されます。

FXPHSRVTPBHB
橋本の参考スコア14.50014.36614.00015.00014.80015.000


この仮定ではNHK杯の順位も一部入れ替わることになりますが、今日はこのまま全日本の順位を採用します。全日本2位は岡慎之助、3位は萱和磨です。ベースとなる3人の得点は以下のようになるはずです。一番左列の数字は全日本の順位です(以下、同じ)。

FXPHSRVTPBHB
1橋本大輝14.76615.07714.14415.03314.81015.000
2岡慎之助14.52214.34414.45514.19914.80014.377
3萱和磨13.85514.64414.19914.39914.87714.044
Total43.14344.06542.79843.63144.48743.421261.545

やはり日本の弱点は42点台のつり輪であり、ここを強化したいところです。43点台のゆか、跳馬、鉄棒ももう少し点があればというところ。

同様に仮定の平均得点を用いて、上記3名との組合せでチーム得点が最高となる2人(内1人は全日本10位以内)を選出します。あらゆる組合せについてくまなく試算したわけではありませんが、全日本10位以内の選手とそれ以外の有力と思われる選手の組合せによるチーム得点を算出したところトップ3は以下のようになりました。Totalの下段()は加わった2人の選手が上昇させたチーム得点、いわゆる貢献度です。

1st
FXPHSRVTPBHB
1橋本大輝14.76615.07714.14415.03314.81015.000
2岡慎之助14.52214.45514.377
3萱和磨14.64414.19914.877
4杉野正尭14.56614.77714.922
8三輪哲平14.23214.98815.110
Total43.52044.28742.79844.79844.79744.299264.499
(0.377)(0.222)(1.167)(0.310)(0.878)(2.954)

2nd
FXPHSRVTPBHB
1橋本大輝14.76615.07714.14415.03314.81015.000
2岡慎之助14.52214.455
3萱和磨14.64414.19914.39914.877
4杉野正尭14.20014.56614.77714.922
6田中佑典15.12214.977
Total43.48844.28742.79844.20944.80944.899264.490
(0.345)(0.222)(0.578)(0.322)(1.478)(2.945)

3rd
FXPHSRVTPBHB
1橋本大輝14.76615.07715.03314.81015.000
2岡慎之助14.52214.45514.377
3萱和磨14.64414.19914.877
4杉野正尭14.20014.56614.77714.922
15谷川航14.44414.65515.000
Total43.48844.28743.09844.46544.68744.299264.324
(0.345)(0.222)(0.300)(0.834)(0.200)(0.878)(2.779)

4人目、杉野正尭を軸に、5人目は三輪哲平田中佑典谷川航が現時点では有利な位置にいると言えそうです。杉野はこれまで何度も代表の座を逃して悔しい思いをした選手。ついに王手を掛けたと言えるでしょうか。もちろんNHK杯上位2人での選出の可能性も残しています。全日本3位の萱との差は1.098です。

続く5人目の三輪と田中の差は0.009とほとんどないようなものです。三輪、田中ともに全日本では安定した得点を出しており、これ以上の大幅な貢献度増は難しいかもしれません。どこまで伸ばせるかが見ものです。また言うまでもなく田中は34歳の大ベテラン。この年齢でこのポジションにいるのは本当に凄いことです。奇跡の代表入りがあるでしょうか。

そして谷川航がこのポジションです。NHK杯の得点次第ではゆかでも貢献度を稼げる可能性があり、跳馬もまだ伸びしろがありそうです。この3人の中では唯一つり輪で貢献度を稼いでおり、5人の代表メンバーの演技数を考えるとバランスも良いように思えます。



繰返しになりますが、まだ代表選考は4試合中2試合が終わっただけです。例年のようにNHK杯上位選手が決定しているわけでもありません。予想は非常に困難ではありますが、とりあえずの現状確認を行いました。

NHK杯の1日目が終わった時点で、あらためて同じ切り口で現状を確認する記事をアップしたいと思います。この時点で上位2人はかなりの確度で想定できるものと考えており、貢献度で選ばれる選手も予想がしやすくなると思っています。

NHK杯2日目が終わり、全ての代表が決まった暁には例年どおり、代表選考の結果についての記事もアップする予定です。昨年までの全日本種目別もそうでしたが、今年のNHK杯はそれ上回る情報量の大会になります。現状とどれだけ変わるかも楽しみではあります。

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