名前は付いてないけど本家本元:伸身トカチェフ(鉄棒)

Originators : Tkatchev Lay on HB


名前は付いてないけど本家本元。今回は鉄棒の伸身トカチェフです。

伸身トカチェフ Tkatchev Lay
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メジャーな手放し技でありながら名前の付いていない伸身トカチェフですが、最初に実施したのはワレリー・リューキン(旧ソビエト連邦)と西川大輔とされています(1)。1988年ソウルオリンピックでのことでした。





ともに伸身トカチェフをきれいに決めています。現在であれば「リューキン/ニシカワ」とでもなっていたでしょうが、当時は連名で名前が付くことはなく、より上位の成績の選手の名前が付いていたようです。そうなると個人総合で10点満点、種目別で金メダルを獲っているリューキンが優位であったでしょう。いずれにせよ、このときは単にトカチェフの姿勢を変えただけという判断だったのでしょうか、名前は付きませんでした。

今日、過去に発表された技に遡って名前が付くこともありますが、「リューキン」はすでに伸身トカチェフ1回ひねりに名前が付いているので、ただの伸身トカチェフが今さら「リューキン2」になるのもおかしな感じがします。西川の名が残らないのは残念ですが、おそらく今後も伸身トカチェフに名前が付くことはないのでしょう。

参考文献
(1) 木下英俊:鉄棒の手放し技に関する技術的研究, 体操競技研究 (2001)

この記事へのコメント

  • クルペック

    今年も楽しく拝見しております。
    この西川の伸身トカチェフについては、完成までを追う特集番組がオリンピック前に放送されたこともあり、しばらく体操を見ていなかった自分のような者も関心をかきたてられていました。ソ連より先に鉄棒を演じた日本チームのトリで西川が伸身トカチェフと伸身の月面を決めて9.85を出した時に、実況アナは点が低いと不満を述べていたのですが、その後に出てきたリューキンが軽々と伸身トカチェフを出した後にポゴレロフ、膝を揃えた三回宙返りを決めて有無を言わせなかったようになったのが印象に残っています。開脚・屈身が基本のトカチェフと全く違うシルエットになるので技名も欲しかったとは思いますが、無いものねだりなのでしょうね。
    2022年02月19日 17:24
  • Ka.Ki.

    今年もご覧いただきありがとうございます。

    どちらの伸身トカチェフも素晴らしいですが、ソウルでの実績となるとリューキンの方が上になってしまいますね。名前が付かなかったのは惜しいですが、記事にも書いたように今となっては難しいでしょうね。
    2022年02月21日 21:00