萱和磨 - 2019年ユニバーシアード:個人総合の演技

KAYA Kazuma (JPN)
2019 Universiades Napoli (ITA) AA


2019年ナポリ・ユニバーシアードの個人総合は萱和磨が見事な優勝を飾りました。演技構成を見ていきましょう。

#1 ゆか FX


1.前方かかえ込み2回宙返りひねりDouble Front 1/2EII
2.前方屈身2回宙返りDouble Front PkEII
3.前方伸身宙返り2回ひねりFront Lay 2/1DII
4.~前方伸身宙返り1回ひねり+ Front Lay 1/1CII(CV:0.1)
5.フェドルチェンコFedorchenkoCI
6.開脚座から力十字倒立Split Press to Japanese HdstCI
7.後方伸身宙返り2回ひねりBack Lay 2/1CIII
8.後方伸身宙返り5/2ひねりBack Lay 5/2DIII
9.~前方伸身宙返りひねり+ Front Lay 1/2BII(CV:0.1)
10.後方伸身宙返り3回ひねりBack Lay 3/1DIII

D:5.8
E:8.650
Score:14.450

2018年世界選手権を終えてからはこの構成で固まっており、安定した実施を見せる。連続技の前方1回はかかえ込みで判定されるおそれがあるため着地まで明確に伸身で捌きたい。全体として着地をよく止めて高得点を出した。


#2 あん馬 PH


1.正交差倒立Front Scissor to HdstDI
2.逆交差倒立Back Scissor to HdstDI
3.Eフロップ4 FlopsEII
4.Dコンバイン2 Flops + R180DII
5.ウ・グォニアンRussian Travel 3/3 720EIII
6.ロスRussian Travel 3/3 360DIII
7.トン・フェイTong FeiDIII
8.開脚マジャールFlair MagyarEIII
9.縦向き後ろ移動(1/2)Back Loop Travel 1/2BIII
10.一把手上縦向き旋回倒立3/3移動下りP Loop to Hdst Travel 3/3DIV

D:6.1
E:8.500
Score:14.600

セア倒立を2つにしてDスコア6.4を狙ったものと思われるが、6.1が表示されて首をかしげる。ここでは開脚シバド(E)の移動がうまくいかずB難度の移動まで認定されたものとしたが、そもそもこの開脚シバドの角度逸脱は不認定になってもおかしくない実施であり、今後の課題となるだろう。全体としては良好な実施でEスコアは出る。


#3 つり輪 SR


1.後方伸腕伸身逆上がり中水平支持Back Roll to MalteseFII
2.後ろ振り上がり中水平支持Back Uprise to MalteseEIII
3.アザリアンBack Roll to CrossDII
4.ヤマワキYamawakiCI
5.屈身ヤマワキYamawaki PkDI
6.ホンマ十字懸垂Whippet to CrossDIII
7.後ろ振り上がり開脚上水平支持Back Uprise to Strd PlancheCIII
8.ほん転逆上がり倒立Felge to HdstCI
9.後ろ振り上がり倒立Back Uprise to HdstCI
10.後方伸身2回宙返り2回ひねり下りDouble Back Lay 2/1FIV

D:6.1
E:8.500
Score:14.600

つり輪は従来構成だが、演技を重ねるごとに実施が改善されている印象で今大会も高いEスコアで評価された。着地もほぼ止めている。


#4 跳馬 VT


DEPenScore
ドリッグスKasamatsu Lay 3/25.29.10014.300

着地で2歩後ずさった割には、姿勢などが評価されたかEスコアが出る。


#5 平行棒 PB


1.後ろ振り上がり前方屈身宙返り支持Back Uprise Front Pk to SupDII
2.ヒーリーHealyDI
3.棒下宙返りひねり倒立Basket 1/2 to HdstEIII
4.棒下宙返り倒立Basket to HdstDIII
5.前方開脚5/4宙返り腕支持5/4 Front StrdDI
6.バブサーBhavsarEIII
7.チッペルトTippeltDIII
8.ピータースBack Toss 1/4 to HdstDI
9.単棒横向き閉脚浮腰上がり倒立Side Glide L Up to HdstCIII
10.前方かかえ込み2回宙返りひねり下りDouble Front 1/2FIV

D:6.3
E:8.750
Score:15.050

従来構成で安定した実施を見せる。終末技での脚の開きが改善された効果は大きく、高いEスコアで決定点を15点台に乗せる。


#6 鉄棒 HB


1.ヤマワキYamawakiDII
2.アドラーひねりJam 1/2DIII
3.伸身トカチェフTkatchev LayDII
4.リンチLynchDII
5.アドラー1回ひねり片逆手Jam 1/1 to MGDIII
6.後方浮腰回転後ろ振り出し順手背面懸垂Stoop in to Back TossCIII
7.順手背面車輪Czech GiantDI
8.シュタイネマンSteinemanBIII
9.後方とび車輪1回ひねりHop 1/1CI
10.後方伸身2回宙返り2回ひねり下りDouble Back Lay 2/1EIV

D:5.7
E:8.300
Score:14.000

Dスコアは5.7で従来と同じだが、新たにリンチを取り入れている。予選ではさらにムニョス/ポッツォ(E)も入れてDスコア6.0としており、難度アップに取り組んでいる。

Total Score:87.000 (Total D:35.2)
Rank:1st



これまで出したことのない86点台で予選を1位通過すると、決勝ではなんと87点を出して2位のイヴァン・ストレトビッチ(ロシア)に2.625差を付ける圧勝劇を見せました。これまでは表彰台には乗っても1位には手が届かないことが多かったですが、世界の舞台で見事な栄冠を手にしました。

大会を通じてEスコアが高めという印象もありますが、萱自身の実施が向上していることもまた事実でしょう。合計Dスコア35.2はこれまでと大きく変わりませんが、予選鉄棒に見られるように難度アップにも取り組んでおり、世界選手権においてはチームを引っ張る存在として大いに期待したいと思います。

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