Theoretically Most Hardest Routine
2022年版採点規則において理論上最高のDスコアになる演技構成を考えてみました。
旧サイトや2017年にも記事にした恒例の企画。どの種目も無茶苦茶な構成であり、特に組合せ加点のあるゆかや鉄棒はありえないような連続ばかりです。しかし、このような検討はルールの勉強には打って付けだと思いますし、もしかしたら本当にDスコア向上につながる発想が潜んでいるかもしれません。
Dスコアの算出方法についてはリンク先の記事を参照してください。※は構成上、必須の技ではなく入れ替え可能な技が存在しますので一例とお考えください。
1. ゆか FX
1. | 前方伸身宙返り7/2ひねり(ゴシマ) | G | II | |
---|---|---|---|---|
2. | ~後方屈身3回宙返り(ナゴルニー) | I | III | (CV:0.2) |
3. | 前方伸身2回宙返り3/2ひねり(サパタ2) | H | II | |
4. | ~後方伸身2回宙返り3回ひねり(シライ3) | H | III | (CV:0.2) |
5. | 前方かかえ込み2回宙返り3/2ひねり(サパタ)※ | F | II | |
6. | ~後方かかえ込み2回宙返り3回ひねり(リ・ジョンソン) | G | III | (CV:0.2) |
7. | マンナから伸腕屈身力倒立※ | D | I | |
8. | 後方伸身2回宙返り5/2ひねり | G | III | |
9. | ~前方伸身宙返り3回ひねり(シライ2)※ | F | II | (CV:0.2) |
10. | 後方かかえ込み3回宙返り(リューキン) | H | III |
D:9.8!
今回も無茶な組合せばかりです。2022年のルール改訂で組合せ加点は技の前後に付けることができるようになり、回数制限もなくなりましたが、それでは切りがなくなってしまうのでここでは2連続までの組合せに限ることとしました。タイムや対角線の使い方なども考慮していません。F難度技とグループIのD難度技は入れ替え可能な技がいくつかあります。
2. あん馬 PH
1. | 正交差とび横移動ひねり逆交差入れ(馬端~馬端)(ミクラック) | D | I | |
---|---|---|---|---|
2. | DSA直接背面とび横移動倒立3/3移動1回ひねり下ろして旋回 | G | II | |
3. | DSA倒立3/3移動1回ひねり下ろして旋回(ブスナリ)※ | F | II | |
4. | Hコンバイン | H | II | |
5. | Fフロップ | F | II | |
6. | 両把手を挟んで横向き旋回1回ひねり(ケイハ) | F | II | |
7. | 縦向きとび前移動(馬端~馬端)(ドリッグス) | F | III | |
8. | 縦向き後ろ移動(馬端~馬端)(クルバノフ)※ | E | III | |
9. | 背面とび横移動(馬端馬背~馬端馬背)(ヤマワキ)※ | E | III | |
10. | イエッセン450°ひねり3/3移動下り※ | F | IV |
D:7.9!
高難度の旋回倒立技を2技入れるためグループIはセア倒立ではなくミクラックを用いることになります。ブスナリは、例えばDSA直接背面とび横移動倒立1回ひねり下ろして旋回(F)などと入れ替え可能です。Fフロップはベルトンチェリやダフチャンから始めても、開脚4フロップでもどちらでもOKですが、いわゆるGフロップ(ベルトンチェリなどから始まる開脚4フロップ)は採点規則で定義されていないので認められないものとしました。なお、同一枠の別の技(例えばケイハとケイハ5)が存在する場合は※印は付けていません。
3. つり輪 SR
1. | 懸垂から伸腕伸身十字倒立(バランディン2)※ | F | II | |
---|---|---|---|---|
2. | 伸腕伸身逆上がり十字懸垂経過上向き中水平支持(タロック)※ | F | II | |
3. | 前振り上がり上向き中水平支持(ロドリゲス)※ | F | III | |
4. | 伸身グチョギー(オニール) | E | I | |
5. | 後方伸腕伸身逆上がり中水平支持※ | E | II | |
6. | 背面水平懸垂から引き上げ上水平支持(ザネッティ) | F | II | |
7. | 伸身ホンマ支持後ろ振り倒立 | D | I | |
8. | 後ろ振り上がり中水平支持※ | E | III | |
9. | 後ろ振り上がり十字倒立※ | E | III | |
10. | 後方屈身3回宙返り下り(ウィッテンバーグ) | H | IV |
D:7.6!
