名前は付いてないけど本家本元:開脚旋回倒立下り(あん馬)

Originators : Flair to Hdst on PH


忘れたころにやってくる「名前は付いてないけど本家本元」です。今回はあん馬の開脚旋回倒立下りを取り上げます。

開脚旋回倒立下り(B) Flair to Hdst
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あん馬の倒立下りは、ユリ・コロレフ(旧ソビエト連邦)が1981年世界選手権・モスクワ大会で初めて実施したとされています(1)



あん馬における初の倒立の導入であり、この大会の個人総合チャンピオンが実施したことでも大きなインパクトを与えたようです。これ以降、あん馬における倒立は急速な普及を見せることになります。

動画の単なる開脚旋回倒立下りは現在B難度でグループ要求点も取れない技になりますが、倒立下り自体は様々な形態に発展しています。DSA倒立や下向き逆移動倒立にすることによってC難度、DSA直接背面とび横移動倒立などにするとD難度となり、ここに3/3移動や450°ひねりを加えることによってさらに難度が格上げされ、今日主流の下り技群となっていることは言うまでもありません。

中技としては、1980年代から90年代にかけて流行した後、一時あまり見られなくなりましたが、2009年にブスナリが発表されると再び流行。現在は限られたスペシャリストのみが実施する技として存在感を放っています。

これら倒立技の全ての始まりであるコロレフの倒立下りは、マジャール移動やシュピンデルと並ぶあん馬の革命的な技の一つと言えるでしょう。

参考文献
(1) 市場俊之:男子体操競技 その成立と技術の展開, 中央大学出版部 (2005)

この記事へのコメント

  • あき

    気になって、この時のコロレフの年齢を調べると、19才前後。十分若いのですが、この2年後。ベロツェルチェフが16才で優勝するとは誰も考えなかったと思います。
    2022年02月04日 17:01
  • Ka.Ki.

    この頃のソビエトはまさに綺羅星の如くでしたね。
    2022年02月05日 21:19