東京オリンピックは開催延期に

2020 Olympics Postponed


東京オリンピックの開催延期が決定しました。

先週の時点でIOCは「開催まで4か月以上ある現時点で、抜本的な決定を下す必要はない」としていました。これに対し各国のオリンピック委員会や競技団体からは批判や懸念の声が上がり、3月22日にはカナダのオリンピック委員会が「今夏開催のオリンピックには選手団を派遣しない」と表明するなど予定どおりの開催は極めて困難な状態となっていました。

同日IOCは「延期を含めた検討を始め、4週間以内に結論を出す」と発表。さらに24日、事態は急展開を見せます。安倍晋三内閣総理大臣がトーマス・バッハIOC会長と電話会談、「大会中止という選択肢はない」とした上で「予定どおり7月に開催することは不可能であり、更には年内に開催することも不可能であるため延期せざるを得ない」ことで意見が一致。「遅くとも2021年夏までの実施に向けて、具体的に検討していく」との結論に至ります。IOCは直後に電話会議の緊急理事会を開催。この合意の内容を承認し、東京オリンピックの開催延期が正式決定されました。

なお、「東京2020」の名称はそのまま使われるようです(今はあまり気になりませんが、2021年になるとかなり違和感を感じるようになるのではと思ってしまいます)。



この決定より様々な影響が出てきますが、ここでは体操競技における影響について考えます。

● 出場資格

何よりもまずは出場資格です。2018年及び2019年世界選手権の結果によりすでに団体12か国と個人出場の31人が決定しています。2020年は世界選手権がなく、今から開催を企画することも難しいでしょうから、これらの国と選手についてはそのまま2021年のオリンピックに出場することになると考えられますが、個人出場の選手についてはピーキングに腐心することになりそうです。

そして団体出場資格のある国についてです。団体の代表選手は各国の協会に委ねられることになりますが、報道によれば日本体操協会はすでに2月末の時点で「延期などの全てのケースに対して選考方法を検討」するよう強化部長に通達。「年単位での延期の場合は別途大会を実施する予定」とのことです。

体操協会 新選考方式検討 事前に「延期」想定

2021年のオリンピックがいつ開催されるかはまだ決定していませんが、放映権料等の問題もあり2020年と同時期になる可能性が高いと考えられます。日本の団体代表については、従来の選考方法をスライドさせ、2021年の全日本選手権とNHK杯で決定されることが予想されます。日本体操協会では31日の臨時常務理事会などで今後の代表選考についての協議を予定しているそうです。

東京オリンピック延期 体操代表選考は31日に協議へ

個人総合ワールドカップシリーズについては、2020年は3大会が中止される事態となりましたが、基本的にはオリンピックに関わらず例年開催されている大会です。2021年にあらためて3~4大会を開催してランキング上位3か国を決めることは不可能ではないように思えます。

問題は種目別ワールドカップシリーズです。こちらも例年開催されている大会ではありますが、オリンピック出場資格が懸かるシリーズとしては2018/2019年及び2019/2020年の8大会の結果で個人出場が決まるというルール。すでに6大会が開催されており、実質的に出場が確実となっている選手も存在します。これについてはFIGの発表を待つしかないと思われます。

各大陸の大陸選手権についてはすでにいくつかの大会が中止または延期になっており、あらためて2021年に開催するしかないと思われますが、アジア選手権のように毎年開催ではない大会もあり、こちらも今から2021年の開催を企画できるかどうかという問題があります。ヨーロッパ選手権は毎年開催ですが、2020年はバクー(アゼルバイジャン)、2021年はバーゼル(スイス)といったようにすでに開催場所は決まっているため、有利不利という問題はあるかもしれません。


● 2021年世界選手権

体操競技においてはオリンピックイヤーに世界選手権は開催されませんが、2021年の世界選手権はデンマークのコペンハーゲンで開催されることが決定しています。開催時期は10月であり、オリンピックと重なることはないと思われ、そのまま開催されることが予想されます。ただ、時期的に近くなる可能性が高いため、他競技で見られるようにオリンピックに出場した有力選手が世界選手権の出場を回避するような事態は発生するかもしれません。


● ルール

体操競技のルールはオリンピックの翌年に改訂され、次のオリンピックの年まで使われます。すでに2021年から適用される新ルールが検討されていますが、こちらは2021年のオリンピックの後、2022年から適用されるのではないでしょうか。過去には2004年アテネオリンピックの後、10点満点を廃止するという大規模なルール改訂が間に合わず、2006年から新ルールが適用されています。必ずしも4年ごとに改訂されているわけではありません。



オリンピックの開催延期は史上初めてであり、その影響は計り知れないものがありますが、各国のオリンピック委員会や国際競技連盟はこの決定を歓迎。FIGも歓迎し、様々な決定の変更や調整を行うとしています。事態は引き続き刻々と変化しています。今後も状況を見守りたいと思います。

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