ルーチン・オブ・ザ・イヤー2021

2021 Routine of the Year


毎年、年の瀬に選んでいる「今年の演技」です。2021年は驚異的な新技が次々と登場して迷いましたが、この演技を選びました。ヨーロッパ選手権、後方屈身3回宙返りを発表したニキータ・ナゴルニー(ロシア)ゆかです。


1.ナゴルニーTriple Back PkIIII
2.前方屈身2回宙返りひねりDouble Front Pk 1/2FII
3.前方伸身宙返り2回ひねりFront Lay 2/1DII
4.~前方かかえ込み2回宙返り+ Double FrontDII(CV:0.2)
5.後方伸身宙返り5/2ひねりBack Lay 5/2DIII
6.~前方伸身宙返り1回ひねり+ Front Lay 1/1CII(CV:0.1)
7.~前方伸身宙返り3/2ひねり+ Front Lay 3/2CII
8.後方かかえ込み2回宙返り1回ひねりDouble Back 1/1DIII
9.開脚座から力十字倒立Split Press to Japanese HdstCI
10.後方かかえ込み2回宙返り2回ひねりDouble Back 2/1EIII

D:6.8
E:8.366
Score:15.166
Rank:1st

スイスのバーゼルで開催された2021年のヨーロッパ選手権、ポディウムトレーニングでナゴルニーが実施した後方屈身3回宙返りには誰もが度肝を抜かれました。この驚異の超大技を予選でしっかり決めると、個人総合ではさすがに回避しましたが、動画の種目別で再び披露。しかも予選より全体の難度を上げるという離れ業を演じています。

ワレリー・リューキン(旧ソビエト連邦)が後方かかえ込み3回宙返りを発表したのは1987年。これまで何人かの使い手はいましたが、近年は幻の技とも言える状態が続いていました。この3回宙返りを復活させたのがナゴルニーら今日のロシア勢。そしてナゴルニーはこの大技をさらに屈身で実施してしまいました。

後方屈身3回宙返りにはもちろんナゴルニーの名前が付きました。難度はI難度。鉄棒のミヤチ(バーを越えながら後方伸身2回宙返り2回ひねり懸垂)と並ぶ最高難度の技に位置付けられています。

この技と勢いで東京オリンピックも席巻するかと思われましたが、後方屈身3回宙返りを実施した種目別は7位とやや奮わない結果となりました。年齢的には白井健三や萱和磨、谷川航と同学年で2022年に25歳になります。2024年パリオリンピックに向けた次期サイクルで再び活躍を見せることができるか注目です。



引き続くコロナ禍により2021年もなかなか思いどおりにならない1年となりましたが、それでもオリンピック(無観客ではありましたが)や世界選手権(こちらは座席間隔を空けないフル有観客)が成功裏に開催されたことを始め、多くの大会が行われたことは希望の光となりました。このブログも無事に続けることができ、5月の月間記事数はこれまでで最多となりました。これも偏にご覧いただいた皆さまのおかげと感謝しています。本当にありがとうございました。2022年からの新たなオリンピックサイクルでも当ブログをご愛顧いただければ幸いです。どうぞよいお年をお迎えください。

この記事へのコメント

  • あき

    ありがとうございます。何時も投稿楽しみしております。
    ”ルーチン・オブ・ザ・イヤー”は何で来るか・・・考えてましたが、ニキータ・ナゴルニーの屈伸3回宙返りは確かに驚異的ですね。
    床の性能が上がっているとはいえ、あの姿勢でしっかり3回回りきるのは素晴らしい。
    リューキンの3回宙返りは同じ世代でテレビで観たときも驚きましたが、着地姿勢がかなり低かったと記憶してます。
    また来年、ジムナストには素晴らしい演技を期待したいのと、こちらの投稿も楽しみしております。
    2021年12月29日 10:08
  • Ka.Ki.

    いつもご覧いただきありがとうございます。

    後方屈身3回宙返りの登場は驚異的と言う以外なかったと思います。

    これからも選手たちの素晴らしい演技に期待しましょう。今後ともよろしくお願いいたします。
    2021年12月30日 22:54