2019年世界選手権:団体決勝の結果について

2019 Worlds TF : RUS vs CHN vs JPN


2019年世界選手権・シュトゥットガルト大会の団体決勝はロシアが優勝、中国が2位、日本は3位という結果でした。日本は一時は首位に立ちましたが、終わってみればロシアには昨年以上の差を付けられていました。団体決勝の得点について振り返っていきたいと思います。


あらためて3チームの結果を確認しておきましょう。ロシア、中国、日本の決定点とDスコアは以下のとおりです。


RUS
FXPHSRVTPBHB
ABLYAZIN14.533
6.1
BELYAVSKIY14.00015.133
6.16.5
DALALOYAN14.63314.66614.96613.96614.366
6.56.05.66.15.7
NAGORNYY14.90014.16614.53315.06615.30014.466
6.46.26.05.66.45.8
STRETOVICH14.30013.66614.40014.666
5.85.95.26.3
Total43.83341.83243.73244.43244.39943.498261.726
18.718.218.116.419.017.8108.2


CHN
FXPHSRVTPBHB
DENG14.10014.53314.86613.841
6.36.25.65.6
LIN14.20014.65814.500
6.26.46.5
SUN14.20014.33314.80012.766
6.15.95.65.2
XIAO15.03314.90014.33314.100
6.26.35.66.2
ZOU14.68314.50016.383
5.95.87.0
Total43.33343.78343.36643.99945.14141.107260.729
18.718.317.916.819.617.3108.6


JPN
FXPHSRVTPBHB
橋本大輝13.53314.46614.90014.066
5.86.05.66.2
神本雄也14.76614.13313.866
6.26.56.0
萱和磨14.36614.40014.36614.14114.83314.225
5.86.46.15.26.36.0
谷川翔14.06614.53314.366
6.26.36.2
谷川航14.30014.833
6.05.6
Total41.96543.39943.43243.87443.33242.157258.159
17.818.718.316.419.018.2108.4


日本は予選も3位であん馬からのスタート。前半3種目はおおむね順調でしたが、後半3種目でミスが多く出ました。実はこの展開は2018年と酷似していて、前半戦を終えた時点で暫定首位に立ったことも同じです。異なるのはミスの出方。2018年は大きなミスが特に2つほど出ましたが、今回は後半戦でいくつもミスが出てしまいました。

一方、ロシアは多少のミスこそありましたが、全体を通して確実な演技を続けました。特に最終種目の鉄棒では3選手とも見事な演技を揃え、中国を見事に逆転。ロシアは、旧ソビエト連邦時代は強豪でしたが、崩壊後は1996年のアトランタオリンピックで優勝したのみ。世界選手権は初めての優勝ということになります。

中国は何と言っても孫煒の鉄棒でしょう。落下が出て12点台。ロシアとの差が0.997ですから、結果だけ見ればこの演技が決定打となってしまいました。他方、強力なのは鄒敬園の平行棒です。今回は予選こそミスがありましたが、この団体決勝では16.383を出しチームの45点台を引き出しています。日本もこのような爆発的な得点が欲しいものです。


Dスコアの合計は3チームとも108点台で似たり寄ったり。もちろん中国は大きなミスがあってそれでも1位というすごさはありますが、今大会の結果だけを見れば、ほぼ互角の難度の戦いです。そんな中、Eスコアで優勝を決めたのがロシア。ミスが少なく、正確な実施はさすがでした。2020年東京オリンピックまであと1年もありませんが、日本としては引き続きDスコア、Eスコアともに研鑽を重ね、なんとか上位2国に迫ってほしいと思います。期待しています。

この記事へのコメント

  • コッコ

    ロシアはナゴルニーとダラロヤン、中国は肖と鄒。軸となる選手が2人居て、彼らの弱点種目を残りの選手で埋めるという戦い方をしているのに対して、日本はリオの時のレベルまで状態を戻せた場合の内村を除いて軸になれる選手が居ないのがそのまま差になってしまっているのが苦しいですね。

    谷川弟が個人総合の決勝を逃して演技を試す機会が大幅に減ってしまったのもかなりの痛手です。

    しかし、萱の安定感は素晴らしいの一言。予選、団体決勝共に全種目演技して大きな失敗が一度もなかったのは頼もしい限りでした。

    鄒の平行棒のような爆発的な得点が期待できる種目があり、他の種目もある程度戦えるのが日本だと内村の鉄棒、谷川兄の跳馬くらいしかないのが厳しいですね。

    五輪本番までの残り日数を考えると、個人的には内村に個人総合を諦めて得意種目の強化(床、あん馬、跳馬、鉄棒)に絞り、他の選手の底上げがなされないと団体の金は相当厳しいと思います。

