消えゆく技シリーズ、今回は平行棒のクシェラ/セレン(棒下宙返り背面倒立経過とび倒立)です。
クシェラ/セレン Basket Inlocate to Hdst

発表者の一人、ヤン・クシェラ(フランス)の実施動画があります。発表年は2002年(1)と思われ、動画も同年のフランス国際のものです。
理想的な実施としては、バーを持ち換えることなく背面倒立を経過した後、肩転位をしてとび倒立という捌きになるものと思われますが、本家を始めそのような実施が見られないことも削除の一因かもしれません。
2008年までは棒下宙返り倒立(D)と別枠であり、クシェラ選手の演技のように棒下倒立とクシェラの両方を使うことができました。ここで単にクシェラと書きましたが、実は2008年までは難度表に記載された名前もクシェラのみでした。
2009年のルール改訂で棒下倒立と同一枠になり、使う選手は全くいなくなりました。このときに難度表における名前もクシェラ/セレンになっています。そのもう一人の発表者はスアット・チェレン(トルコ)。現在は、近年力を付けてきているトルコの体操連盟会長を務めています。実施動画は見つかりませんでした。
一方、類似した系統の技で同じく2009年に後方車輪倒立と同一枠となったウェルス(後方背面車輪倒立)は2022年版採点規則でも健在です。動画は本家トレント・ウェルス(アメリカ)の実施。こちらも今日実施する選手は全くいない技ですが、難度表に残りました。その理由が、本家の実施が適切だったためかどうかは分かりません。
ウェルス Back Giant Inlocate to Hdst

参考文献
(1) 男子体操競技委員会情報5号, 日本体操協会 (2002)
この記事へのコメント