2018年ワールドカップ・コトブス大会:種目別あん馬の演技

2018 Individual Apparatus World Cup Cottbus (GER) EF PH


2018年種目別ワールドカップ・コトブス大会:あん馬の演技です。

LEE Chih-Kai (TPE)


1.逆交差倒立Back Scissor to HdstDI
2.下向き逆移動倒立3/3移動下ろして旋回Back Stöckli to Hdst 3/3 Lower to FlairEII
3.ピネーロCzechkehr outside PommelsDII
4.ケイハFlair 1/1 Spindle outside PommelsFII
5.アイヒホルンFlair 1/1 Spindle Travel and ReturnEII
6.横向き旋回1回ひねりFlair 1/1 SpindleDII
7.1回の旋回で正面横移動Front Hop Travel 3/3CIII
8.開脚マジャールFlair MagyarEIII
9.開脚シバドFlair SivadoEIII
10.下向き逆移動倒立3/3移動下りBack Stöckli to Hdst Travel 3/3DIV

D:6.5
E:9.008
Score:15.508

新たにピネーロを入れてDスコアを0.2アップさせてきた。これまでDスコアで及ばないことがあっただけに6.5まで上げてきたことは非常に大きい。実施では息つく間もなく技を繰り出し減点する隙を与えない印象。縦向き移動も角度逸脱を抑えるべく丁寧に実施している。終末技はぎりぎりの3/3移動となり着地で少し後ろに体重がかかったが堪えた。


WENG Hao (CHN)


1.正交差倒立Front Scissor to HdstDI
2.逆交差倒立Back Scissor to HdstDI
3.Gコンバイン2 Flops + R1080GII
4.開脚マジャールFlair MagyarEIII
5.開脚シバドFlair SivadoEIII
6.Eフロップ4 FlopsEII
7.縦向き後ろ移動(2/3)Back Loop Travel 2/3BIII
8.ウ・グォニアンRussian Travel 3/3 720EIII
9.馬端馬背ロシアン1080°転向Leather Russian 1080DII
10.一把手上縦向き旋回倒立3/3移動下りP Loop to Hdst Travel 3/3DIV

D:6.5
E:8.766
Score:15.266

得意のGコンバインを見せた後は、開脚の縦向き移動。閉脚、開脚いずれもハイレベルな旋回を見せる。B難度技が入っておりDスコアはまだ上げられるか。実施は李智凱に劣らない印象で、セア倒立でのわずかな停滞が目に付いた程度だった。


KEIKHA Saeedreza (IRI)


1.正交差横移動ひねり逆交差入れFront Double Scissor Travel SdwCI
2.ケイハ3Direct Stöckli outside PommelsDII
3.ピネーロCzechkehr outside PommelsDII
4.ケイハ5Flair 1/1 Spindle outside PommelsFII
5.開脚シバドFlair SivadoEIII
6.開脚マジャールFlair MagyarEIII
7.ケイハ4Back Travel over Both P 1/2 SpindleEIII
8.アイヒホルンFlair 1/1 Spindle Travel and ReturnEII
9.横向き旋回1回ひねりFlair 1/1 SpindleDII
10.一把手上縦向き旋回倒立3/3移動下りP Loop to Hdst Travel 3/3DIV

D:6.5
E:8.633
Score:15.133

F難度のケイハ5(馬端外向き縦向き支持から両把手を越えて縦向き旋回1回ひねり)を決めてDスコアは6.5。こちらもついにこのレベルのDスコアに達してきた。ケイハ3(両把手を挟んで上向き転向)、ケイハ4(両把手を越えて縦向き後ろ移動ひねり(5-1))も9月の通達で名前が付いた技。非常に個性的で難解な構成を見事に通した。


4th MERDINYAN Harutyun (ARM)


1.正交差横移動ひねり逆交差入れFront Double Scissor Travel SdwCI
2.ウ・グォニアンRussian Travel 3/3 720EIII
3.Dコンバイン2 Flops + R180DII
4.Eフロップ4 FlopsEII
5.ブスナリBusnariFII
6.あん部馬背ロシアン1080°転向Russian 1080 btw PommelsEII
7.縦向き後ろ移動(2/3)Back Loop Travel 2/3BIII
8.マジャールMagyarDIII
9.シバドSivadoDIII
10.一把手上縦向き旋回倒立450°ひねり3/3移動下りP Loop to Hdst Travel 3/3 450EIV

D:6.3
E:8.500
Score:14.800

予選は1位通過。決勝でも無難に演技を通したが上位陣にはDスコア、Eスコアともに及ばなかった。


5th WANG Junwen (CHN)


1.正交差倒立Front Scissor to HdstDI
2.逆交差倒立Back Scissor to HdstDI
3.Eフロップ4 FlopsEII
4.Dコンバイン2 Flops + R180DII
5.ロスRussian Travel 3/3 360DIII
6.トン・フェイTong FeiDIII
7.馬端馬背ロシアン360°転向Leather Russian 360BII
8.マジャールMagyarDIII
9.シバドSivadoDIII
10.一把手上縦向き旋回倒立3/3移動下りP Loop to Hdst Travel 3/3DIV

