Disappearing Elements : Back Kehr Hop 1/2 and Double Swiss on PH
2022年版採点規則で削除される技はまだまだたくさんあるのですが、2021年ももう幕を閉じようとしていますし、消えゆく技シリーズもこれで一区切りとします。今回はあん馬の把手上上向きとび転向と下向きとび転向(スイス・ドゥーブル)を取り上げます。
といってもこの2技については、旧サイトのあん馬の転向技の名称についてという記事で書けることはほとんど書いてしまいました。よって新たなネタはないのですが、せっかくなのでこの消えゆく2技のレアな動画を見ていきたいと思います。
把手上上向きとび転向 Back Kehr Hop 1/2

横向き背面支持から上向き1/4逆転向し、1ポメル上縦向き背面支持で素早い持ち換えを行い、上向き1/4正転向をします。1974年の時点ですでに「最近ではこの技をこなしきる選手を見ることができない」(1)といわれるほどのレア技ですが、なんとか動画を見つけることができました。
動画のタイトルだけが頼りですが、1982年のNCAAの大会。実施しているのはマーク・バーグマンという選手だそうです。把手上上向きとび転向は動画の0:11あたりから。一瞬の実施です。刮目してご覧ください。
下向きとび転向 Double Swiss

横向き正面支持から下向き1/4正転向し、1ポメル上縦向き正面支持で素早い持ち換えを行い、下向き1/4逆転向をするという、把手上上向きとび転向とは対称的な構造を持つ技です。スイス・ドゥーブルの呼び名で知られ、日本語版採点規則にもその名が記載されています。
スイス・ドゥーブルはかつてはしばしば見られる技でした。動画は1983年世界選手権・ブダペスト大会から具志堅幸司の実施を。0:19あたりになります。その前に馬端でも似たような動きを見せていますが、こちらは現在の難度表にも記載がない技です。
いずれもB難度の技。現在では全く見られなくなった技ではありますが、あん馬の歴史そのものとも言える基本的な技術ではないかと思います。2022年版採点規則における主な変更点(あん馬)の記事でも書きましたが、難度表から消えてしまうにはあまりにも惜しいと思ってしまいます。
参考文献
(1) 金子明友:体操競技のコーチング, 大修館書店 (1974)
この記事へのコメント
マイコ
いかにも鞍馬らしい技術で、私の先輩も実施していました。
上位の選手には実施されないかもしれませんが
鉄棒でいえばワイラーのような基礎的な技術であり、
難度表から削除してしまうのは非常に惜しいですし寂しい限りです。
Ka.Ki.