2019年世界選手権代表選考の行方は

2019 JPN Team Selection


2019年の世界選手権は10月にドイツのシュトゥットガルトで開催されます。今年の世界選手権は2020年東京オリンピックの団体及び個人出場資格の大半が決まる重要な大会でもあります。

日本はすでにオリンピックの団体出場資格を得ており、シュトゥットガルトの結果がオリンピックの出場資格に関わることはありません。しかし、オリンピック前年の世界選手権は前哨戦としても極めて重要な意味を持ち、全力を尽くして臨む必要があります。

2019年世界選手権・シュトゥットガルト大会の日本代表枠は5人。そのうち3人は5月のNHK杯で上位3位に入った谷川翔谷川航萱和磨に決定しています。残りの2人は間近に迫った全日本種目別選手権の結果を受けて選出されます。今回は、今年の代表選考の方法をおさらいし、現時点での状況を確認しておきたいと思います。



4人目、5人目の代表はすでに決定している3人との組合せで5-3-3制によるチーム得点が最高となる2人が選出され、その内1人はNHK杯10位以内の選手とされています。

チーム得点は、すでに代表が決定している3人の得点は全日本個人予選、全日本個人決勝、NHK杯の3試合のうち、各種目高得点上位2つの試合の平均得点が用いられます。

そして残り2人の得点はこれらの3試合と全日本種目別予選、全日本種目別決勝の5試合のうち、各種目高得点上位3つの試合の得点平均が用いられます。


この条件をもとに、現時点での状況を確認しておきたいと思います。まず、ベースとなる谷川翔、谷川航、萱の得点ですが、3試合のうち各種目上位2試合の平均なので、以下のようになるはずです。一番左列の数字はNHK杯順位です(以下、同じ)。

FXPHSRVTPBHB
1谷川翔14.56614.70013.86614.25014.58313.799
2谷川航14.86613.71614.26615.01614.73313.583
3萱和磨14.09914.29914.13314.18314.28314.116
Total43.03142.71542.26543.44943.59941.498256.557


残り2人の選考に用いられる得点は、5試合のうち各種目上位3試合の平均です。全日本種目別を控えた時点では不確定要素が多すぎますが、あくまでも現時点での状況ということでここまでの3試合の単純平均を使い、チーム得点を算出してみます。

まず1人をNHK杯10位以内から確定させ、続いてもう1人を選ぶという手順であれば計算はかなり簡単になるのですが、そうではなく、チーム得点が最高となる2人を一気に選ぶとなるとその組合せは膨大です。あらゆる組合せについてくまなく試算したわけではありませんが、NHK杯10位以内の選手とそれ以外の有力と思われる選手の組合せによるチーム得点を算出したところトップ3は以下のようになりました。Totalの下段()は加わった2人の選手が上昇させたチーム得点、いわゆる貢献度です。

1st
FXPHSRVTPBHB
1谷川翔14.56614.70014.25014.583
2谷川航14.36614.26615.01614.733
3萱和磨14.09914.29914.13314.116
6橋本大輝14.27714.67714.199
29神本雄也14.02114.97714.099
Total43.03143.27642.42043.94344.29342.414259.377
(0.561)(0.155)(0.494)(0.694)(0.916)(2.820)

2nd
FXPHSRVTPBHB
1谷川翔14.56614.70013.86614.58313.799
2谷川航14.36614.26615.01614.733
3萱和磨14.09914.29914.13314.28314.116
6橋本大輝14.27714.67714.199
米倉英信15.188
Total43.03143.27642.26544.88143.59942.114259.166
(0.561)(1.432)(0.616)(2.609)

3rd
FXPHSRVTPBHB
1谷川翔14.56614.70014.58313.799
2谷川航14.36614.26615.01614.733
3萱和磨14.09914.29914.13314.28314.116
6橋本大輝14.27714.67714.199
大久保圭太郎13.93314.966
Total43.03143.27642.33244.65943.59942.114259.011
(0.561)(0.067)(1.210)(0.616)(2.454)

