Uchimura Focuses on HB for Olympics
内村航平が2021年の東京オリンピックに向け、種目別鉄棒に絞って出場を目指していると報じられています。
・体操 内村航平 種目別「鉄棒」に絞ってオリンピックへ
報道によれば、日本が連覇を目指す団体戦や、3連覇が懸かる個人総合への出場は断念するとのこと。また、この決定は2月のオーストラリア合宿からの帰国後に決めたとのことです。
これが本当だとすると、東京オリンピックの延期が決定された3月24日より以前に鉄棒への専念を決めたことになります。オリンピックの延期は内村にとって有利に働く面もあるのではとも考えていたので少し残念な決定ではありますが、内村自身がそう決めたのであれば引き続き全力で応援するしかないでしょう。
さて、その種目別鉄棒に絞っての出場ですが、どのような道があるのでしょうか。2020年東京オリンピック出場選手の記事も参照しつつ、確認しておきましょう。
日本はすでに基準1の「2018年世界選手権:団体決勝上位3か国」で団体出場権を確保しており、団体戦に出場する4人の選手の選考は日本体操協会に委ねられています。内村は団体戦への出場を断念するということなので、この枠からの出場はなくなります。
基準2~4は当然ながら対象外です。団体出場権のある国は基準5〜7で最大2枠の出場権を得ることができます。このうち基準5の「2018/2019年及び2019/2020年種目別ワールドカップシリーズ最終ランキング各種目上位1人」も内村は対象外ですが、ここで日本人選手が1枠を得ると、残りは基準6、7で1枠ということになるため、この基準5の行方も大きな影響を与えます。
基準6の「2020年個人総合ワールドカップシリーズ最終ランキング上位3か国の選手」については、1大会が開催されたのみとなっていますが、2021年に3大会があらためて開催されることが予想されます。また基準7の「2020年大陸選手権:個人総合決勝上位9人(1国1人まで)」も2020年アジア選手権は中止となりましたが、2021年の開催が予想されます。これらの大会で得られた1または2枠から内村はオリンピック出場を目指すことになります。いずれも個人総合の結果で得られる枠であるため、内村が直接出場して枠を獲ることはありません。誰か他の選手が「獲ってくれた枠」で出場を目指すということになるのです。
この基準6または7の枠が得られた場合は、日本体操協会が定めた世界ランキングポイントにより代表が争われます。当初の発表では対象となる大会は全日本選手権(予選・決勝)、NHK杯(1日目・2日目)、全日本種目別選手権(予選・決勝)となっていましたが、2021年にこれらの大会がどのように開催されるかは未定です。また、ランキング作成の対象となる大会も2019年世界選手権や2019/2020年種目別ワールドカップシリーズなどとなっていましたが、これについてもどうなるか未知数なところがあります。
いずれにせよ、内村としては他力本願で得られた枠を、国内大会によるランキングで争うことでしか東京オリンピックに出場する術はないということになります。内村の鉄棒の実力を考えれば、オリンピックに出場すれば少なくともメダルは固いのではないかと思いますが、その前段に国内の狭き門が待ち構えていることになりそうです。
オリンピック出場に向けて内村がこの道しかないと判断したということは、それだけ個人総合6種目をこなすことが難しいということなのでしょう。これまで「6種目やってこそ体操」と言い続けてきたキングが下した(おそらく苦渋の)決断でしょうから、ファンとしては全面的に支持するしかありません。オリンピックで最高の鉄棒の演技が見られることを期待しつつ、今後を見守りたいと思います。
この記事へのコメント
Alchemist
詳細な解説をありがとうございました。
選考にかかわる今後の国内外の試合に目が離せませんね。
体操大好き人間
今回、鉄棒一本で目指すと言うことですが。
もう少し判断が早ければ2~3種目で勝負ができたのではないかなと思っちゃったりします。
でも、まー、内村さんのご判断とご決断なのでオリンピックを見捨ての最善のお考えだったのでしょうから、最後の最後まで応援していきたいですね。
とにかく出場して頂きたいです^^
Ka.Ki.
分かりやすく書けたかどうかは疑問ですが、ご覧いただきありがとうございます。仰るとおり今後の選考から目が離せませんね。
Ka.Ki.
とにかく内村選手を応援するしかないですよね。東京オリンピックに出場できることを祈っています。