Originators : Makuts
旧サイトで掲載していた本家本元。近年使う選手がいなくなってしまった技や、一方本家が現役バリバリで使っている技などは記事にするまでもないだろうということですっかりネタ切れとなっていましたが、時の流れとともにそんな状況も変化してきますし、また新たに動画が見つかるような技もあります。というわけでかなり久々の本家本元。これからも超不定期で掲載していければと思っています。
平行棒のマクーツ(前振り片腕支持3/4ひねり単棒倒立経過、軸手を換えて3/4ひねり支持)です。

発表者は旧ソビエト連邦のボグダン・マクーツ。1979年世界選手権で発表された(1)ようです。動画は1982年ワールドカップ・ザグレブ大会のものが見つかりました。
2013年のルール改訂でそれまでのD難度からE難度に格上げとなり、使う選手が徐々に増えている技です。内村航平も2013年から演技に取り入れ、今日まで使い続けています。
3/4ディアミドフと3/4ヒーリーを組み合わせたような技とよく説明されます。その構造から中間の単棒横向き倒立になった局面で停滞することは減点の対象となり、1秒未満の停滞で0.1の減点、2秒未満の停滞で0.3の減点、2秒以上停止してしまうと0.5の減点となり技も不認定となってしまいます。
本家の実施は中間局面はスムーズですが、その後の振り上がりで少し力を使っているように見えます。一方、内村の実施は中間局面でわずかな停滞が見られるようです。このあたり、最近の実施者ではマルセル・ニューエン(ドイツ)が非常に巧く捌いていると思います。
参考文献
(1) Abie Grossfeld:CHANGES DURING THE 110 YEARS OF THE WORLD ARTISTIC GYMNASTICS CHAMPIONSHIPS, Science of Gymnastics Journal Vol.6-2 (2014)
この記事へのコメント
ユーマォ
これを腕指示や棒下からやるのは、やっぱり難易度相応に難しいのですね。
Ka.Ki.
どういうことでしょうか?
おんちっち
以前はシャルロのように静止が必要な技だと
勘違いをしていました(苦笑)
内村選手はいつも静止していますが、
本人的に美学があるのかも?なんて思っています。
流れが速すぎると大昔の平行棒の
映像みたいに急ぎすぎの印象が有りますので。
ただ、ルール上は停滞と見なされて減点なのですね(汗)
ユーマォ
そして、過去のデータを見直した所、データ上はむしろ実施が増えている技だと思うのですが、
私の中の印象では、ルール改訂してしばらく経ったくらいに、何故か「そう言えば、マクーツやってる選手が減った?」と感じた、ということです。
そう感じた理由は自分でも分からないのですが・・・
タージマハル
違う切り口からですが、以前は、ロシアのボンダレンコ選手なんかは、ひねり戻しのような、格好でマクーツを行っていました。それでも難度は取れていましたね。
https://m.youtube.com/watch?v=sAtzRyJ8asc
今だとものすごく違和感がありますが、当時はなんの問題もなく実施されていたとおもいます。おそらく、2006年ごろからだったとは思いますが、ひねり戻しは難度がC難度になるような文言があったかと思います。
あん馬のセア倒立や、鉄棒のコスミックひねりにおける、ひねり戻しは認めない技のはしりになったかと思います。そう考えると、新しい技を考える際のヒントや、技認定の1つの視点になるかもしれません。
多くの種目でひねりを増やしていく可能性の技がありますが、ひねり戻しの技なんかは認められない可能性が出てきますね。
Ka.Ki.
技の中間局面で停滞すべきではないのは自明で、これについては内村選手も減点覚悟でやっているのだと思います。
シャルロも以前の1秒静止のイメージが非常に強いですが、現在はそれも要件ではないですね。
Ka.Ki.
リオの後に実施が減ったということはないと思いますが、ヨーロッパ選手権と世界選手権の種目別決勝での出現数を確認してみたところ、2017年は多かったですが、2018年はそれより少なかったので、そのあたりの印象があるのかもしれませんね。
停滞に関する減点が通達されたのが2016年なので、徐々に影響が出ているということかもしれません。
ところでユーマォさんはどのようなデータを取られているのでしょうか?
Ka.Ki.
いつもいつもご覧いただきありがとうございます。
戻るマクーツといえばボンダレンコ選手ですね。当時は普通にマクーツとして扱われていたと思いますし、その後の通達でC難度になったのもご指摘の時期でありました。個人的には英語版採点規則の"3/4 Diamidov 1/4 Healy to support"の表記はどうなのかと思っています。
一口にひねり戻しといっても、このマクーツの場合は明らかに技の構造や課題性(軸手が変わらない)が異なり、ヤマワキひねりとは少し事情が異なるのかなという気がします。ヤマワキひねりの場合は、(例えば1/4程度ひねって戻すような)曖昧な実施が通ってしまうことに問題があったのだろうと思っています。
セア倒立については以前に記事にもしましたが、ひねり戻しではなくても交差が満たされないパターンもあり、正直言ってよく分からない点があります。