2023 JPN Team for Worlds
全日本種目別選手権が終わり、2023年世界選手権・アントワープ大会の代表選手が決定しました。すでに代表に決まっていた橋本大輝、萱和磨、三輪哲平の3人に加え、新たに決まったのは千葉健太、南一輝の2人でした。選考の結果をあらためて確認しておきましょう。
代表選考の方法はこちらの記事に書いたとおりです。おさらいになりますが、ベースとなるのは橋本、萱、三輪の3試合のうち各種目上位2試合の平均、かつ橋本は参考スコア(2022年世界選手権の個人総合予選と決勝の2試合のうち高い得点)と比較して高い得点になるので、以下のとおり。一番左列の数字はNHK杯順位です(以下、同じ)。
FX | PH | SR | VT | PB | HB | |||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 橋本大輝 | 14.666 | 14.516 | 14.000 | 14.900 | 15.000 | 15.100 | |
2 | 萱和磨 | 14.016 | 14.466 | 13.900 | 14.250 | 14.783 | 13.750 | |
3 | 三輪哲平 | 14.366 | 13.466 | 13.933 | 14.916 | 15.033 | 14.033 | |
Total | 43.048 | 42.448 | 41.833 | 44.066 | 44.816 | 42.883 | 259.094 |
そして全日本種目別を終え、NHK杯8位以内の選手とそれ以外の有力と思われる選手の組合せによるチーム得点を算出したところトップ3は以下のようになりました。Totalの下段()は加わった2人の選手が上昇させたチーム得点、いわゆる貢献度です。
1st | ||||||||
FX | PH | SR | VT | PB | HB | |||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 橋本大輝 | 14.666 | 14.516 | 14.000 | 14.900 | 15.000 | 15.100 | |
2 | 萱和磨 | 14.466 | 14.783 | |||||
3 | 三輪哲平 | 14.366 | 13.933 | 14.916 | 15.033 | 14.033 | ||
4 | 千葉健太 | 14.388 | 14.433 | 13.899 | ||||
32 | 南一輝 | 15.166 | 14.811 | |||||
Total | 44.198 | 43.370 | 42.366 | 44.627 | 44.816 | 43.032 | 262.409 | |
(1.150) | (0.922) | (0.533) | (0.561) | (0.149) | (3.315) | |||
2nd | ||||||||
FX | PH | SR | VT | PB | HB | |||
1 | 橋本大輝 | 14.666 | 14.516 | 14.000 | 14.900 | 15.000 | 15.100 | |
2 | 萱和磨 | 14.466 | 13.900 | 13.750 | ||||
3 | 三輪哲平 | 14.366 | 13.933 | 14.916 | 15.033 | 14.033 | ||
8 | 谷川翔 | 14.733 | 15.022 | |||||
32 | 南一輝 | 15.166 | 14.811 | |||||
Total | 44.198 | 43.715 | 41.833 | 44.627 | 45.055 | 42.883 | 262.311 | |
(1.150) | (1.267) | (0.561) | (0.239) | (3.217) | ||||
3rd | ||||||||
FX | PH | SR | VT | PB | HB | |||
1 | 橋本大輝 | 14.666 | 14.516 | 14.000 | 14.900 | 15.000 | 15.100 | |
2 | 萱和磨 | 14.466 | 14.783 | |||||
3 | 三輪哲平 | 14.366 | 13.933 | 14.916 | 15.033 | 14.033 | ||
4 | 千葉健太 | 14.255 | 14.433 | |||||
21 | 杉野正尭 | 14.855 | 14.477 | 14.299 | ||||
Total | 43.287 | 43.837 | 42.366 | 44.293 | 44.816 | 43.432 | 262.031 | |
(0.239) | (1.389) | (0.533) | (0.227) | (0.549) | (2.937) |
NHK杯で素晴らしいパフォーマンスを見せた千葉健太が全日本種目別でも大きく貢献度を伸ばし、NHK杯8位以内の選手ではトップに立ちました。千葉は全日本種目別で跳馬以外の5種目に出場、鉄棒以外の4種目で予選を通過しました。特にあん馬は全日本の予選、決勝で12点台と失敗しており、貢献度の大幅アップのためには是が非でも決勝進出する必要がありましたが、予選8位でギリギリ通過。決勝では貢献度アップが望めないゆかの出場を棄権し、あん馬とつり輪に懸けて見事に初代表の座を手にしました。
NHK杯8位以内の枠を最後まで争ったのは谷川翔。全日本種目別の予選終了時点ではトップに付けていました。千葉の怒涛の追い上げに対し、あん馬ではDスコアを上げて選考5試合で最高となる15.000、平行棒でも15.000と高得点を連発しましたが、かわし切れませんでした。平行棒で15.300を取れていれば代表の可能性があり、これは全日本予選で出している実現可能な得点でした。
もう一つの枠は南一輝がNHK杯終了時点ですでに有利な位置に付けており、そのまま突っ走りました。ゆかは全日本とNHK杯の3試合で15点台を揃えており、全日本種目別で上積みすることはできませんでしたが、Dスコアを上げた構成で会場を沸かせました。跳馬では決勝で15.000を出し、さらに貢献度を伸ばしてダメ押ししています。
2023年世界選手権の代表は橋本以外の4人が2022年代表とは異なる顔ぶれとなりました。萱は返り咲き。その安定感で日本にとって頼れる存在になるでしょう。南は2021年に代表となっていますが団体代表は初めて。ゆかと跳馬の得点力は大いに期待されます。三輪、千葉はともにオールラウンドに強く、実施に定評がある選手です。2024年パリオリンピック前哨戦として非常に重要な世界選手権。興味深い5人の代表の活躍を期待したいと思います。
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