ニキータ・ナゴルニー - 2022年ロシアカップ:個人総合の演技

NAGORNYY Nikita (RUS)
2022 Russian Cup Kaluga AA


2022年ロシアカップはニキータ・ナゴルニー(ロシア)が通算4度目の優勝を飾っています。演技を見ていきましょう。

DスコアとEスコアの内訳が判っていません。よってDスコアは手元の計算による非公式、Eスコアは決定点からの逆算となっています。ご注意ください。

#1 ゆか FX


1.前方伸身宙返りFront LayBII
2.~前方屈身2回宙返り+ Double Front PkEII(CV:0.1)
3.前方伸身宙返り2回ひねりFront Lay 2/1DII
4.~前方かかえ込み2回宙返り+ Double FrontDII(CV:0.2)
5.後方かかえ込み2回宙返り2回ひねりDouble Back 2/1EIII
6.後方伸身宙返り2回ひねりBack Lay 2/1CIII
7.開脚座から力十字倒立Split Press to Japanese HdstCI
8.後方伸身宙返り5/2ひねりBack Lay 5/2DIII
9.~前方伸身宙返り1回ひねり+ Front Lay 1/1CII
10.後方かかえ込み2回宙返り1回ひねりDouble Back 1/1DIII

D:6.0
E:8.166
Score:14.166

ナゴルニー(後方屈身3回宙返り)は見せず。前方伸身~前方屈身ダブル、前方2回~前方ダブルと前方ダブル系の連続を2本見せる。前方屈身ダブルはピタリと止めたが、続く前方ダブルはラインを割ってしまった。全体としては演技をよくまとめる。


#2 あん馬 PH


1.正交差倒立Front Scissor to HdstDI
2.ショーンSohnEII
3.Eフロップ4 FlopsEII
4.Dコンバイン2 Flops + R180DII
5.一把手上縦向き旋回Pommel LoopBII
6.シュテクリBDSBBII
7.ウ・グォニアンRussian Travel 3/3 720EIII
8.マジャールMagyarDIII
9.シバドSivadoDIII
10.一把手上縦向き旋回倒立3/3移動下りP Loop to Hdst Travel 3/3DIV

D:5.9
E:7.700
Score:13.600

演技冒頭、カメラワークが乱れる。正交差倒立を取り入れルール改訂への対応を見せているが、全体的には難度を抑えている。旋回も安定しない印象だったが、落下せず演技を通してしまうのはさすがと言える。


#3 つり輪 SR


1.後方伸腕伸身逆上がり中水平支持Back Roll to MalteseEII
2.後方け上がり中水平支持Back Kip to MalteseEIII
3.け上がり十字懸垂Kip to CrossCIII
4.屈身ヤマワキYamawaki PkDI
5.ヤマワキYamawakiCI
6.後ろ振り上がり開脚上水平支持Back Uprise to Strd PlancheBIII
7.ほん転逆上がり倒立Felge to HdstCI
8.後方車輪倒立経過Back Giant thru HdstBI
9.後方かかえ込み2回宙返り2回ひねり下りDouble Back 2/1EIV

D:5.2
E:8.500
Score:13.700

2021年ロシアカップではDスコア6.1だったため、一部の技で難度の格下げがあったとはいえ、かなりDスコアを抑えていることが分かる。着地はほぼ止める。


#4 跳馬 VT


DEPenScore
ドラグレスクHdsp Double Front 1/2II5.69.26614.866

跳馬はドラグレスク。脚の開きは気になるが、これは従来どおりの実施。高得点を出す。


#5 平行棒 PB


1.後ろ振り上がり前方屈身宙返り支持Back Uprise Front Pk to SupDII
2.棒下宙返り倒立Basket to HdstDIII
3.棒下宙返りひねり倒立Basket 1/2 to HdstEIII
4.後方車輪倒立Back Giant to HdstCIII
5.マクーツMakutsEI
6.ヒーリーHealyDI
7.ディアミドフDiamidovCI
8.ディアミドフひねり5/4 Diamidov to 1/4DI
9.前振りひねり倒立Stützkehr to HdstCI
10.前方かかえ込み2回宙返りひねり下りDouble Front 1/2EIV

D:6.0
E:8.633
Score:14.633

平行棒もシャルロ(E)から単棒ヒーリー(E)が入っていないが、現時点としては十分な構成。終末技は従来同様、前方屈身ダブルひねり。ピタリと止める。


#6 鉄棒 HB


1.後方車輪Back GiantAI
2.コバチKovacsDII
3.コールマンKolmanEII
4.ツォウ・リミンZou LiminCI
5.アドラー1回ひねり逆手Jam 1/1 to UGEIII
6.アドラーひねりJam 1/2DIII
7.伸身トカチェフTkatchev LayDII
8.トカチェフTkatchevCII
9.シュタルダーStalderBIII
10.後方伸身2回宙返り2回ひねり下りDouble Back Lay 2/1EIV

D:5.6
E:8.433
Score:14.033

鉄棒はルール改訂に対応してコバチやコールマンといった技を復活させている。トップ10技にA難度技が含まれており、鉄棒もまだ難度は抑えられている。手放し技は今後、連続させてくることも考えられる。着地は足が1歩前に出る。

Total Score:84.998 (Total D:34.4)
Combined Total:168.763
Rank:1st



85点弱というナゴルニーとしては不十分な得点であり、決勝だけの得点ではダニエル・マリノフの85.632が最高でしたが、予選との合計得点で順位が付くロシアカップは2022年もナゴルニーが優勝を飾りました。

合計Dスコアも34.4と、2021年のロシアカップで37.0を出していたことを考えると、ルール改訂の影響を考えてもかなり抑え気味ですが、2024年パリオリンピックに向けて道のりを考えると、現時点ではこれで十分という判断なのでしょう。今後はDスコアをどんどん上げてくることが考えられます。今サイクルも注目です。

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