谷川翔 - 2019年全日本選手権:個人総合の演技

TANIGAWA Kakeru (JPN)
2019 JPN Nationals AA


2019年の全日本選手権は内村航平が肩の負傷で予選落ちするというまさかの展開で始まりました。白井健三もまだ本調子でない中、優勝したのは予選1位に付けていた谷川翔。2018年に続き連覇ということになりました。演技構成を確認しておきましょう。

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#1 ゆか FX

1.前方屈身2回宙返りひねりDouble Front Pk 1/2FII
2.前方伸身宙返り1回ひねりFront Lay 1/1CII
3.~前方伸身宙返り5/2ひねり+ Front Lay 5/2EII(CV:0.1)
4.前方かかえ込み2回宙返りひねりDouble Front 1/2EII
5.シュピンデル・ゴゴラーゼ1/1 Spindle to GogoladzeDI
6.ゴゴラーゼGogoladzeCI
7.マンナMannaCI
8.後方伸身宙返り2回ひねりBack Lay 2/1CIII
9.後方伸身宙返り5/2ひねりBack Lay 5/2DIII
~前方伸身宙返りひねり+ Front Lay 1/2BII(CV:0.1)
10.後方伸身宙返り3回ひねりBack Lay 3/1DIII

D:6.2
E:7.800
Score:14.000

前方ダブルひねり、シュピンデル・ゴゴラーゼを入れてDスコアアップ。最後の3回ひねりが低くなり前に大きな1歩。予選では14.400を出したが、決勝ではEスコアが伸びなかった。


#2 あん馬 PH

1.逆交差倒立Back Scissor to HdstDI
2.ベルキFlair 1/1 Spindle on PommelsEII
3.ブスナリBusnariFII
4.アイヒホルンFlair 1/1 Spindle Travel and ReturnEII
5.横向き旋回1回ひねりFlair 1/1 SpindleDII
6.1回の旋回で正面横移動Front Hop Travel 3/3CIII
7.開脚マジャールFlair MagyarEIII
8.開脚シバドFlair SivadoEIII
9.一把手上縦向き旋回Pommel LoopBII
10.下向き逆移動倒立3/3移動下りBack Stöckli to Hdst Travel 3/3EIV

D:6.4
E:8.400
Score:14.800

あん馬もアイヒホルンや開脚の縦向き移動で難度アップ。予選でポメルへの接触があったベルキもしっかり決めて高い得点を出す。


#3 つり輪 SR

1.中水平支持MalteseDII
2.後ろ振り上がり中水平支持Back Uprise to MalteseEIII
3.け上がり脚前挙支持Kip to L-SitBIII
4.屈身ヤマワキYamawaki PkDI
5.ヤマワキYamawakiCI
6.後ろ振り上がり開脚上水平支持Back Uprise to Strd PlancheCIII
7.ほん転逆上がり倒立Felge to HdstCI
8.後ろ振り上がり倒立Back Uprise to HdstCI
9.後方車輪倒立経過Back Giant thru HdstBI
10.後方かかえ込み2回宙返り2回ひねり下りDouble Back 2/1EIV

D:5.4
E:8.266
Score:13.666

テレビ放映では終末技のみだったが、新月面で難度上げたことが分かる。中技は従来どおりだが、日本体操協会のレポートによれば、け上がりからの中水平から入った模様。着地は後ろに体重がかかり手を回すが後ろに動く。


#4 跳馬 VT

DEPenScore
ドリッグスKasamatsu Lay 3/25.29.00014.200

跳馬はドリッグス。着地はかなり低くなったがほぼ止める。


#5 平行棒 PB

1.後ろ振り上がり前方屈身宙返り支持Back Uprise Front Pk to SupDII
2.ヒーリーHealyDI
3.棒下宙返り倒立Basket to HdstDIII
4.後方車輪倒立Back Giant to HdstCIII
5.モイMoyCIII
6.バブサーBhavsarEIII
7.チッペルトTippeltDIII
8.前振りひねり倒立Stützkehr to HdstCI
9.前方開脚5/4宙返り腕支持5/4 Front StrdDI
10.前方かかえ込み2回宙返りひねり下りDouble Front 1/2FIV

D:6.0
E:8.533
Score:14.533

中技は安定した実施。着地は少し体勢が低くなり前に1歩跳ねるが、脚を閉じようとする意識が感じられた。


#6 鉄棒 HB

1.ヤマワキYamawakiDII
2.エンドーEndoBIII
3.前方車輪ひねりFront Giant 1/2AI
4.後方浮腰回転後ろ振り出し順手背面懸垂Stoop in to Back TossCIII
5.順手背面車輪Czech GiantDI
6.ケステKosteCIII
7.シュタルダーとび3/2ひねり片大逆手Stalder Hop 3/2 to MGDIII
8.アドラーJamCIII
9.後方とび車輪1回ひねりHop 1/1CI
10.後方伸身2回宙返り1回ひねり下りDouble Back Lay 1/1DIV

D:5.1
E:8.400
Score:13.500

予選はDスコア5.5だったが、テレビでのインタビューによると決勝ではムニョス/ポッツオ(E)を入れられなかったとのこと。演技は確実に通した。

Total Score:84.699 (Total D:34.3)
Combined Total:170.265
Rank:1st



決勝では鉄棒で難度を抑えましたが、今大会ゆかやあん馬で難度を上げて予選では合計Dスコア34.7をマークしています。2018年の全日本と比べると0.6の大幅アップ。まだまだ世界の個人総合で通用するDスコアではありませんが、成長著しい年代なだけに2020年東京オリンピックに向け今後も難度アップが期待されます。

安定した実施は健在。予選、決勝を通じて12演技を大きなミスなく通しました。決勝では内村不在、白井不調の状況にあって大本命のポジションをしっかり守り抜き、最初から最後まで1位を走り続けました。ノーマークからの優勝だった2018年とは違い、注目される中での2連覇には精神的な成長も感じられます。5月のNHK杯で結果を出しての初の世界選手権代表の座が目前です。

この記事へのコメント

  • おんちっち

    こんにちは。

    今年も谷川翔選手が勝ちましたね!
    元々実施は綺麗な選手でしたけど、
    構成の方もレベルアップしてきて(鉄棒以外…)
    頼もしくなってきました!

    萱和磨選手も昨年から安定感はNo.1ですね!
    以前は粗削りな印象が有りましたけど、
    大きなミスは滅多にしませんからねぇ。
    ただ、勝ちきれないタイプなのも事実かも?(苦笑)

    武田選手のつり輪の映像がTVで見たかった者でした。
    2019年05月02日 14:09
  • Ka.Ki.

    谷川翔選手は一昨年、昨年と比べるとかなり難度を上げてきているので、今後もこの調子で期待したいと思います。

    萱選手はそうですね。安定感はさすがなのですが。Dスコア、Eスコアともに伸ばして得点を上げたいところです。

    武田選手のつり輪。全部ではありませんが、徳洲会体操クラブがアップしてくれています。
    https://www.youtube.com/watch?v=XtA4caiuLak
    2019年05月03日 22:46