2018/2019-2019/2020 Individual Apparatus World Cup Series
2020年東京オリンピックの出場資格が懸かる種目別ワールドカップシリーズ。2018年11月のコトブス大会からすでに始まってはいますが、どのような大会なのか確認しておきたいと思います。
オリンピックの出場資格が懸かる種目別ワールドカップシリーズは2018/2019年と2019/2020年の2シーズンに渡り、計8大会が開催されることになっています。そのスケジュールは以下のとおり。
● 2018/2019年
・2018年11月 | コトブス大会(ドイツ) |
・2019年2月 | メルボルン大会(オーストラリア) |
・2019年3月 | バクー大会(アゼルバイジャン) |
・2019年3月 | ドーハ大会(カタール) |
● 2019/2020年
・2019年11月 | コトブス大会(ドイツ) |
・2020年2月 | メルボルン大会(オーストラリア) |
・2020年3月 | バクー大会(アゼルバイジャン) |
・2020年3月 | ドーハ大会(カタール) |
というわけで2シーズンほぼ同じ時期に同じ場所で4大会ずつが開催されるということになります。
種目別のみの大会でありエントリーは各種目1国2人まで。オリンピックの出場資格が懸かるということもあり、2018年11月のコトブス大会には名だたるスペシャリストが出場。レベルの高い演技で盛り上がりを見せました。よく似た名前と形式の大会にワールドチャレンジカップがありますが、こちらはオリンピックの出場資格とは関係ありません。
種目別ワールドカップシリーズを通じてのオリンピック出場は、ポイントによるランキングによって決まります。選手には各大会の順位により以下のようなポイントが与えられます。
順 位 Rank 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 ポイント Point 30 25 20 18 16 14 12 10 8 7 6 5
決勝で演技をするのは予選8位までの選手なので、9~12位については予選の順位によりポイントが与えられるということになります。
そして、ランキングは8大会のうちポイントの高い3大会の合計によって決まり、最終的に各種目最上位の1人だけがオリンピックの出場資格を得ることができます。ポイント合計が同点の場合は、以下のようにタイブレイクされます。
1. ランキングの対象となった3大会の演技の決定点の合計が高い選手を上位とする。
2. それでも同点の場合は、Eスコアの合計(跳馬の場合、6つのEスコア)が高い方。
3. それでも同点の場合は、Dスコアの合計(跳馬の場合、6つのDスコア)が高い方。
さらに、この種目別ワールドカップシリーズでオリンピックの出場資格を得られるのは1国1人までという枠があります。つまり、1つの国で複数の選手がランキング最上位となった場合、1人しか資格を得られません。この場合、以下のようにタイブレイクされます。
1. それぞれの種目における、全ての大会のポイントの平均が高い選手が優先される。
2. それでも同点の場合は、それぞれの種目における、全ての大会の予選の平均順位が高い方。
というわけで、種目別ワールドカップシリーズを通じてのオリンピック出場は非常に狭き門となっています。なお、タイブレイクの手続きはこちらで公開されています。解釈に間違いがあるかもしれないので、競技関係者の方は必ず原本を直接確認してください。
種目別ワールドカップシリーズは、オリンピックの団体出場資格のある国で、その資格を得るために団体メンバーとして競技した選手は対象外となっています。つまり、2018年世界選手権で団体メンバーだった内村航平、白井健三、萱和磨、谷川航、田中佑典の5人はこのシリーズでオリンピックの出場資格を得ることはできません。
団体出場資格のない国の選手はもちろん対象となりますが、こちらは2019年世界選手権:種目別決勝で上位3位に入って出場資格を得るという道もあります。つまり、種目別ワールドカップシリーズは、団体出場資格のある国のスペシャリストたちが、個人資格で出場するための枠という意味合いが強いと言えます。
日本では、コトブス大会ですでにポイントを獲得している宮地秀亨や米倉英信がメルボルン大会にも出場します。また、3月のバクー・ドーハの両大会には先日の試技会で基準得点をクリアした佐藤巧や亀山耕平ら5人の選手が切符を勝ち取っています。
この枠の主なライバルは、日本と同じくすでに団体出場資格を得ている中国や、または今後得るであろう有力国の強力なスペシャリストたちになってくるものと思われます。出場の機会に恵まれた日本勢の活躍を期待したいと思います。
この記事へのコメント
伸身ローチェ
意味合いとしては「オリンピックの団体出場資格のある国で、その資格を得るために団体メンバーとして競技した選手」をシード選手と例えるとシード権のない選手のオリンピック出場者の選考のような感じなんでしょうか。
Ka.Ki.
世界選手権の団体メンバーであってもオリンピックの団体に選ばれる保証はありませんし、ましてやオリンピックの団体は4人なわけですからシードとまでは言い難いでしょう。団体で出場を目指すと決めた選手たちもまた、言わば背水の陣で厳しい代表選考に臨む覚悟を求められているわけですから。