D:5.9
E:8.800
Score:14.700

2017年のこの大会の覇者。体の伸びた素晴らしい旋回を見せるがロシアン転向が360°になるなど本来構成ではなかった。


6th SELIGMAN Robert (CRO)


1.正交差横移動ひねり逆交差入れFront Double Scissor Travel SdwCI
2.横向き旋回1回ひねり[Flair | Circle] 1/1 SpindleDII
3.マジャール・シュピンデルLoop 1/1 SpindleDII
4.Eフロップ4 FlopsEII
5.ロスRussian Travel 3/3 360DIII
6.ウ・グォニアンRussian Travel 3/3 720EIII
7.馬端馬背ロシアン1080°転向Leather Russian 1080DII
8.マジャールMagyarDIII
9.シバドSivadoDIII
10.ロシアン1080°転向下りRussian 1080DIV

D:6.1
E:8.200
Score:14.300

体の伸びた旋回が持ち味だが、シュピンデルやフロップでは腰の曲がりが目に付いた。他にも器械への接触、旋回の揺れなど細かなミスが積み重なった。


7th BERTONCELJ Saso (SLO)


1.正交差横移動ひねり逆交差入れFront Double Scissor Travel SdwCI
2.ショーンSohnEII
3.シュテクリBDSBBII
4.Eコンバイン2 Flops + R360EII
5.ウ・グォニアンRussian Travel 3/3 720EIII
6.マジャール・シュピンデルLoop 1/1 SpindleDII
マジャール〈落下〉Magyar
7.Eフロップ4 FlopsEII
8.一把手上縦向き旋回倒立3/3移動下りP Loop to Hdst Travel 3/3DIV

D:5.3
E:7.266
Score:12.566

ショーンの後、なかなかコンバインに行けず無駄に旋回を重ねてしまう。シュピンデルはなんとか堪えるが、続く縦向き移動で落下。2つの移動技が取れなかったため大幅にDスコアを下げる。予定のDスコアは6.1か。


8th UDE Filip (CRO)


1.正交差横移動ひねり逆交差入れFront Double Scissor Travel SdwCI
2.横向き旋回CircleAII
3.ブスナリBusnariFII
4.Eフロップ4 FlopsEII
あん部馬背ロシアン1080°転向〈落下〉Russian 1080 btw Pommels
5.ベレンキBelenkiDIII
6.ウ・グォニアン〈この後、落下〉Russian Travel 3/3 720EIII
7.マジャールMagyarDIII
8.シバドSivadoDIII
9.一把手上縦向き旋回Pommel LoopBII
10.一把手上縦向き旋回倒立3/3移動下りP Loop to Hdst Travel 3/3DIV

D:5.8
E:5.633
Score:11.433

フロップの後のロシアン転向で落下すると、再演技後のウ・グォニアンでも落下と不調を極めた。



個性的な上位3人がDスコア6.5で並び、非常に面白い戦いを見せてくれました。Dスコアを上げた李智凱が見事な優勝。欲を言えばこの構成が世界選手権に間に合っていればというところだったでしょうか。翁浩も素晴らしい実施でしたが2位。いずれにせよ世界のトップ争いでは少なくとも6点台半ばが必須ということになるようです。

対照的に振るわなかったのはセリグマン、ベルトンチェリ、ウデといったベテランのスペシャリスト勢。いずれもワールドカップの常連なだけにこういったステージで是非ともオリンピックの切符を掴んでほしいところ。今後の大会に期待したいと思います。

この記事へのコメント

  • マイコ

    独創性では頭一つ抜けているケイハ選手の演技が大好きですね。
    個人的にはケイハとケイハ5が同難度というのが納得できません、
    手の位置が分かりやすい横向き入りと分かりづらい縦向き入りとで
    難しさがけた違いなのは瞭然なのですが、、、FIGの目は節穴なのか、、、

    彼には是非終末技の減点を無くして
    表彰台の一番高いところに来てほしいところです。
    更に言えば以前の
    マジャシバにウルジカ2、ケイハ4を混ぜた
    リズミカルな構成で攻めてくれると最高ですね。
    外野の勝手な期待ですが(笑
    2018年11月28日 11:52
  • Ka.Ki.

    5まで技に名前を付けたケイハ選手の演技は非常に独創的で楽しいですよね。ケイハとケイハ5については、構造上の共通点が多いと判断されたのではないかと思うのですが、実際の実施はずいぶんと違いますよね。

    構成は試行錯誤を繰り返しているようですが、仰るとおりバクーで見せた構成はリズミカルで見応えがありました。あの時すでにDスコア6.4ありましたが、今回の6.5と比べるとどうなんでしょうね。どうしてもケイハやケイハ5はリスクが高いので、ウルジカ2を入れた6.4の方が安定はするような気はします。

    いずれにしても今回はケイハ5が見られたので大満足です(笑)。
    2018年11月28日 23:10