武田一志 - 2019年全日本選手権:個人総合の演技

TAKEDA Kazuyuki (JPN)
2019 JPN Nationals AA


2019年全日本選手権、3位の武田一志の演技構成を確認しておきましょう。

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#1 ゆか FX

1.前方屈身2回宙返りDouble Front PkEII
2.前方伸身宙返り2回ひねりFront Lay 2/1DII
3.~前方伸身宙返りひねり+ Front Lay 1/2BII(CV:0.1)
4.後方伸身宙返り3/2ひねりBack Lay 3/2CIII
5.~前方伸身宙返り3/2ひねり+ Front Lay 3/2CII
6.開脚座から力十字倒立Split Press to Japanese HdstCI
7.後方伸身宙返り2回ひねりBack Lay 2/1CIII
8.後方伸身宙返り5/2ひねりBack Lay 5/2DIII
9.~前方伸身宙返り1回ひねり+ Front Lay 1/1CII(CV:0.1)
10.後方伸身宙返り3回ひねりBack Lay 3/1DIII

D:5.6
E:8.433
Score:14.033

Dスコアは5.6と高くはないが、全体的に丁寧な実施で演技をまとめる。十字倒立の低さが見せ場。


#2 あん馬 PH

1.正交差倒立Front Scissor to HdstDI
2.逆交差倒立Back Scissor to HdstDI
3.Eフロップ4 FlopsEII
4.Dコンバイン2 Flops + R180DII
5.シュテクリBDSBBII
6.縦向き後ろ移動(2/3)Back Loop Travel 2/3BIII
7.開脚マジャールFlair MagyarEIII
8.開脚シバドFlair SivadoEIII
9.縦向き前移動(1/2)Front Loop Travel 1/2BIII
10.下向き逆移動倒立3/3移動下りBack Stöckli to Hdst Travel 3/3DIV

D:5.7
E:8.233
Score:13.933

開脚の縦向き移動は以前から使っており、2017年のルール改訂での格上げは追い風となった。Dスコア5.7はオールラウンダーとしては低くはない。あん馬でも丁寧な実施を見せる。


#3 つり輪 SR

1.後方伸腕伸身逆上がり中水平支持Back Roll to MalteseFII
2.後ろ振り上がり上水平支持Back Uprise to PlancheDIII
3.後ろ振り上がり中水平支持Back Uprise to MalteseEIII
4.ほん転逆上がり倒立Felge to HdstCI
5.屈身ヤマワキYamawaki PkDI
6.ヤマワキYamawakiCI
7.ホンマ十字懸垂Whippet to CrossDIII
8.アザリアンBack Roll to CrossDII
9.後ろ振り上がり倒立Back Uprise to HdstCI
10.後方かかえ込み2回宙返り2回ひねり下りDouble Back 2/1EIV

D:6.1
E:8.400
Score:14.500

テレビ放映では映らなかったが、日本体操協会のレポートによれば従来どおりのこの構成。着地も止めたとのこと。


#4 跳馬 VT

DEPenScore
伸身ユルチェンコ2回ひねりYurchenko Lay 2/14.89.13313.933

テレビ放映では映らなかったが、日本体操協会のレポートによる。


#5 平行棒 PB

1.シャルロBasket to 1 Rail HdstEIII
2.単棒ヒーリー腕支持1 Rail Healy to UACI
3.ヒーリーHealyDI
4.棒下宙返り倒立Basket to HdstDIII
5.ベーレBelleDIII
6.チッペルトTippeltDIII
7.前振りひねり倒立Stützkehr to HdstCI
8.後ろ振り上がり前方屈身宙返り支持Back Uprise Front Pk to SupDII
9.前方開脚5/4宙返り腕支持5/4 Front StrdDI
10.前方かかえ込み2回宙返りひねり下りDouble Front 1/2FIV

D:6.1
E:8.133
Score:14.233

逆上がりのシャルロから入るがややバランスが崩れ、堪えるが続く単棒ヒーリー(E)が腕支持になる。それ以上の乱れは見せず、立て直して演技を通したのは立派。着地もほぼ止める。


#6 鉄棒 HB

1.ヤマワキYamawakiDII
2.エンドーEndoBIII
3.アドラーひねりJam 1/2DIII
4.コールマンKolmanEII
5.シュタルダーとび3/2ひねり片大逆手Stalder Hop 3/2 to MGDIII
6.アドラー1回ひねり逆手Jam 1/1 to UGEIII
7.シュタルダーStalderBIII
8.後方とび車輪1回ひねりHop 1/1CI
9.後方とび車輪3/2ひねりHop 3/2 to MGCI
10.後方伸身2回宙返り2回ひねり下りDouble Back Lay 2/1EIV

D:5.7
E:8.166
Score:13.866

シュタルダーとび3/2ひねりで脚が少し乱れる。ひねり技の角度逸脱もないわけではないが、大きなミスは見せず、着地もわすかな動きに留める。

Total Score:84.498 (Total D:34.0)
Combined Total:169.197
Rank:3rd



つり輪のスペシャリストという印象がありますが、もともと6種目をしっかりこなせるオールラウンダー。今大会は予選で4位に付けると、この決勝でも堅実な演技を揃え、全日本で初の表彰台に登り詰めました。

2019年世界選手権の代表選考は、個人総合ワールドカップシリーズを通じての代表が出なかったため、5月のNHK杯で上位3人が一気に選出されることになっています。NHK杯はこの全日本の予選、決勝の合計得点がそのまま持ち越されるため、全日本の上位者はかなり有利。武田としてはこれまでで最も代表に近い位置に付けていると言えるでしょう。

この記事へのコメント

  • 伸身ローチェ

    >つり輪のスペシャリストという印象がありますが
    これは山室選手にも当てはまる気がしますね。
    ・跳馬ではロペスを得意とし
    ・平行棒ではオリジナルのG難度技を持ち
    ・鉄棒ではG難度技のカッシーナを実施し
    ・体操強国日本の団体であん馬を任される
    これが吊り輪のスペシャリストというのですから体操界における『スペシャリスト』の意味が分からなくなりそうです。
    2019年05月03日 21:21