Rules of 2024 JPN Olympics Team Selection
あけましておめでとうございます。2024年は元日から大変な一年の幕開けとなり、被災等された皆さまには心からお見舞いを申し上げます。今年はいよいよパリオリンピックの年。今回は日本代表の選考方法について確認しておきたいと思います。
日本はすでにパリオリンピックの団体出場資格を得ています。団体メンバーは2021年東京オリンピックでは4人でしたが、パリでは再び5人に戻ります。一方、東京では団体出場資格がある国に個人としての出場枠が最大2人ありましたが、パリではこれはありません。
例年であれば代表選考の真っ只中である6月の全日本種目別選手権の直前に選考方法や展望についての記事を書いていますが、今年から大会の開催日程が変わり、選考方法にも変化が生じることになりました。すなわち、例年6月に開催されていた全日本種目別選手権が、日本体操協会の財政難によって単独開催が困難となり、秋の全日本団体選手権との同時開催へと変更されたのです。
オリンピックの中核競技を所管するNF(国内競技連盟)の財政状況がそんなことでいいのかという気もしますが、ともあれ例年であれば全日本、NHK杯、全日本団体の3大会5試合の結果によって選考されていた代表メンバーが、今年からは全日本、NHK杯の2大会の結果で選考されることになりました。一方、NHK杯はこれまで1日の開催でしたが、予選、決勝の2日間の開催となりました。
古くからのファンは「あぁ、そういうことね」と何となく納得してしまうかもしれません。大会の開催日程としては、2012年以前によく似たかたちになりました。
代表選考の詳しい方法については日本体操協会公式サイトのこちらのPDFにまとめられています。これによると代表選手は
・2023年世界選手権・アントワープ大会:個人総合優勝者
・NHK杯上位2人(上記1名を除く)
・上記3名との組合せでチーム得点が最高となる2人(内1人はNHK杯10位以内)
とされています。この選考基準により、2023年世界選手権の個人総合優勝者である橋本大輝はパリオリンピックの代表が内定したということになります。
2つ目のNHK杯上位2人については問題ないと思いますが、NHK杯の順位は全日本との2大会4試合の合計得点で決まるとのことです。過去には全日本2日間の1/2や全日本決勝のみの得点とNHK杯の得点の合計得点で決まっていた時期もあるため、一応書いておきます。
3つ目のチーム得点についても基本的には例年と同様なのですが、選考に用いられる大会数が変わるため、NHK杯上位2人の基準得点、チーム得点選出者ともに、全日本、NHK杯の2大会4試合のうち各種目高得点上位3つの試合の平均得点が用いられます。
なお、橋本の基準得点については全日本、NHK杯の出場試合数により決定され、
・0~1試合出場 | 2023年度参考スコア |
・2試合出場 | 各種目2試合の上位得点 |
・3試合出場 | 各種目上位2試合の平均得点 |
・4試合出場 | 各種目上位3試合の平均得点 |
橋本の2023年度参考スコアは以下のとおりであり、上記の上位得点や平均得点がこの参考スコアを下回った場合にもこの参考スコアが採用されます。このスコアは2023年世界選手権・アントワープ大会の予選・個人総合のうち高いスコアとなっています。
FX | PH | SR | VT | PB | HB | |
---|---|---|---|---|---|---|
橋本の参考スコア | 14.500 | 14.366 | 14.000 | 15.000 | 14.800 | 15.000 |
NHK杯決勝にチーム貢献度による種目別選手枠があるなど、さらに細かい点もあるのですが、大枠としてはこんなところでしょうか。最も大きな変更点は全日本、NHK杯の2大会4試合の得点で全ての代表が決まるということでしょう。これまではNHK杯を終えた時点で3人程度の代表が決まるとともにチーム基準得点が定まり、それに基づいて全日本種目別を迎えていたのですが、今年はNHK杯が終わるまで、NHK杯上位2人も、チーム得点により選出される選手も、誰がどのように選ばれるのか全く分かりません。
協会の財政難による大会フォーマットの変更は仕方ないとはいえ、4年(前回からは3年ですが)に一度のオリンピックイヤーにこのような変更を行うのはどうなのかという気はします。とはいえ、選手としてはやることはあまり変わらないといったところかもしれません。選考方法は相変わらず複雑ですが、当ブログでもできるだけ分かりやすい記事を書ければ思っています。今年もどうぞよろしくお願いします。
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