    気になったのはあん馬の採点傾向が、スピードの無い旋回に対して厳しいEスコアが付いているように感じたことです。今回の日本選手のあん馬は橋本を除いた日本選手の旋回スピードが遅く、萱の場合は腕の長さ、谷川弟であれば柔軟性といった身体特性でカバーして国内大会では評価されていたものが、国際試合では評価されないのが如実に表れていると思います。
    2019年10月11日 23:25
  • joshiki

    いつも分かりやすい点数表と考察をありがとうございます。
    今年も楽しみにしていました。

    私個人としては日本のポイントをつり輪と見ていました。(以下選手名敬称略)
    萱、神本、谷川航いずれも中水平の角度と位置(輪に収まるか)の精度に注目してました。全日本選手権、NHK杯に比べ上がっていますが、更にもう一つレベルアップが求められますね。ここだけでも3人でチーム得点を1.0〜1.2位上げられそうに思いました。
    全体としてはやはり橋本の活躍には目を見張る者がありました。ゆかでの失敗こそありましたが今後の成長に期待したいです。他にも谷川航の怪我により選手交代がありましたが、交代後の選手がしっかりと演技をしていたところは評価したいです。萱も全種目を安定した演技で86.331というスコアは国内大会に比べてしっかり上げているので今後が楽しみです。

    ロシア、中国の演技は美しさと言うよりも正確性を重視していますね。昨年よりも仕上げていますが、日本は美しい捌きよりも正確性をより求められますね。そこで差が出ているように思います。

    昨年と違って日本にとっては収穫の多かった今大会だったと思います。来年に向けて楽しみですね。

    最後にEスコアについて気になる点としては跳馬、ゆかの足割れです。具体的にはゆかのリューキンと跳馬のドラグレスクの空中での足割れでの減点が少なく感じてしまうのですが、ka.kiさんのご意見をお聞かせください。
    2019年10月12日 02:47
  • マイコ

    ロシアの圧倒を予想していましたが
    細かいミスがあったものの中国の想像以上の健闘に驚きました。
    やはりZOU選手の存在、残りの4選手全員が総合上位の選手というのが強みでしたね。

    今回は萱選手の素晴らしい演技に感動しました。
    十字懸垂の手首巻き込みの改善、床の着地時の踵揃え、など


    一方、一般的に空中で日本で一番現行ルールに対応しようとしており
    その中であの安定感を身に着けるのにどれほどの努力をしてきたのか
    本当に頭が下がり、尊敬します。
    テレビでももっと彼の活躍を取り上げてほしいところです。

    時にドラグレスクの足割れについてですが
    勝手ながらナゴルニー選手のドラグレスクの足割れについて、
    と解釈してお答えします。
    (完全に個人的意見です)

    跳馬は着手時と空中姿勢の足割れを別個に減点するのですが
    足が割れる選手の多くは着手時も足が割れますので
    着手時で0.1~0.3、空中姿勢で0.3の減点をされます。
    (分かりやすいのがラジビロフ選手の実施)

    一方、ナゴルニー選手は着手時は足を閉じており空中でのみ足が割れます。
    このような差で、同じ足割れがある実施でも
    ナゴルニー選手は比較的高得点が出やすい実施になっていのかな?と考えています。
    もちろん空中でも足が閉じるのが最善ですね。
    2019年10月12日 11:01
  • マイコ

    途中書き込みが変になってますね(汗

    今回は萱選手の素晴らしい演技に感動しました。
    十字懸垂の手首巻き込みの改善、床の着地時の踵揃え、など
    日本で一番現行ルールに対応しようとしており
    その中であの安定感を身に着けるのにどれほどの努力をしてきたのか
    本当に頭が下がり、尊敬します。
    テレビでももっと彼の活躍を取り上げてほしいところです。
    2019年10月12日 11:03
  • alchemist

    いつもわかりやすい解説をありがとうございます。とても参考になります。

    日本チームは、今回が初出場の選手が多い中、よく健闘してメタルを
    取ってくれたと感激しています。また、橋本選手のような若手の
    世界選手権経験も今後大いにプラスに働くと期待しています。

