本家本元:ゾンダーランド

Originators : Zonderland


久々に本家本元をやったと思ったらいきなりの連続。平行棒のゾンダーランド(前振り片腕支持5/4ひねり単棒倒立経過、軸手を換えて片腕支持5/4ひねり支持)です。

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発表者はユプケ・ゾンダーランド(オランダ)。言うまでもない鉄棒のスペシャリストですが、平行棒も得意種目です。動画は2012年ワールドチャレンジカップ・ヘント大会のもの。F難度の技で、現在のところ本家以外の使い手はほとんどいません。



マクーツ(E)よりもそれぞれの局面で1/2ひねりが多く、5/4ディアミドフと5/4ヒーリーを組み合わせたような技ということになります。留意すべきは、これらがディアミドフ1/4ひねり(D)と単棒ヒーリー(E)として、元々難度表に存在する技であったということ。よって、中間局面では瞬時の停滞も許されず、かつてはいかなる停滞も2技に分割すると明確に通達されていました。

最新の『男子体操競技情報』などではそのような記述は見られないようですが、技の趣旨を考えるとこれまでどおり瞬時の停滞でも分割されるのが妥当であるように思います。ただ、ディアミドフ1/4ひねりがD難度に格上げになったこともあり、意図してD+Eの2技として実施することも演技構成上はありなのではないかという気もします。それを考えると1技として扱う場合はもっと難度が高くてもいいのかもしれません。


さて、本家本元:マクーツの記事では、戻るマクーツについてのコメントをいただきましたが、ゾンダーランドで戻る実施ということになるとどうなるでしょうか。こちらはハンジ・ローア(デンマーク)という選手の練習動画がありました。おそらくほぼ間違いなくD+Eという扱いになるものと思われます。

この記事へのコメント

  • moi

    いつも楽しく見させて頂いております。
    ゾンダーランド選手の動画の週末技の前のディアミドフなんですが
    普通のディアミドフ1回半ではなく、何度としてはいくつになるのでしょうか?
    2019年02月01日 17:53
  • Ka.Ki.

    いつもご覧いただきありがとうございます。

    ぺガン(前振り片腕支持5/4ひねり単棒倒立経過単棒1回ひねり)のことですね。E難度の技でしたが2017年のルール改訂の際に削除されてしまった技です。
    2019年02月01日 21:32
  • 伸身ローチェ

     ゾンダーランドは好きな技なのですがその難度を考えるたびやり切れない気持ちになります。おっしゃるように分割されてD+Eと評価されるなら選手は「分割されて2技0.9加点」と「ゾンダーランドと認定で1技0.6加点」を比べることになりますが、これではゾンダーランドをやった場合の10技中、最低難度の技がD難度以上でなければ得にはなりません。こんな構成ができる選手は世界に10人といないような気がします。さらに「停滞なく軸手を変えて減点を増やさない」という条件まで付きます。ゾンダーランド腕支持の難度がEからDに格下げされたことから技自体が忘れられて放置されているわけでもないはずです。
     私としてはこのまさに「平行棒っぽい」技が難度認定によりほとんど存在意義のないものにされていることに疑問を抱かずにはいられません。
    2019年02月02日 00:12
  • タージマハル

    興味深い記事をいつもありがとうございます。読んでいていつも考えさせられます。個人的に「停滞が見えると別の技」とか、つり輪のホンマ十字のような「支持が見えると、ホンマと十字懸垂とする」みたいな特別な技は、分割認定しない方がいいような気がしてきました。じゃないと選手と審判で判定が異なる可能性が増えてきます。
    マクーツなんかは、止まったら減点ということですので、いっそのことゾンダーランドを実施したら、どんなに止まっても減点として技認定した方がいい(ディアミ5/4は成功しても難度認定しない)と思いますし、初めから分割を意図してするならご指摘のように、ひねり戻しでやればいいと感じました。その方が軸手も変わらないでいいですしね。
    もちろん素晴らしいさばきを見せれば、技としての独自性を感じざるをえない技も多くあります。しかし、分割として認定される可能性のある足し算のような技は、極端な話、無くしてもいいなと思うくらいです。
    2019年02月02日 17:46
  • マイコ

    発表される技は勝手にスーパーマクーツと名付けて妄想していただけに
    ゾンダーランド選手が発表した時は「ついに出たか!」とわくわくしたものです。

    しかし謎の支持F難度、腕支持E難度となったせいで本人も腕支持しか実施しなくなり、
    腕支持もDに格下げになってからは忘れられた技になってしまいました。

    正直、腕支持はE難度のまま、支持受けはG難度が妥当で
    静止が認められないことを考慮するとH難度でもよかったくらいと感じています。
    いずれはその難易度が認められて格上げの対象になってほしいものです。
    2019年02月03日 00:35
  • 伸身ローチェ

