Originators : Double Back Lay on FX
ネタがないのでこんなことを始めてしまいます。名前は付いてないけど本家本元。旧い時代の技には発表者の名前が付いていないものが多々あります。そんな技の発表者の演技を見ていければと思います。ある程度の根拠と動画がなければ記事にならないので、どこまでできるかは分かりませんが。
初回はゆかの後方伸身2回宙返りです。
発表者はニコライ・アンドリアノフ(旧ソビエト連邦)。発表したのは1977年ワールドカップ・オビエド大会とされています(1)。動画は翌1978年の世界選手権・ストラスブール大会のもの。姿勢は今日のように美しいものではありませんが、当時驚異的な技であったことは窺い知れます。
他の種目でも後方伸身2回宙返りが花開いた時代でもありました。鉄棒の後方伸身2回宙返り下りは1974年の発表。つり輪の後方伸身2回宙返り下りはゆかと同じく1977年にアンドリアノフによって発表されています。
難度は1985年にD難度が設置されて以降、一貫してD難度だったと思われます。一時期は終末技としても流行りましたが、最近はこの技を終末技にする選手は少なくなりました。ゆかの強者という感じで個人的には好きなんですけどね。
なお、女子で最初に実施したのはメアリー・ルー・レットン(アメリカ)。1984年のロサンゼルスオリンピックで発表したとされています。難度はF難度です。
参考文献
(1) 神田眞司:ゆか運動における後方伸身2回宙返りの技術に関する研究, 順天堂大学 (1985)
この記事へのコメント
ロン
太一
確かに完全とは言えない空中姿勢は気になりましたが、当時はこの大技を実施出来るだけで評価されていたようで、この団体の演技で得点は全演技最高(梶山の跳馬に並び)の9.90をたたき出し、日本を追い詰めてましたね。
とびっくりしていたのも束の間、そのわずか数週間後のバンコク・アジア大会の種目別床でのことでした。FIG加盟復帰直前にあった中国の、李月久が完璧な姿勢の後方伸身ダブルを披露したんですよね。
世界の技術はそこまで発展してるのかと驚愕したのとともに凄いものを見た興奮はよく覚えています。
私も迫力を感じる床の「後方伸身2回宙返り」は、とても好きな技のひとつです。
Ka.Ki.
かつては姿勢を変えただけのような技には名前が付かないことも多かったのです(もちろん例外もあります)。伸身トカチェフはリューキン選手と西川大輔選手が発表したと言われていますが、名前が付いていないことに特段の事情はなく単に時代の違いだと思います。最近は遡って名前が付くこともありますが。
Ka.Ki.
李月久選手の実施は動画が見当たらないですね。
太一
メジャーな大会としては翌年のフォートワース世界選手権でも彼は伸身ダブルを行っており、もし映像が見つけられるとしたらこの大会かなと思います。
彼はそのとき開始技でトーマス転を伸身で発表(新技)し、第2タンブリングで伸身ダブルを行うという超人的な脚力を披露しています。
また、同大会ではトカチェフも姿勢欠点のない素晴らしい伸身ダブルを行っています。
ここでアップされているアンドリアノフの映像ですが、最後まで見ると団体自由ではなく、個人総合での演技であることがわかりました。すみませんが前述の団体の映像としていた件、訂正いたします。