2021年東京オリンピック:団体決勝の行方は

2021 Olympics TF Prediction


東京オリンピック、予選の後にまず行われる競技が団体決勝です。今回はこの団体決勝の行方を占ってみたいと思います。

団体決勝で有力なのが日本、中国、ロシア[1]の3国であることはまず間違いないでしょう。2016年リオデジャネイロオリンピック以降、表彰台に登るのは常にこの3国で変わっていません。4位以下にはアメリカやイギリスといった国が続きますが、上位3国とは少なからぬ実力差があります。

[1] ロシアは今大会、組織的なドーピング問題により「ロシア・オリンピック委員会(ROC)」として出場しますが、当ブログでは今後も単に「ロシア」と表記します。ただし、国コードは東京オリンピック関連の記事ではROCを使用します。


団体決勝において、この3国の得点を予想していきます。方法としては日本の団体代表選考を参考に、2021年に行われた主要な大会の得点を用いて、平均点や最高点を算出することとします。「主要な大会」はもちろん国により異なりますが、得点の予想にあたり参考にはなるでしょう。各国の「主要な大会」は以下のとおりとします。

日本(5試合)
・全日本選手権(予選・決勝)
・NHK杯
・全日本種目別選手権(予選・決勝)

中国(5試合)
・中国選手権(予選・個人総合・種目別)
・オリンピック代表選考会(1次・2次)

ロシア(9試合)
・ロシア選手権(予選・個人総合・種目別)
・ヨーロッパ選手権(予選・個人総合・種目別)
・ロシアカップ(予選・個人総合・種目別)

中国は大会がなかったので代表選考会の得点も採用します。ロシアだけ試合数が多いですが、この9試合全てに出場した団体メンバーはいません。

これらの大会から、各国各団体メンバーの各種目得点が高い3試合の平均を算出してみます。なお、跳馬で2本跳んでいる場合は得点の高い方を採用しました。結果は以下のとおり。


中国 (CHN)
FXPHSRVTPBHB
林超攀14.73314.56614.97814.622
孫煒14.38814.71114.29914.90015.06614.511
肖若騰14.90014.60014.40014.90014.322
鄒敬園14.83314.74416.333
Total44.02144.14343.44344.36646.37743.454265.805


日本 (JPN)
FXPHSRVTPBHB
橋本大輝14.70014.27715.12214.966
萱和磨14.86614.23314.811
谷川航14.40014.25515.37714.94414.233
北園丈琉14.65514.81113.78914.64415.01114.722
Total43.75543.95442.27745.14444.76643.921263.816


ロシア (ROC)
FXPHSRVTPBHB
BELYAVSKIY13.91114.96614.18914.22215.34414.200
DALALOYAN14.433
KARTSEV14.56714.01114.46614.69114.233
NAGORNYY15.05514.45514.80014.95515.18914.533
Total43.53343.43243.42143.64345.22442.966262.220


結果は中国が1位。日本は前半種目から中国に差を付けられ、跳馬と鉄棒では上回りますが、結果としては2点近い差が付いています。鄒敬園の平行棒が驚異的でここでも16.333をマーク。一方、北園のつり輪は肘を負傷する前の得点が採用されているので、演技するかどうかも含め現時点でどうなるかは未定です。

ロシアのダラロヤンはアキレス腱部分断裂の影響でゆか、跳馬の演技はしないものとしています。カルツェフの替わりにアブリャジンを団体戦に出すのではないかという見方もありますが、ここではカルツェフが団体戦に出場するものとしています。


もう1パターン、各国各団体メンバーの各種目の最高点を用いてみましょう。結果は以下のとおり。


中国 (CHN)
FXPHSRVTPBHB
林超攀15.16614.70015.13314.866
孫煒14.66614.73314.36614.96615.16614.600
肖若騰15.20014.80014.40014.90014.400
鄒敬園15.03314.80016.466
Total45.03244.56643.56644.56646.76543.866268.361


日本 (JPN)
FXPHSRVTPBHB
橋本大輝15.00014.73315.23315.16615.133
萱和磨14.86614.36614.533
谷川航14.53314.33315.53315.100
北園丈琉14.70014.86613.93315.00015.10014.866
Total44.23344.46542.63245.76645.36644.532266.994


ロシア (ROC)
FXPHSRVTPBHB
BELYAVSKIY14.40015.03314.40014.53315.36614.333
DALALOYAN14.23314.533
KARTSEV14.70014.50014.76614.333
NAGORNYY15.16614.96615.03315.00015.30014.600
Total44.26644.23243.96644.03345.43243.266265.195


順位には変動ありません。中国は演技する選手も変わっていませんが、日本やロシアは一部の種目で演技する選手が変わっています。このあたりは選手をどのように起用するか監督・コーチ陣が頭を悩ませるところだと思います。

北園の肘の具合やロシアの団体メンバーなど不確定要素はありますが、この結果を見る限りは中国が優位な状況です。中国については、試合ではない代表選考会の得点も採用しており、確かに得点は高めに出ていますが、そこまで異常な得点でもありません。一方、ロシアはダラロヤンの負傷の影響が大きく、かなり不利な状況です。

日本としては、もう各選手が最高の演技をするしかありません。日本の「各種目の最高点」であれば、中国の「各種目得点が高い3試合の平均」を上回ります。観客こそ入りませんが地元開催という地の利、跳馬と平行棒以外は慣れたセノー製の器械であることも味方に、各選手が持てる力を最大限に発揮してほしいと思います。


全ての競技の予選は7月24日(土)。全3班のうち、ロシア、中国は1班(10:00開始)、日本は2班(14:30開始)となっています。そして、団体決勝は7月26日(月)19:00開始です。

この記事へのコメント

  • マイコ

    いつも面白いデータありがとうございます。
    こうして見るとロシアはダラロヤン選手の怪我があまりにも痛い状況ですね。
    全体で見ると日本と中国で大きな差はないのですが
    平行棒だけで一気に離されてしまうのが厳しいところですね、、、
    種目別常連の肖選手がベスト3から外れるというのですから恐ろしいです。
    といっても日本もベストメンバーです。
    みんなが実力を出し切ればいい結果がついてくると信じています!
    2021年07月21日 13:11
  • マイコ

    ダラロヤン選手、ポディウム練習で床も跳馬もやっていますね、、、
    何が何だかわからない(汗
    2021年07月22日 09:44
  • Ka.Ki.

    ダラロヤン選手は予選では6種目やる可能性があるようですが、決勝ではやはり4種目の演技とするようですね。

    日本は地の利もあると思います。全力で頑張ってほしいと思います。
    2021年07月22日 23:05
  • マイコ

    確かに、床と跳馬も他選手が失敗したときのバックアップ用くらいで
    3選手が成功したら棄権する予定なのかもしれませんね。

    それにしても怪我から3か月でここまで演技できるようにもってきたのは驚きでした。
    2021年07月24日 08:51
  • Ka.Ki.

    ダラロヤン選手、6種目やりましたね。本当に驚きです。

    団体決勝もダラロヤン選手が演技しないと勝負にならない状況ですが、どうなるのでしょうね。
    2021年07月24日 21:59