橋本大輝の最高Dスコア

Hashimoto's Highest D-Score


あけましておめでとうございます。東京オリンピック延期の影響で、2024年パリオリンピックまでの今サイクルは3年という短い期間となっています。昨年、ルール改訂があったと思ったら、もう来年はパリオリンピック。日本はすでに団体出場資格を得ていますが、2023年が非常に重要な年であることは変わりありません。まずは日本のエース橋本大輝の活躍を期待し、この記事から始めたいと思います。今年もどうぞよろしくお願いします。



ルーチン・オブ・ザ・イヤー2022では橋本の鉄棒を選びましたが、それ以外の種目でも橋本が2022年に最高Dスコアをマークした構成を見ていきたいと思います。合計Dスコアはどれほどになるでしょうか。

1. ゆか FX

2022年全日本選手権:予選
2022 JPN Nationals QF


1.リ・ジョンソンDouble Back 3/1GIII
2.後方かかえ込み2回宙返り2回ひねりDouble Back 2/1EIII
3.前方伸身宙返り1回ひねりFront Lay 1/1CII
4.~前方伸身宙返り5/2ひねり+ Front Lay 5/2EII
5.後方伸身宙返り2回ひねりBack Lay 2/1CIII
6.フェドルチェンコFedorchenkoCI
7.開脚座から力十字倒立Split Press to Japanese HdstCI
8.後方伸身宙返り5/2ひねりBack Lay 5/2DIII
9.~前方伸身宙返り+ Front LayBII(CV:0.1)
10.後方伸身宙返り3回ひねりBack Lay 3/1DIII

D:6.0

ゆかは4月の全日本の予選でリ・ジョンソンと新月面を入れたDスコア6.0の構成を披露した。決勝やNHK杯ではリ・ジョンソンを回避し、後方7/2(E)を入れた5.8の構成も用いたが、世界選手権では予選から種目別決勝まで4演技全てをこの構成で通し、安定した実施を見せた。


2. あん馬 PH

2022年全日本選手権:予選
2022 JPN Nationals QF


1.アイヒホルンFlair 1/1 Spindle Travel and ReturnEII
2.横向き旋回1回ひねりFlair 1/1 SpindleDII
3.正交差倒立Front Scissor to HdstDI
4.Eフロップ4 FlopsEII
5.Dコンバイン2 Flops + R180DII
6.ウ・グォニアンRussian Travel 3/3 720EIII
7.ロスRussian Travel 3/3 360DIII
8.マジャールMagyarDIII
9.シバドSivadoDIII
10.一把手上縦向き旋回倒立450°ひねり3/3移動下りP Loop to Hdst Travel 3/3 450EIV

D:6.4

あん馬も全日本の予選が最高Dスコア。ルール改訂に対応し正交差倒立を行うが、ポメルから手が外れる。新たに取り入れたウ・グォニアンは決めた。以後は技の失敗などでこの構成を通すことはなく、8月の全日本学生選手権では新たにケイハ4を取り入れ、構成を変えている。ケイハ4を入れた構成ではウ・グォニアン、E難度の終末技を実施すればDスコア6.5まで可能となる。


3. つり輪 SR

2022年全日本学生選手権:個人総合
2022 JPN Intercollegiates AA


1.後ろ振り上がり中水平支持Back Uprise to MalteseEIII
2.後ろ振り上がり十字倒立Back Uprise to Inv-CrossEIII
3.屈身ヤマワキYamawaki PkDI
4.ヤマワキYamawakiCI
5.ホンマ十字懸垂Whippet to CrossDIII
6.アザリアンBack Roll to CrossDII
7.ほん転逆上がり倒立Felge to HdstCI
8.後ろ振り上がり倒立Back Uprise to HdstCI
9.後方車輪倒立経過Back Giant thru HdstBI
10.後方伸身2回宙返り2回ひねり下りDouble Back Lay 2/1FIV

D:5.9

つり輪は2022年から十字倒立を取り入れ、大幅にパワーアップしているが、全日本学生選手権ではさらに終末技を伸身新月面にしてDスコア5.9を出している。この構成は世界選手権の団体決勝でも見せている。


4. 跳馬 VT

2022年全日本種目別選手権:予選
2022 JPN Apparatus Nationals QF


D
ヨネクラKasamatsu Lay 5/2I6.0

跳馬は全日本種目別選手権の予選で決勝進出資格はなかったが、Dスコア6.0のヨネクラを跳んでいる。着地は大きく乱れてしまった。2022年にヨネクラに挑んだのはこの1回のみ。


5. 平行棒 PB

2022年全日本種目別選手権:予選
2022 JPN Apparatus Nationals QF


1.後ろ振り上がり前方屈身宙返り支持Back Uprise Front Pk to SupDII
2.マクーツMakutsEI
3.ヒーリーHealyDI
4.棒下宙返りひねり倒立Basket 1/2 to HdstEIII
5.棒下宙返り倒立Basket to HdstDIII
6.前方開脚5/4宙返り腕支持5/4 Front StrdDI
7.バブサーBhavsarEIII
8.チッペルトTippeltDIII
前振りひねり倒立〈落下〉Stützkehr to Hdst
9.伸腕屈身力倒立Pike Press to HdstBI
10.前方かかえ込み2回宙返りひねり下りDouble Front 1/2EIV

D:6.2

平行棒は全日本種目別選手権の予選でマクーツを取り入れてDスコアを上げている。しかし、何とツイストで落下してしまい、Dスコアは6.2に。予定のDスコアは6.3だった。


6. 鉄棒 HB

2022年全日本選手権:個人総合
2022 JPN Nationals AA


1.アドラーひねりJam 1/2DIII
2.~リューキン+ LiukinFII(CV:0.2)
3.カッシーナCassinaGII
4.コールマンKolmanEII
5.伸身トカチェフTkatchev LayDII
6.~トカチェフ+ TkatchevCII(CV:0.1)
7.アドラー1回ひねり逆手Jam 1/1 to UGEIII
8.シュタルダーStalderBIII
9.後方とび車輪1回ひねりHop 1/1CI
10.後方伸身2回宙返り2回ひねり下りDouble Back Lay 2/1EIV

D:6.7

鉄棒は前回も取り上げたこの構成。その時にも書いたように、まだまだ難度を上げられる余地があるところがすごい。

Total D:37.2

2022年に橋本が出した1大会での合計Dスコアの最高は全日本学生選手権の36.6。これでも世界最高でものすごいのですが、今回の合計Dスコアは37.2にもなりました。あん馬や平行棒ではさらにDスコアを伸ばすことも可能です。

とはいえ、試合で37.2を出す必要があると言っているわけではありません。2023年はパリオリンピックに向けて、6種目を通して最も得点が得られる構成を固めていく時期になります。その意味では、橋本は2022年に様々な構成を試し、その下地を整えてきたとも言えます。また好不調の波もその身で十分に経験したことでしょう。2023年はより安定感のある構成そして実施を見せてくれるものと信じています。橋本の演技に今年も注目です。

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