本家本元:クロル(あん馬)

Originators : Kroll (PH)


年が明け、しばらくは主だった大会もないのでこういった記事が続くのですが、すでに2月の種目別ワールドカップ・コトブス大会が中止になったとの報も入っています。また今年も大会の中止・延期情報を記事にしなくてはならないのでしょうか。



気を取り直して、今回は本家本元、クロル(把手を挟んだ横向き支持からロシアン360°転向移動)です。

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発表者はシルビオ・クロル(旧東ドイツ)。現在ではお笑い芸人・オラキオさんのモノマネの方が知られているかもしれません。1980年代中盤から1990年代初頭の旧ソビエト連邦全盛時代に、旧東ドイツの中心選手として活躍しました。跳馬にも名前が付いた技を持っています。

1985年ヨーロッパ選手権・オスロ大会で発表したとされています(1)。Youtubeにはその時の映像も存在するのですが、あまり鮮明ではないため、今回は日本語実況の1987年世界選手権・ロッテルダム大会の動画を紹介。



動画では終末技の前に行っていますが、現在の難度表の図とは少し実施が異なるようです。クロル選手はあん部馬背から馬端馬背に360°転向移動していますが、図では把手を挟んだ横向き支持から逆馬端への360°転向移動となっています。年月が経つにつれ本家の実施とは異なる要件が備わる技がしばしばありますが、この技もそうなのかもしれません。

C難度の技で現在使う選手はほとんどいませんが、最近ではフランシスコ・バレット(ブラジル)が演技に取り入れています。動画は2019年リマ・パンアメリカン競技大会の種目別で優勝した時のもの。交差技の後に実施しています。



参考文献
(1) 佐野智樹、渡辺良夫:あん馬における両足系の技術発達史的研究, 体育学研究 (2019)

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