FIG ニュースレター #36

FIG Newsletter #36


FIGのNewsletter #36が発行されましたので、ここで内容をまとめておきたいと思います。なお「⇒」以降は私のコメント(戯言)です。

解釈に間違いがあるかもしれません。競技関係者の方は原本を直接確認するか、日本体操協会の公式な情報をお待ちください。

一般条項 General

● コーチは、つり輪と鉄棒を除き、選手の演技中にポディウムに留まることを認められていないことに留意すること。平行棒においては、跳躍板を移動させる必要がある場合にポディウムに留まることができるが、その後はポディウムを離れる必要がある。


ゆか FX

● 力倒立において、足でゆかを蹴ったり、脚が下がってゆかに触れた場合は不認定となる。しかし、倒立が静止している場合はその難度は得ることができる。



● いくつかのアクロバット技において、部分的にかかえ込み姿勢で実施されても難度が下がることはない。例えば、前方伸身宙返り2回ひねりにおいて 2回目のひねりで膝が曲がった場合でも難度を得ることができる。ただし、「曖昧な姿勢(かかえ込み、屈身、伸身)」の減点は適用される。
⇒ひねり技が例に挙げられていますが、2回宙返り技も同様なのでしょうか。




あん馬 PH

● ミクラックタイプの技において、技が完了する前に馬体を脚で支えるような捌きの場合は不認定となる。
⇒よほど悪い捌きでない限り適用されない気がします。



● 後ろ移動やウ・グォニアンタイプの技において、選手は馬端外向き背面支持(馬端馬背を両手で支持)から技を開始することができる。
⇒現状追認のようなルールです。本来は正面支持から開始されるべきだと思います。




つり輪 SR

● 伸腕伸身力倒立(II-27)は、身体が垂直線を越えた時点から伸身で実施されなければならない。身体が45°を超えて曲がった場合は、伸腕屈身力倒立(II-26)として判定される。



● け上がりタイプの技は、身体を深く屈身させた姿勢から開始され、明確で動的な振動へと続けられる振動技である。後方け上がり中水平支持(III-59)で、浅い屈身姿勢や振動ではなく力を使用した捌きは小、中または大欠点となる。
⇒ロシア勢の捌きが対象となっている気がします。




跳馬 VT

● 選手がマットの端を越えた場合、ライン減点はない。マットの端を越える前に、着地エリアのラインの外に出た場合は、通常のライン減点が課される。

● ロンダートから第1局面で1/2ひねる跳越技について、ひねりが不十分な場合は、通常のひねり不足と同様の減点が行われる。ひねり不足が正しい位置より90°を超えるような極端な場合は、跳越はユルチェンコタイプとして判定される。
⇒Dスコアそのものもですが、もう1本がユルチェンコ系だった場合に影響が大きくなります。



● 30秒間のウォームアップ中、選手には最大2回の跳越が認められる。これは、ポディウムでウォームアップが行われるあらゆる競技に適用される。 選手は30秒のウォームアップ時間が経過した場合でも、2回の跳越をする権利がある。線審は、跳越が最大2回までであることをチェックする。違反した場合は最初の跳越に0.3のペナルティ(ND)が課される。
⇒例えば、種目別決勝のようなウォームアップがない競技では適用されません。


鉄棒 HB

● 伸身トカチェフは、バーを握るまで伸身で実施する必要がある。選手がバーを越える前に身体を45°以上曲げた場合、屈身トカチェフ(C難度)として認定される。選手がバーを越えた後に身体を曲げた場合はD難度になるが、相応の実施減点が課される。



2019年世界選手権・シュトゥットガルト大会では新技申請はありませんでしたが、ワールドチャレンジカップなどで新技が発表されており、新たに名前が付いた技が8技掲載されています。

あん馬 PH

ペルラン 発表者:PELLERIN Thierry (CAN)
・馬端から逆馬端へロシアン180°転向移動倒立下り
・D難度(IV-22)
・2019年ワールドチャレンジカップ・ソンバトヘイ大会で発表

20200116_01.png


何とも言えない微妙な終末技ですが、3/3移動450°ひねりまで持っていければF難度になります。


ロメロ 発表者:ROMERO Diogo (POR)
・馬端外向き支持から遠い方の把手へ下向き逆移動
・C難度(III-93)
・2019年ワールドチャレンジカップ・ギマランイス大会で発表

20200116_02.png


次のアブ・アル・ソウドのダウングレード版のような技です。


アブ・アル・ソウド 発表者:ABU AL SOUD Ahmad (JOR)
・両把手を越えて下向き逆移動
・D難度(III-94)(すでに難度表にあり)
・2019年ワールドチャレンジカップ・コペル大会で発表

20200116_03.png


難度表には記載のあった技。当ブログではこちらの記事で演技を紹介していましたが、これまで実施例のない技だったようです。


平行棒 PB

オオクボ 発表者:大久保圭太郎 OKUBO Keitaro (JPN)
・け上がり開脚抜き懸垂
・C難度(III-69)
・2019年ワールドチャレンジカップ・ソンバトヘイ大会で発表

20200116_04.png


当ブログではこちらの記事で演技を紹介しました。微妙な技ではありますが、とにかくも名前が付きました。


ダラロヤン 発表者:DALALOYAN Artur (RUS)
・前方屈身2回宙返りひねり下り
・G難度(IV-18)(すでに難度表にあり)
・2019年ヨーロッパ選手権・シュチェチン大会で発表

20200116_05.png


当ブログではこちらの記事で演技を紹介しました。2014年世界選手権・南寧大会などでフェルハット・アリカン(トルコ)が申請していた屈身ダブルひねり下りにもついに名前が付きました。ヨーロッパ選手権以降披露していませんが、また見ることができるでしょうか。


フアレス 発表者:JUAREZ Jose (MEX)
・棒下宙返り後方屈身宙返り腕支持
・F難度(III-126)
・2019年ワールドチャレンジカップ・パリ大会で発表

20200116_06.png


当ブログでは鈴木大介がInstagramで見せた練習動画を紹介していました。フランク・べインズやナイル・ウィルソン(ともにイギリス)も練習動画を公開していた屈身テハダですが、メキシコのフアレスがワールドチャレンジカップで発表したようです。


フアレス2 発表者:JUAREZ Jose (MEX)
・前方屈身宙返り懸垂
・C難度(グループI)
・2019年ワールドチャレンジカップ・パリ大会で発表

20200116_07.png


そのフアレスがもう1つ技を発表していました。こちらはちょっと微妙な技になります。


鉄棒 HB

プリンチピ 発表者:PRINCIPI Paolo (ITA)
・マルケロフひねり片大逆手後ろ振り上がり倒立
・D難度(II-46)
・2019年ワールドチャレンジカップ・オシエク大会で発表

20200116_08.png


当ブログではこちらの記事で演技を紹介しました。マルケロフひねりにも名前が付きました。後ろ振り上がり倒立までが要件になります。

この記事へのコメント

  • ロン

    オオクボは鉄棒のチューリップカットとほぼ同じ動きですね。スイングが連続するのがちょっと見映えしないですか。
    ペルランはいつか出てくる技だと思ってました。ロシアン転向降りではほとんど倒立に近くまで脚を上げる実施も有りましたし。私としてはわりと好きな技です。
    2020年02月11日 03:46
  • Ka.Ki.

    なるほど。確かにチューリップカットと同じ動きですね。
    2020年02月12日 20:56