    >マイコさん
     ゾンダーランド腕支持の格下げは本当に信じられないものでした。むしろいつか支持の方をG難度に格上げして「支持と腕支持の難度差は2段階」という他の技での取り扱いに合わせるだろう、と思っていたくらいでした。
     現状ではゾンダーランド腕支持の「軸手を変えて単棒ヒーリー腕支持」はなくても難度がD難度で同じということで、この後半部分はただEスコアの減点のリスクを産むだけのものとなりました(しいて言えばどうしても5/4ディアミドフを2回行いたい選手なら意味があるかもしれませんが)
     この考えは何度も私の頭の中で繰り返されますが、そのたび強い虚しさを感じます。
    2019年02月03日 01:12
  • マイコ

    >伸身ローチェさん
    一言一句にいたるまで同意です。
    腕支持が格下げになった時には「そっちじゃないだろ!」と嘆いたものです。

    鉄棒の屈伸三宙(ファルダン)も一時期Eとされており、
    ようやくG難度に格上げされました。

    ゾンダーランドについても妥当な難度への変更を期待します。
    出来ればゾンダーランド選手が現役な内に、、、
    2019年02月03日 09:02
  • 伸身ローチェ

    >マイコさん
     1つの種目にも多彩な技がある器械体操なので、難度の認定はシンプルなルールから行うことができないとは思いますが改定したからには何か理由があるとは思います。ただ私からは「ゾンダーランドがF難度なのはおかしい」というロジックばかり出てきてしまいますね。器械体操は未経験なので経験者の方から意見が聞ければ、とよく思います。
     ゾンダーランド選手ももう体操選手としては若くありませんので仮に2021-24年ルールで格上げになっても間に合うか心配です……
     ファルダンも、縦回転の多い技では抱え込みと屈身で必要な運動量が大きく違うと考えていたので「アンドリアノフと同じなのは変だなあ」と思っていました、気が合いますね。床の後方2回宙返りにおいては抱え込みと屈身で難度が同じですが、これについてはたぶん難しさの違いが1段階ほどではない、と考えてだいたい納得していますが。
    2019年02月03日 21:46
  • Ka.Ki.

    >伸身ローチェさん
    確かにディアミドフ1/4ひねりとゾンダーランド腕支持が同じ難度なのはおかしいですね。個人的にはディアミドフ1/4ひねりをD難度にしてしまったのも大いに疑問なのですが。
    2019年02月03日 23:44
  • Ka.Ki.

    >タージマハルさん
    最近の通達では、技が認定されるためには選手はその意図を明確に表現すべきであり、実施に不備があった場合に分割や格下げで判定するという措置はなくなる傾向があるように感じます。

    その意味では、選手がゾンダーランドを試みた場合は、停滞があっても難度は認定した上で、マクーツと同様の減点ルールで対応することが妥当なのかもしれません。
    2019年02月03日 23:47
  • Ka.Ki.

    >マイコさん
    ゾンダーランドがG難度以上というのは確かに妥当だとは思いますが、現実的にはなくなってしまう可能性もあるのではと危惧しています。既存の技の単純な合成ではなく、持ち手など独特の課題性があることも踏まえ、ぜひとも存続してほしいと思います。
    2019年02月03日 23:56
  • sto

    使い手が一向に現れない状況考えただけでも支持受けG難度、腕支持E難度で良いと私も思います。
    SNSでやり取りさせて頂いている元選手の方(床、鞍馬、平行棒の支持系が得意)は「全体操技の中でも一番難しい技の一つでした、一度は成功させたかった」とおっしゃっていました
    2019年02月04日 00:29
  • Ka.Ki.

    やはり相当難しい技なのですね。
    2019年02月04日 22:48
  • たくみ


    こんばんは。
    久しぶりの本家本元シリーズありがとうございます。
    https://www.instagram.com/p/Bcjubt0Dm5i/?utm_source=ig_share_sheet&igshid=6dlbs628w6wu
    日本にも、練習動画ですが戻るパターンの実施です。

    ただ、この動画の場合、外を向いていますのでディアミ5/4と、ヒーリーでD+Dとしても取れる。
    外向きでなく縦向き単棒倒立になっているとした場合、ディアミC+ヒーリーD が、繋がったことでD+Eと、なる気がします。
    この動画の場合、どうなるのかなと思います。
    2019年02月08日 02:29
  • Ka.Ki.

    いつもご覧いただきありがとうございます。

    >ただ、この動画の場合、外を向いていますのでディアミ5/4と、ヒーリーでD+Dとしても取れる。
    外向きとして見ればD+Eで問題ないと思うのですが、どういうことでしょうか?

    >外向きでなく縦向き単棒倒立になっているとした場合、ディアミC+ヒーリーD が、繋がったことでD+Eと、なる気がします。
    縦向きとして見る場合、ディアミドフ単棒倒立という技についての規定は現時点ではないと思いますが、レイバ選手が発表した車輪ディアミドフ単棒倒立の例を見てもD+Eとなるのではと思います。

    いずれにしても向きが曖昧な実施は減点の対象になりえると思います。埋め込んだローア選手の実施にしてもやや微妙な感があります。選手は常に技の意図を明確に表現することに努める必要があると思います。
    2019年02月08日 21:30