    三強のDスコアは108点台と横並びで、1,2と3位の差がEスコアである
    ことがはっきりした結果と言えますね。
    14.6点平均を18演技行わないとロシアの上にいけない、また、
    個人では14.8点を6演技揃えないとナゴルニー選手に勝てないというの
    が現実ですね。

    ロシアはあん馬、中国は日本がかつて得意としてきた床と鉄棒(今回、
    ベテランが演技?)をさらに強化してくるでしょう。
    日本がどのようなメソッドで東京オリンピックに勝利するドラマを
    演じてくれるか今後も注目したいところです。
    今回のテレビ放送でも紹介されていましたが、”採点支援システム”に
    よる演技の再現は姿勢の角度や膝の曲りなどが目立ちやすく、Eスコア
    向上に役立つのではないかと思いました。
    2019年10月12日 13:10
  • joshiki

    マイコさんご意見いただきありがとうございます。
    具体例を出していただいたので腑に落ちました。

    着地や着手の際の足割れも空中での足割れも同じ減点と考えてみれば妥当とみれました。
    空中での足割れは見えている時間が長い分、目立つため減点が少なく感じるのかもしれませんね。
    2019年10月12日 18:03
  • Ka.Ki.

    >コッコさん
    萱選手の安定感はすごいですね。谷川翔選手は個人総合に出れずに残念でした。

    あん馬の採点はそうなのですか。確かに国内の方が多少高く出ているとは思いますが。
    2019年10月12日 22:10
  • Ka.Ki.

    >joshikiさん
    つり輪は頑張っていたと思います。すでに43.432ですから、ここからさらに上げられればすごいですね。

    日本はすでに美しい捌きという感じではないですが、とにかく正確さはロシア、中国が大きく上回っていますね。まずはとにかくミスをしないことだと思います。

    脚の開きの減点ですが、確かにナゴルニー選手に限らず着地を止めるとあれくらいの点が出ますよね。肩幅を超えると0.3ですが、肩幅以下と判断されているのでしょうかね。リューキンはそこまで開いていないと思います。あの安定感はすごいですね。
    2019年10月12日 22:19
  • Ka.Ki.

    >マイコさん
    ロシアの圧勝を予想していましたか。そして中国の健闘と。なるほどです。

    萱選手は頑張っていましたね。十字懸垂は確かに大きく見えました。
    2019年10月12日 22:25
  • Ka.Ki.

    >alchemistさん
    橋本選手は、ゆかでは尻もちを突いてしまいましたが、よく頑張りましたね。種目別も期待したいと思います。

    今回は3.5点もの差を付けられてしまいましたので、簡単ではありませんが、何とか東京で押し返したいものですね。
    2019年10月12日 22:37
  • カーラ

    個人的意見ですが団体の銅メダルより、種目別の複数の金を含むメダルを狙う戦略の方がいいと思います。
    国内には種目別なら世界でメダルを狙える選手が5,6人(私見)はいます。反対も大きいでしょうが、来年の五輪は団体重視では複数のメダルすら難しいのが現実でしょう。
    伝統の団体と言いますが、今より低迷した時期もあった訳ですし。団体を諦める勇気を出せば、本当に来年の五輪に向けて希望がでます。
    2019年10月13日 02:34
  • 太一

    怪我人が続出していた中、試合内容もほぼ力を出しきった選手をまずは讃えたいと思います。

    昨年から実質D、Eスコア共に向上させた彼らの努力には頭がさがります。
    一方で今回の内容をみると特に平行棒と鉄棒のEスコアを何とかしなければと感じました。

    例えば平行棒のアームツイストは日本選手は肘が曲がってしまいますが、ロシア、中国は大きく身体を浮かせ完璧に捌きます。それは腕支持振動の技術そのものが劣っているからでしょう。鉄棒もスイングがいまひとつ伸びやかさに欠けるようにみえ、そのためか上位国と格差を付け評価されています。

    基礎技術の向上を図りたいところですが、いかんせん時間が1年もなく厳しいところです。
    特に鉄棒は内村選手の代表復帰を望みたいですね。

    Eが評価された橋本選手は来年も大きな戦力となるはずで、Dのアップ、その雄大な動きに磨きをかけていって欲しいと思います。
    2019年10月13日 15:56
  • Ka.Ki.

    >太一さん
    確かに日本は難度をよく上げて頑張っていました。実施はなかなか難しいですね。すぐに改善できる部分と、そうでない部分があります。来年は4人なのでさらに難しくなりますね。
    2019年10月13日 19:17