つり輪は2017年からあまり変わっていませんが、せっかくなので格上げされた振動からの十字倒立を入れてあります。上向き中水平を入れることは必須であり、十字倒立や上水平でF難度が取れる技を用いることがポイントになります。表にはありませんがザネッティの前には背面水平懸垂(A)が入ります。伸身ホンマ倒立だけでもグループIと振動倒立技の要求は満たせますが、力技の連続をリセットするためオニールも必須となります。
4. 跳馬 VT
跳馬は2017年から変わらず、D:6.0の最高難度技は5つです。
・前転とび前方伸身宙返り3回ひねり(ヤン・ハクソン)
・伸身カサマツ5/2ひねり(ヨネクラ)
・前転とび前方屈身2回宙返りひねり(リ・セグァン2)
・ツカハラ後方かかえ込み宙返り1回ひねり(リ・セグァン)
・伸身ユルチェンコ7/2ひねり(シライ2)
種目別ではこれらから2本を揃えてくることが現在のところ最高の構成となります。
5. 平行棒 PB
1. | 棒下宙返り3/4ひねり単棒倒立経過、軸手を換えて3/4ひねり支持(ヤマムロ) | G | III | |
---|---|---|---|---|
2. | 棒下宙返り片腕支持5/4ひねり単棒倒立(チョウ・シーション) | G | III | |
3. | 懸垂前振り後方かかえ込み2回宙返り1回ひねり腕支持(キンテロ) | G | III | |
4. | 懸垂前振りひねり前方屈身2回宙返り腕支持(エスパルサ) | G | III | |
5. | 棒下宙返り後方屈身宙返り腕支持(フアレス)※ | F | III | |
6. | 前振り上がり片腕支持3/4ひねり単棒倒立経過、軸手を換えて3/4ひねり支持(ツォラキディス) | G | II | |
7. | 前振り上がり片腕支持5/4ひねり単棒倒立経過、1/4ひねり倒立(ツォラキディス2)※ | F | II | |
8. | 前振り上がり後方屈身2回宙返り腕支持(リ・シャオペン)※ | F | II | |
9. | 前振り片腕支持5/4ひねり単棒倒立経過、軸手を換えて5/4ひねり支持(ゾンダーランド) | F | I | |
10. | 後方かかえ込み2回宙返り1回ひねり下り(カトウ・ヒロユキ)※ | G | IV |
D:8.6!
平行棒は2017年以降も多くの新技が発表されたため、グループIIとIIIのF難度技は入れ替え可能な技が他にもあります。終末技ももう1技、前方かかえ込み2回宙返り1回ひねり下り(ラルドゥエ)があります。
6. 鉄棒 HB
1. | アドラー1回ひねり逆手 | E | III | |
---|---|---|---|---|
2. | ~ゲイロード1回ひねり(コウディノフ) | G | II | (CV:0.2) |
3. | ~屈身ペガン(マラス)※ | G | II | (CV:0.2) |
4. | ~伸身コバチ2回ひねり(ミヤチ) | I | II | (CV:0.2) |
5. | ~コバチ2回ひねり(ブレットシュナイダー) | H | II | (CV:0.2) |
6. | ~コバチ3/2ひねり片逆手(シャハム)※ | G | II | (CV:0.2) |
7. | 前方浮腰回転開脚抜き1回ひねり大逆手(キンテロ大逆手) | E | III | |
8. | シュタルダーとび3/2ひねり大逆手 | E | III | |
9. | 後方とび車輪3/2ひねり大逆手(リバルコ)※ | D | I | |
10. | 後方かかえ込み3回宙返り1回ひねり下り(ベーレ)※ | G | IV |
D:9.4!
アドラー系との組合せが復活したため、アドラー1回ひねりからの連続で始まります。マラスは伸身イエーガー2回ひねりと入れ替えが可能としました。シャハムもカッシーナ(G)と入れ替えが可能です。また、ピアッティ系の技であるスアレス(G)は他の技から連続では持ち込めないこととしました。アドラー1回ひねり、キンテロ大逆手、シートリバルコは必須技になります。
Total D:49.3!
もっと高い演技構成がある、ルールに抵触している、計算がおかしい、などお気づきの点があればご指摘いただけると幸いです。
(2022年8月2日 記事を一部修正しました)
この記事へのコメント
名無し
Ka.Ki.
いるか
力技の同じ終末姿勢は、各グループ1技までです。
Ka.Ki.