萱和磨 - 2020年全日本シニア選手権:個人総合の演技

KAYA Kazuma (JPN)
2020 JPN Senior Nationals AA


2020年全日本シニア選手権の個人総合を制したのは萱和磨。難度を上げつつも安定した演技を見せ、87点台に迫る高得点を叩きだしました。その演技を見ていきましょう。

#1 ゆか FX


1.前方かかえ込み2回宙返りひねりDouble Front 1/2EII
2.前方屈身2回宙返りDouble Front PkEII
3.前方伸身宙返り2回ひねりFront Lay 2/1DII
4.~前方伸身宙返りひねり+ Front Lay 1/2BII(CV:0.1)
5.フェドルチェンコFedorchenkoCI
6.開脚座から力十字倒立Split Press to Japanese HdstCI
7.後方伸身宙返り5/2ひねりBack Lay 5/2DIII
8.~前方伸身宙返り1回ひねり+ Front Lay 1/1CII(CV:0.1)
9.後方伸身宙返り2回ひねりBack Lay 2/1CIII
10.後方伸身宙返り3回ひねりBack Lay 3/1DIII

D:5.8
E:8.700
Score:14.500

ゆかは従来構成のDスコア5.8だが着地が際立った。上体が傾いたり、手を回した着地こそあったものの、全ての着地が動かない。見事なスタートを切る。


#2 あん馬 PH


1.正交差倒立Front Scissor to HdstDI
2.逆交差倒立Back Scissor to HdstDI
3.Eフロップ4 FlopsEII
4.Dコンバイン2 Flops + R180DII
5.トン・フェイTong FeiDIII
6.ウ・グォニアンRussian Travel 3/3 720EIII
7.ロスRussian Travel 3/3 360DIII
8.開脚マジャールFlair MagyarEIII
9.開脚シバドFlair SivadoEIII
10.一把手上縦向き旋回倒立3/3移動下りP Loop to Hdst Travel 3/3DIV

D:6.4
E:8.533
Score:14.933

2019年世界選手権から構成は変わってないが実施の向上が見られる。セア倒立の切れが良く、転向移動技もスムーズにこなした。開脚シバドの角度にも改善が見られるか。会心の出来で高得点をマーク。


#3 つり輪 SR


1.後方伸腕伸身逆上がり中水平支持Back Roll to MalteseFII
2.後方け上がり中水平支持Back Kip to MalteseEIII
3.ナカヤマBack Lever to CrossDII
4.ヤマワキYamawakiCI
5.屈身ヤマワキYamawaki PkDI
6.ホンマ十字懸垂Whippet to CrossDIII
7.後ろ振り上がり開脚上水平支持Back Uprise to Strd PlancheCIII
8.ほん転逆上がり倒立Felge to HdstCI
9.後ろ振り上がり倒立Back Uprise to HdstCI
10.後方伸身2回宙返り2回ひねり下りDouble Back Lay 2/1FIV

D:6.1
E:8.166
Score:14.266

難度は変わらないが後ろ振り上がり中水平(E)を後方け上がり中水平に、アザリアン(D)をナカヤマに変えている。中水平の姿勢はやや気になるが、全体的な実施は良い。振動倒立技の決めも良好。着地は動く。


#4 跳馬 VT


DEPenScore
ロペスKasamatsu Lay 2/15.68.8330.114.333

萱の今大会最大の目玉は跳馬。ロペスに挑む。着手姿勢、空中姿勢など良好とは言えず、着地も片足が大きくラインオーバーとなるが、それでも今大会はロペスで立ったことを評価したい。今後の実施改善に期待。


#5 平行棒 PB


1.後ろ振り上がり前方屈身宙返り支持Back Uprise Front Pk to SupDII
2.ヒーリーHealyDI
3.棒下宙返りひねり倒立Basket 1/2 to HdstEIII
4.棒下宙返り倒立Basket to HdstDIII
5.前方開脚5/4宙返り腕支持5/4 Front StrdDI
6.バブサーBhavsarEIII
7.チッペルトTippeltDIII
8.ピータースBack Toss 1/4 to HdstDI
9.単棒横向き閉脚浮腰上がり倒立Side Glide L Up to HdstCIII
10.前方かかえ込み2回宙返りひねり下りDouble Front 1/2FIV

D:6.3
E:8.366
Score:14.666

平行棒は従来構成のDスコア6.3。全体として目立ったミスはなく、着地も止めるが、Eスコアは思ったより伸びない。倒立のブレで逐一引かれたか。


#6 鉄棒 HB


1.ムニョス/ポッツォMunoz - PozzoEII
2.アドラー1回ひねり逆手Jam 1/1 to UGEIII
3.アドラーひねりJam 1/2DIII
4.伸身トカチェフTkatchev LayDII
5.トカチェフTkatchevCII
6.リンチLynchDII
7.ヤマワキYamawakiDII
8.後方浮腰回転後ろ振り出し順手背面懸垂Stoop in to Back TossCIII
9.順手背面車輪Czech GiantDI
10.後方伸身2回宙返り2回ひねり下りDouble Back Lay 2/1EIV

D:6.1
E:8.200
Score:14.300

アドラー1回ひねりを逆手で持ち、難度を上げている。着地は動くが、中技は目立ったミスなく演技を通し、萱の鉄棒としては会心の得点となる。

Total Score:86.998 (Total D:36.3)
Rank:1st



萱が全日本シニア選手権2連覇を達成。跳馬と鉄棒で難度を上げつつのこの変わらぬ安定感は素晴らしいものがあります。合計Dスコアは36.3。これは日本人最高となり、世界でも5本の指に入るハイレベルなものです。

いよいよ日本のエースの座を確固たるものにしつつあるといった印象ですが、世界にはまだまだ上がいます。これに満足せず、さらに難度と実施の両面で0.1の得点アップにこだわる研鑽を積んでほしいと思います。

この記事へのコメント

  • マイコ

    難度を上げながら実施も良くしていかないといけない
    世界で戦うにはそれが必要だと萱選手自身が口にしていましたが
    それを実行するのは並大抵の努力ではないと思います。

    今回中国選手の演技も紹介していただき
    彼らもさらにレベルアップしていると感じました。

    それでもなお、さらに高くなる壁に対して
    萱選手は差を縮めつつあると感じました。
    現在の日本選手の中で、個人的には一番オリンピックに出てほしいと感じている選手です。
    2020年10月02日 10:24
  • Ka.Ki.

    中国勢もかなりパワーアップしていますよね。団体戦では他の選手の力も必須になりますので、可能性のある選手には必死で頑張ってほしいと思います。
    2020年10月02日 21:40