2021年内村航平の鉄棒は

Uchimura's HB Routine in 2021


あけましておめでとうございます。まだまだ予断を許さない状況には変わりありませんが、2021年はとにかく東京オリンピックがどのようなかたちであれ開催されることを祈るのみです。また、急遽開催が決まった世界選手権・北九州大会も是非無事に行われてほしいと思います。今年もどうぞよろしくお願いします。



2021年最初の記事はやはり内村航平です。2020年は種目別鉄棒への専念を宣言、ブレットシュナイダー(H)を取り入れたDスコア6.6の新構成を披露しました。全日本シニア友情と絆の大会全日本種目別の3大会で4回演技をし、尻上がりに得点を上げています。その演技はルーチン・オブ・ザ・イヤー2020でも紹介したばかりです。

カッシーナ~コールマン(G+E)を狙っているという情報もありますが、報道によればオリンピックではユプケ・ゾンダーランド(オランダ)との対戦を見据え、Dスコア7点台が必要になるとも考えているようです。カッシーナ~コールマンを連続させてもDスコアは6.8ですから、さらに構成を上げなくてはなりません。どのような構成が考えられるでしょうか。

内村の現在の構成は手放し技が4つですから、Dスコア7点台を狙うには手放し技をあと1つ増やすという手があります。これまでに見せたことのある手放し技としては、屈身コバチ(E)、コバチ(D)、ゲイロード2(E)、リューキン(F)、伸身トカチェフ(D)がありますが、このうち導入する可能性があるのは屈身コバチ、ゲイロード2、伸身トカチェフの3つに絞られるでしょう。屈身でないコバチを入れることはまずないでしょうし、リューキンは2012年以降行っていません。可能性のある3つの手放し技について、過去の実施を見ながら構成を考えてみましょう。

屈身コバチ Kovacs Pk


可能性が一番高いのはこの屈身コバチだろう。最近まで演技に取り入れており、スムーズに導入することができると思われる。構成としては以下が考えられる。

1.ブレットシュナイダーBretschneiderHII
2.屈身コバチKovacs PkEII
3.カッシーナCassinaGII
4.~コールマン+ KolmanEII(CV:0.2)
5.シュタルダーとび3/2ひねり片大逆手Stalder Hop 3/2 to MGDIII
6.アドラー1回ひねり片逆手Jam 1/1 to MGDIII
7.ヤマワキYamawakiDII
8.アドラーひねりJam 1/2DIII
9.後方とび車輪1回ひねりHop 1/1CI
10.後方伸身2回宙返り2回ひねり下りDouble Back Lay 2/1EIV

D:7.1


ゲイロード2 Gaylord2


2016年や2017年の全日本種目別で実施したゲイロード2。アドラーひねりからの連続で行っている。構成としては以下が考えられる。

1.ブレットシュナイダーBretschneiderHII
2.カッシーナCassinaGII
3.~コールマン+ KolmanEII(CV:0.2)
4.シュタルダーとび3/2ひねり片大逆手Stalder Hop 3/2 to MGDIII
5.アドラーひねりJam 1/2DIII
6.ゲイロード2Gaylord2EII
7.アドラー1回ひねり片逆手Jam 1/1 to MGDIII
8.ヤマワキYamawakiDII
9.後方とび車輪1回ひねりHop 1/1CI
10.後方伸身2回宙返り2回ひねり下りDouble Back Lay 2/1EIV

D:7.1


伸身トカチェフ Tkatchev Lay


伸身トカチェフは2014年以降行っておらず、再び導入する可能性は低い。当時は演技の最初に行っていたが、今年取り入れるなら上のゲイロード2を置き換えるようなかたちになるのではないか。

1.ブレットシュナイダーBretschneiderHII
2.カッシーナCassinaGII
3.~コールマン+ KolmanEII(CV:0.2)
4.シュタルダーとび3/2ひねり片大逆手Stalder Hop 3/2 to MGDIII
5.アドラーひねりJam 1/2DIII
6.伸身トカチェフTkatchev LayDII
7.アドラー1回ひねり片逆手Jam 1/1 to MGDIII
8.ヤマワキYamawakiDII
9.後方とび車輪1回ひねりHop 1/1CI
10.後方伸身2回宙返り2回ひねり下りDouble Back Lay 2/1EIV

D:7.0


内村の7点台の構成としては、これらDスコア7.0~7.1の構成、さらにはアドラー1回ひねりを逆手(E)にした7.1~7.2の構成が考えられるでしょう。手放し技以外の技としては終末技をフェドルチェンコ(F)にするという手もありますが、フェドルチェンコも2014年以降行っておらず、実施する可能性は高くないと思われます。



内村は基本的にはぶっつけ本番で演技をするような選手ではなく、練習で十分に熟練性を高めて試合に臨むタイプの選手です。しかし、通しで一度も試したことのなかった構成を見せた上記の2014年世界選手権のような例もあります。まずは国内での代表選考を勝ち抜かねばならず、2021年も国内では現在のDスコア6.6の構成を使い続けることも考えられます。内村が7点台の構成を披露するのはいつになるのか、キングの戦略に注目です。

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