ダニエル・マリノフ - 2022年ロシアカップ:個人総合の演技

MARINOV Daniel (RUS)
2022 Russian Cup Kaluga AA


2022年ロシアカップ、個人総合2位に入ったのは17歳の新星、ダニエル・マリノフ(ロシア)でした。演技を見ていきましょう。

DスコアとEスコアの内訳が判っていません。よってDスコアは手元の計算による非公式、Eスコアは決定点からの逆算となっています。ご注意ください。

#1 ゆか FX


1.前方伸身宙返り2回ひねりFront Lay 2/1DII
2.~前方かかえ込み2回宙返り+ Double FrontDII(CV:0.2)
3.前方伸身宙返りFront LayBII
4.~前方屈身2回宙返り+ Double Front PkEII(CV:0.1)
5.後方かかえ込み2回宙返り2回ひねりDouble Back 2/1EIII
6.後方伸身宙返り5/2ひねりBack Lay 5/2DIII
7.脚上挙支持V-SitBI
8.後方伸身宙返り3/2ひねりBack Lay 3/2CIII
9.~前方伸身宙返り1回ひねり+ Front Lay 1/1CII
10.後方伸身宙返り3回ひねりBack Lay 3/1DIII

D:5.9
E:8.200
Score:14.100

最初の3本は順番は違うが優勝したニキータ・ナゴルニーと同じ宙返り。易々と決めてみせる。その後も無難に演技を進め、Dスコアは今回のナゴルニーより0.1だけ低い5.9をマークしている。


#2 あん馬 PH


1.後ろ振り倒立Back Swing to HdstCI
2.Dコンバイン2 Flops + R180DII
3.Dフロップ3 FlopsDII
4.シュテクリADSABII
5.把手上下向き転向CzechkehrBII
6.縦向き後ろ移動(2/3)Back Loop Travel 2/3BIII
7.トン・フェイTong FeiDIII
8.マジャールMagyarDIII
9.シバドSivadoDIII
10.一把手上縦向き旋回倒立3/3移動下りP Loop to Hdst Travel 3/3DIV

D:5.3
E:8.466
Score:13.766

E難度以上の技はないが、10技を揃えて無難に演技を通す。終末技はやや危なかったが、堪えて倒立に上げた。


#3 つり輪 SR


1.後方伸腕伸身逆上がり中水平支持Back Roll to MalteseEII
2.後方け上がり中水平支持Back Kip to MalteseEIII
3.ホンマ脚前挙支持Whippet to L-SitBIII
4.屈身ヤマワキYamawaki PkDI
5.ヤマワキYamawakiCI
6.後ろ振り上がり開脚前挙支持Back Uprise to Strd L-SitBI
7.伸腕屈身力倒立Pike Press to HdstBII
8.ほん転逆上がり倒立Felge to HdstCI
9.後ろ振り上がり倒立Back Uprise to HdstCI
10.後方かかえ込み2回宙返り2回ひねり下りDouble Back 2/1EIV

D:5.4
E:8.233
Score:13.633

最初の中水平2技の後は難度は高くないが、ここでもB難度以上の技で10技を揃える。着地は前に踏み出してしまう。


#4 跳馬 VT


DEPenScore
ロペスKasamatsu Lay 2/1I5.69.03314.633

跳馬はロペス。空中姿勢やひねり切りも悪くない。着地1歩動くに留める。


#5 平行棒 PB


1.棒下宙返り倒立Basket to HdstDIII
2.前振り上がりひねり倒立Front Uprise 1/2 to HdstEII
3.後方車輪倒立Back Giant to HdstCIII
4.チッペルトTippeltDIII
5.バブサーBhavsarEIII
6.後ろ振り上がり前方屈身宙返り支持Back Uprise Front Pk to SupDII
7.ヒーリーHealyDI
8.ディアミドフDiamidovCI
9.前振りひねり倒立Stützkehr to HdstCI
10.カトウ・ヒロユキDouble Back 1/1GIV

D:6.2
E:8.800
Score:15.000

高難度技も織り交ぜ演技を進めていくが、注目は終末技。なんとG難度のカトウ・ヒロユキを実施、さらに着地も止める。Eスコアも高得点で15点台の得点を出す。


#6 鉄棒 HB


1.カッシーナCassinaGII
2.コールマンKolmanEII
3.伸身トカチェフTkatchev LayDII
4.後方浮腰回転後ろ振り出し順手背面懸垂Stoop in to Back TossCIII
5.順手背面車輪Czech GiantDI
6.シュタイネマンSteinemanBIII
7.閉脚シュタルダーStalder PkCIII
8.ツォウ・リミンZou LiminCI
9.閉脚エンドーEndo PkCIII
10.後方伸身2回宙返り2回ひねり下りDouble Back Lay 2/1EIV

D:5.9
E:8.600
Score:14.500

カッシーナ、コールマン、伸身トカチェフと手放し技を決めた後は、順手背面車輪。後半は難度格上げになった閉脚シュタルダーや閉脚エンドーを実施する。アドラー系の技が入らないという近年では珍しい構成になっている。

Total Score:85.632 (Total D:34.3)
Combined Total:168.164
Rank:2nd



ブルガリア出身で17歳のマリノフがロシアカップ2位にランクインしました。ロシアカップの個人総合は予選との合計得点で順位が付きますが、この日だけの得点では85.632と全体1位をマークしていました。

合計Dスコアは34.3とまだまだですが、ゆかの前方ダブル系の技、跳馬のロペス、平行棒のカトウ・ヒロユキなど高難度の技もすでに多く実施しています。あん馬、つり輪で全てB難度以上の構成を組んでいるのも注目すべきところ。平行棒は種目別でも優勝しています。今後がかなり楽しみな選手が現れたと言えるでしょう。

この記事へのコメント

  • ななし

    最近知って技もあるし、実施も丁寧だし、良い体操するけど知らない選手だなあと思ってたら17歳ですか。
    末恐ろしい。
    詳しい解説ありがとうございます。
    いつも助かってます。
    2022年07月14日 07:40
  • Ka.Ki.

    いつもご覧いただきありがとうございます。

    実施もいいですし、本当に末恐ろしい選手が現れましたね。
    2022年07月15日 20:12