というわけでNHK杯6位の橋本大輝を軸にスペシャリストが加わるという構図となりました。最上位となったのは橋本とNHK杯29位だった神本雄也の組合せ。単独でもあん馬、跳馬、鉄棒に貢献できる橋本に、つり輪、平行棒、鉄棒で貢献できる神本が加わりチーム得点を大きく上げています。次点には跳馬のスペシャリスト米倉英信。ここまでの3試合で15.266、15.200、15.100と安定して高得点を出しており、1種目のみながら大きく貢献度を稼いでいます。



ここで一つの大胆な仮定として、各選手が全日本種目別で持てる力を最大限に発揮したと考えてみましょう。すなわち、全日本種目別の予選と決勝で、ここまでの3試合で出した最高点と同じ決定点を出したと仮定してみます。つまり、ここまでの3試合の最高点を使ってチーム得点を算出するということになりますが、もちろん全日本種目別にエントリーしていない種目ではこれ以上平均点を伸ばすことはできません。結果は以下のとおりとなりました。

1st
FXPHSRVTPBHB
1谷川翔14.56614.70014.25014.583
2谷川航14.36614.26615.01614.733
3萱和磨14.09914.29914.13314.18314.116
10長谷川智将15.00014.333
29神本雄也14.66615.20014.500
Total43.03143.99943.06543.44944.51642.949261.009
(1.284)(0.800)(0.917)(1.451)(4.452)

2nd
FXPHSRVTPBHB
1谷川翔14.56614.70014.25014.583
2谷川航14.36614.26615.01614.733
3萱和磨14.09914.29914.13314.116
6橋本大輝14.36614.86614.266
29神本雄也14.66615.20014.500
Total43.03143.36543.06544.13244.51642.882260.991
(0.650)(0.800)(0.683)(0.917)(1.384)(4.434)

3rd
FXPHSRVTPBHB
1谷川翔14.56614.70014.250
2谷川航14.36613.71614.26615.01614.733
3萱和磨14.09914.29914.116
5野々村笙吾14.73314.40014.86614.066
29神本雄也14.66615.20014.500
Total43.03142.71543.66543.66644.79942.682260.558
(1.400)(0.217)(1.200)(1.184)(4.001)

一転してここでは神本雄也が軸となりました。もう1人はNHK杯10位以内でなくてはなりませんので、貢献度は長谷川智将橋本大輝野々村笙吾の順で高くなります。神本と長谷川も得意種目を補完し合う組合せ。神本と橋本はここでも有力な位置にいます。神本と野々村は得意種目がほとんど重なりますが、その得点は非常に高く貢献度が高い組合せになりました。

この仮定で上位にくるということは、ここまでの3試合の得点のばらつきが大きいということでもあります。特に神本や長谷川の鉄棒はこれまで13点台、あるいはそれ以下の場合もあり、ミスをしないことが重要になります。一方、単純平均でも上位に名を連ねている橋本の安定感は特筆すべきところでしょう。



言うまでもなく全日本種目別の結果次第でこの計算は大きく変わりえます。スペシャリストはもちろんのこと、NHK杯上位のオールラウンダーも複数種目にエントリーしており、まったく予断を許さない状況と言えるでしょう。全てが決まる全日本種目別に大注目です。


チェックは十分にしたつもりですが、間違いがあったらすいません。 また、代表選考の方法については、解釈に間違いがないとも限りませんし、このようなプロセスで選考されるのかどうかも分かりません。あらかじめご了承ください。

この記事へのコメント

  • タミ

    いつも楽しく読ませてもらっています。世界選手権のメンバー決まりましたね。フレッシュな顔ぶれになって、団体戦はどういう展開になるのか楽しみ半分、不安も半分というところです。不安というのは、2017年以降の世界選手権で、個人種目においてメダルがとれたの白井選手と内村選手だけなんですよね(もちろん男子の話)。個人総合はロシア勢、中国勢が強過ぎて、メダル争いでは勝負にならないだろうし…種目別も苦しい戦いが予想されます。団体戦でいい争いしてメダルが獲得できたらいいなと個人的には思っています。
    2019年06月25日 21:56
  • Ka.Ki.

    いつもご覧いただきありがとうございます。

    団体、個人ともに厳しい戦いになるかもしれませんが、オリンピックの団体出場資格もすでに決めていることですし、初代表の選手も多いのでとにかく悔いのないよう思いっきりやってもらいたいと思います。あとは、まだ少し時間もありますので可能な限りの難度アップが望めればというところです。
    2019年06月25日 23:33