張博恒 - 2022年世界選手権:個人総合の演技

ZHANG Boheng (CHN)
2022 Worlds Liverpool (GBR) AA


2022年世界選手権・リバプール大会、個人総合2位の張博恒(中国)の演技です。

#1 ゆか FX


1.前方伸身宙返り1回ひねりFront Lay 1/1CII
2.~前方屈身2回宙返り+ Double Front PkEII(CV:0.1)
3.後方伸身宙返り5/2ひねりBack Lay 5/2DIII
4.~前方伸身宙返り+ Front LayBII(CV:0.1)
5.前方伸身宙返り5/2ひねりFront Lay 5/2EII
6.後方伸身宙返り2回ひねりBack Lay 2/1CIII
7.前方伸身宙返り2回ひねりFront Lay 2/1DII
~前方伸身宙返りひねり+ Front Lay 1/2BII
8.フェドルチェンコFedorchenkoCI
9.開脚座から力十字倒立Split Press to Japanese HdstCI
10.後方伸身宙返り3回ひねりBack Lay 3/1DIII

D:5.8
E:8.233
Score:14.033

2本目、予選で見せた後方5/2~前方ダブル(D)は回避し、~前方伸身としている。実施は悪くないが、全体的に着地が止まらなかった。


#2 あん馬 PH


1.正交差倒立Front Scissor to HdstDI
2.後ろ振り倒立Back Swing to HdstCI
3.把手上下向き転向CzechkehrBII
4.Dコンバイン2 Flops + R180DII
5.ロスRussian Travel 3/3 360DIII
6.トン・フェイTong FeiDIII
7.マジャールMagyarDIII
8.シバドSivadoDIII
9.馬端馬背ロシアン1080°転向Leather Russian 1080DII
10.一把手上縦向き旋回倒立3/3移動下りP Loop to Hdst Travel 3/3DIV

D:5.7
E:8.533
Score:14.233

あん馬もショーン(E)は回避し、いつもの把手上下向き転向にしている。ロシアン転向がわずかに揺れたように見えたが、全体としては安定した演技を見せる。


#3 つり輪 SR


1.後方伸腕伸身逆上がり中水平支持Back Roll to MalteseEII
2.後ろ振り上がり十字倒立Back Uprise to Inv-CrossEIII
3.後ろ振り上がり上水平支持Back Uprise to PlancheDIII
4.屈身ヤマワキYamawaki PkDI
5.後ろ振り上がり中水平支持Back Uprise to MalteseEIII
6.アザリアンBack Roll to CrossDII
7.ホンマ十字懸垂Whippet to CrossDIII
8.後ろ振り上がり倒立Back Uprise to HdstCI
9.ほん転逆上がり倒立Felge to HdstCI
10.後方かかえ込み2回宙返り2回ひねり下りDouble Back 2/1EIV

D:6.2
E:7.900
Score:14.100

後転上水平(E)を抜き、代わりにホンマ十字を入れている。Dスコアは0.1ダウンだが、それでも6.2でオールラウンダーしては凄い。実施は悪くないように見えるが、Eスコアは伸びなかった。着地は後ろに1歩。


#4 跳馬 VT


DEPenScore
ロペスKasamatsu Lay 2/1I5.69.30014.900

跳馬はロペス。着手時の手の位置やスナップ(着手後に体を起こすときの腰の曲がり)がやや気になるが、その後の空中姿勢は良好。着地は両足1歩跳ねる。


#5 平行棒 PB


1.シャルロBasket to 1 Rail HdstEIII
2.単棒ヒーリー1 Rail HealyEI
3.リチャードFront Uprise DiamidovEII
4.後方車輪倒立Back Giant to HdstCIII
5.棒下宙返り倒立Basket to HdstDIII
6.前方開脚5/4宙返り腕支持5/4 Front StrdDI
7.バブサーBhavsarEIII
8.チッペルトTippeltDIII
9.ヒーリーHealyDI
10.前方かかえ込み2回宙返りひねり下りDouble Front 1/2EIV

D:6.4
E:8.666
Score:15.066

平行棒は中国選手権で見せた構成。シャルロで一瞬バランスを崩しかけるが、素晴らしい修正力で立て直す。いわゆる爆弾カットは相変わらずの実施でかなり気になる。着地は両足1歩跳ねるが、15点台に乗せる。


#6 鉄棒 HB


1.アドラー1回ひねり逆手Jam 1/1 to UGEIII
2.アドラーひねりJam 1/2DIII
3.伸身トカチェフTkatchev LayDII
4.カッシーナCassinaGII
5.コールマンKolmanEII
6.後方浮腰回転後ろ振り出し順手背面懸垂Stoop in to Back TossCIII
7.順手背面車輪Czech GiantDI
8.ケステKosteCIII
9.シュタルダーStalderBIII
10.後方伸身2回宙返り2回ひねり下りDouble Back Lay 2/1EIV

D:6.2
E:8.233
Score:14.433

鉄棒も中国選手権で見せた構成。カッシーナがバーに近くなってしまう。着地はほぼ止める。

Total Score:86.765 (Total D:35.9)
Rank:2nd



昨年は橋本大輝との接戦を0.017差で制した張博恒でしたが、今年は0.433差での2位となりました。合計Dスコアは35.9。ゆかやあん馬などより難しい構成も持ってはいますが、6種目を通して演技するためにはこれくらいの構成になるということでしょうか。橋本相手にミスがあっては勝てないという考えもあったかもしれません。しかし、それではノーミスの橋本には及ばず、先に6種目を終えた時点で、橋本の鉄棒に必要な得点は14.000と相手をかなり楽にさせてしまいました。

今大会は予選、団体決勝、個人総合と中国唯一のフル出場となりました。かなり疲労もあったと思われますが、そんな中でも6種目の安定感はかなり増してきたように思います。今後の橋本とのライバル対決がさらに楽しみになってきました。

この記事へのコメント

  • かみん

    つり輪のEスコアがこれだけ低く出たのはなぜでしょうね。8を切るようには見えませんが。。。
    たらればは良くないことはわかりつつ、つり輪のEスコアがもう少し出ていれば、鉄棒で橋本選手にもプレッシャーがかかり、リューキン回避の余裕もなくなったかもしれません。国籍に関係なく、手に汗握るハイレベルな競り合いを見たいファンとして、少しがっかりな気もします。
    2022年11月09日 10:52
  • Ka.Ki.

    確かに張博恒選手としてはこのつり輪で得点を稼いでおきたいところでしたね。目立ったミスは見受けられないのですが、ルール改訂で新たな減点項目も増えていますし、細かい減点の積み重ねでしょうか。個人総合に出場したオールラウンダーのつり輪は(Dスコアが低い選手は別として)軒並みこれくらいのEスコアになっていますね。
    2022年11月10日 20:43
  • コッコ

    個人的には張のつり輪は後ろ振り上がり倒立の静止時間不足と上水平の足先の揺れでEスコアが抑えられたと思います。

    後ろ振り上がり倒立の静止時間は生中継を見ていて短いと思いました。

    後ろ振り上がり上水平の実施は今大会の予選、国内選手権ともに揺れがありましたし、個人総合決勝でもそこは気になりました。まだ熟練しきっていないのだと思います。
    2022年11月10日 21:25
  • Ka.Ki.

    後ろ振り上がり倒立は確かにちょっと短いですね。個人的には十字倒立の揺れも気になりました。
    2022年11月10日 22:19