本家本元:ウルジカ(あん馬)

Originators : Urzica (PH)


久しぶりの本家本元。今回はあん馬の名手、マリウス・ウルジカ(ルーマニア)が発表した2つの技を取り上げます。

1990年代後半から2000年代前半に主にあん馬で活躍。2000年シドニーオリンピック金メダル、2001年、2002年の世界選手権を連覇と、特に2000年代初頭は無敵の強さを発揮していました。1996年アトランタと2004年アテネのオリンピックでも銀メダルを獲っています。

そのウルジカが発表した技の一つがウルジカ(馬端横向き支持から上向き転向、下向き逆移動)。

ウルジカ(C) Urzica
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発表年は調べた限りでは不明です。情報がおありの方がみえましたら是非コメントください。動画は1999年世界選手権・天津大会からで、このあたりからの実施ではないかと思われます。1ポメル上の長い連続技からウルジカを挟んで雄大な開脚旋回に移るという、演技の中で最も盛り上がる瞬間を演出する技となっていました。



難度はC難度。ウルジカより前に発表されたと思われるモギルニー(馬端横向き支持から上向き転向、下向き逆移動、上向き転向)の最後の上向き転向がないダウングレード技と言うこともでき、名前が付いたのはラッキーだったかもしれません。今日実施している選手はほとんどいない技となっています。


もう一つはウルジカ2(縦向き3/3後ろ移動1回ひねり(2回以内の旋回で))。

ウルジカ2(E) Urzica2
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2017年8月の通達で遡って名前が付いた技です。通達では1996年アトランタオリンピックで発表されたとありますが、1994年にも実施している映像があります。動画は世界選手権・ブリスベン大会から。演技の冒頭になります。



難度はE難度。当時は縦向き3/3移動の間に技を行うことで複数の難度や加点を得ることができたようで、そのような背景から生まれた技のようですが、1997年のルール改訂でこの規定が廃止になり、ウルジカ選手の演技からもこのムーブは影を潜めてしまいます。しかし、2017年の通達で思いがけず脚光を浴びることになりました。

この技をいち早く取り入れた選手の一人が2016年リオデジャネイロオリンピックあん馬金メダリストのマックス・ウィットロック(イギリス)。2017年のルール改訂で難度格上げになった開脚の縦向き移動を早速演技に取り入れていましたが、特に開脚シバド(E)で角度逸脱が目立つ実施になっていました。2018年から開脚シバドに替えてこのウルジカ2を実施するようになり、2021年東京オリンピックではこの技も含めたフル構成の演技を完遂してオリンピック2連覇を達成しています。



今日では日本も含めた各国のスペシャリストがウルジカ2を演技に取り入れています。ウルジカは見かけることのないレア技になっていますが、ウルジカ2という技が脚光を浴び、希代のスペシャリスト・ウルジカ選手の名前が後世にまで知られるようになったことはとても喜ばしいことだと思います。

この記事へのコメント

  • 七面鳥

    ウルジカ2、橋本選手やってくれないかなぁ
    ウグォニアンよりも安定しそうだから、、、
    ついつい思ってしまいます
    2023年01月20日 23:44
  • Ka.Ki.

    橋本選手のロシアン転向移動技は安定しないので、同感ですね。昨年はケイハ4を取り入れていますし、ウルジカ2なら他の技との回数制限にも抵触しないので良いと思います。
    2023年01月24日 23:04