2022 Routine of the Year
毎年、年の瀬に選んでいる「今年の演技」です。2022年は新ルール初年であり、魅力的な演技が数多く出現してとても迷いましたが、やはりこの演技を選ばずにはいられませんでした。世界最高Dスコア6.7を誇る橋本大輝の鉄棒です。8月の全日本学生選手権や10月の世界選手権・予選でも同じ構成を見せていますが、やはり初めて見せた4月の全日本選手権の印象が強烈でした。
1. | アドラーひねり | Jam 1/2 | D | III | |
---|---|---|---|---|---|
2. | ~リューキン | + Liukin | F | II | (CV:0.2) |
3. | カッシーナ | Cassina | G | II | |
4. | コールマン | Kolman | E | II | |
5. | 伸身トカチェフ | Tkatchev Lay | D | II | |
6. | ~トカチェフ | + Tkatchev | C | II | (CV:0.1) |
7. | アドラー1回ひねり逆手 | Jam 1/1 to UG | E | III | |
8. | シュタルダー | Stalder | B | III | |
9. | 後方とび車輪1回ひねり | Hop 1/1 | C | I | |
10. | 後方伸身2回宙返り2回ひねり下り | Double Back Lay 2/1 | E | IV |
D:6.7
E:8.733
Score:15.433
4月の全日本選手権で見せたDスコア6.7の構成。2022年を通じて世界でこの演技を上回る構成はついに出現しませんでした。これでも十分驚異的なのですが、橋本はカッシーナ~コールマンの連続やシュタルダーとび3/2ひねり片大逆手(D)を試合で見せたことがあり、まだまだDスコアを上げる余地があるのが凄いところです。
一方、橋本の2022年は波のある一年でもありました。鉄棒でこの構成を通したのは3回だけ。リューキンは回避することも多く、5月のNHK杯では替わりに入れようとしたヤマワキ(C)で2回落下、11月の世界選手権・種目別決勝では伸身トカチェフ~トカチェフの連続に失敗し、同系統の手放し技の回数制限というこの構成の弱点も顕わにしています。6種目を演技した12月の全日本団体はちょっとボロボロと言っていい出来でもありました。
2023年はオリンピック前年の大事な年になります。橋本にはコンディションの維持やピーキングの調整に気を配り、日本の揺るぎないエースとしてますますの活躍を見せてほしいところ。これまで以上の安定した演技を期待します。
コロナ禍はいまだ収まりを見せてはいませんが、2022年は大会が中止されることもほとんどなく、世界的にはおおむねコロナ禍以前の日常を取り戻している感があります。一方で2月に始まったロシアのウクライナ侵攻は体操界にも深い影を落とし、ロシア及びベラルーシの大会出場停止処分は今も続いています。なかなか思いどおりにならない昨今ではありますが、とにかくも2024年パリオリンピックに向けた新たなサイクルがスタートし、当ブログも何とか1年間続けることができました。ご覧いただいた皆さま、本当にありがとうございました。どうぞよいお年をお迎えください。
この記事へのコメント
あき
こちらのサイトの話題とは異なりますが、世界選手権で日本女子の活躍も目立っておりました。男子に遅れること、苦しい状況から次の光も見えたと思います。男女ともジュニア育成からの努力が結果に繋がったと思います。
情熱大陸で、橋本大輝が”体操はマイナー・・・”的な発言をしておりましたが、サッカーや野球にかなわなくても、世界的には裾野も広がり色々な国々の選手がメダルを取る”体操”になって来ました。また来年感動的な演技を期待しております。
サイト運営ありがとうございます。引き続き頑張って下さい。
Ka.Ki.
近年の日本女子の躍進は一昔前を知るものとしては信じられない思いがありますね。当ブログでは記事としては扱っていませんが、とても嬉しく思っています。
男子体操もご指摘のとおり、多くの国がメダルを獲る状況になってきており、以前と比べるとグローバル化が進んでいて良い傾向ではないかと思います。
励みになるお言葉、ありがとうございます。今年も何とか継続して更新していきたいと思っています。よろしくお願いします。