2018年世界選手権:種目別鉄棒の演技

2018 Worlds Doha (QAT) EF HB


2018年世界選手権・ドーハ大会:種目別鉄棒の演技です。

ZONDERLAND Epke (NED)


1.エンドー1回ひねり大逆手Endo 1/1 to ElDIII
2.カッシーナCassinaGII
3.~コバチ+ KovacsDII(CV:0.2)
4.コールマンKolmanEII
5.~ゲイロード2+ Gaylord2EII(CV:0.2)
6.アドラー1回ひねり逆手Jam 1/1 to UGEIII
7.アドラーひねりJam 1/2DIII
8.シュタルダーStalderBIII
9.後方とび車輪1回ひねりHop 1/1CI
10.後方伸身2回宙返り2回ひねり下りDouble Back Lay 2/1EIV

D:6.8
E:8.300
Score:15.100

予選はDスコア6.2で4位通過。決勝では手放し技の連続を2つ入れ、2017年以降の自己最高となる6.8としてきた。シートリバルコ(E)を回避してきたのはDスコア0.3アップ以上の減点を伴うとの判断だろうか。手放し技は相変わらずいい位置で掴み、特にゲイロード2はスムーズに振り上げた。着地もいつもの強さを発揮する。


内村航平 UCHIMURA Kohei (JPN)


1.屈身コバチKovacs PkEII
2.カッシーナCassinaGII
3.コールマンKolmanEII
4.シュタルダーとび3/2ひねり片大逆手Stalder Hop 3/2 to MGDIII
5.アドラー1回ひねり逆手Jam 1/1 to UGEIII
6.ヤマワキYamawakiDII
7.エンドーEndoBIII
8.アドラーひねりJam 1/2DIII
9.後方とび車輪1回ひねりHop 1/1CI
10.後方伸身2回宙返り2回ひねり下りDouble Back Lay 2/1EIV

D:6.4
E:8.400
Score:14.800

2018年に入り安定して使っているDスコア6.4の構成。手放し技の実施はおおむね良好で、特にコールマンの実施は素晴らしい。伸身新月面の着地も見事に止める。内村らしい着地が出た。


MIKULAK Samuel (USA)


1.カッシーナCassinaGII
2.コールマンKolmanEII
3.伸身トカチェフTkatchev LayDII
4.トカチェフTkatchevCII
5.~リンチ+ LynchDII(CV:0.1)
6.ツォウ・リミンZou LiminCI
7.アドラーひねりJam 1/2DIII
8.後方とび車輪1回ひねりHop 1/1CI
9.シュタルダーStalderBIII
10.後方伸身2回宙返り2回ひねり下りDouble Back Lay 2/1EIV

D:6.1
E:8.433
Score:14.533

カッシーナとコールマンの後は雄大なトカチェフ系に移る。個人総合でミスがあったトカチェフ~リンチもしっかり決めた。リンチの表現は特筆すべきものがある。着地はわずかに前に跳ねる。


4th SRBIC Tin (CRO)


1.前方車輪1回ひねり大逆手1/1 to ElCI
2.ピアッティPiattiDII
3.~トカチェフ+ TkatchevCII(CV:0.1)
4.~伸身トカチェフ+ Tkatchev LayDII(CV:0.1)
5.~リンチ+ LynchDII(CV:0.2)
6.アドラーひねりJam 1/2DIII
7.モズニクMoznikEII
8.アドラー1回ひねり逆手Jam 1/1 to UGEIII
9.エンドー1回ひねり大逆手Endo 1/1 to ElDIII
10.後方伸身2回宙返り1回ひねり下りDouble Back Lay 1/1DIV

D:6.4
E:8.100
Score:14.500

ディフェンディングチャンピオン。予選はDスコア6.0と難度を抑えていたが、この種目別決勝でとっておきを披露してきた。なんとピアッティからの4連続。さらにはモズニクも決め、トカチェフ系の手放し技を5つ揃える。着地も止めてくるがEスコアが思ったより伸びなかった。


5th TANG Chia-Hung (TPE)


1.ツォウ・リミンZou LiminCI
2.ヤマワキYamawakiDII
3.コールマンKolmanEII
4.伸身トカチェフTkatchev LayDII
5.~トカチェフ+ TkatchevCII(CV:0.1)
6.~リンチ+ LynchDII(CV:0.1)
7.アドラー1回ひねり逆手Jam 1/1 to UGEIII
8.アドラーひねりJam 1/2DIII
9.シュタルダーStalderBIII
10.後方伸身2回宙返り2回ひねり下りDouble Back Lay 2/1EIV

D:6.1
E:8.166
Score:14.266

優勝したアジア競技大会や予選ではDスコア6.0だったが、この決勝では伸身トカチェフからリンチまでつなげて3連続としてきた。コールマンが近くなったのが惜しい。着地は止めたかに見えたが、堪えきれず後ろに片足1歩。


6th DENG Shudi (CHN)


1.伸身トカチェフTkatchev LayDII
2.~モズニク+ MoznikEII(CV:0.2)
3.アドラーひねりJam 1/2DIII
4.トカチェフTkatchevCII
5.~リンチ+ LynchDII(CV:0.1)
6.アドラー1回ひねり逆手Jam 1/1 to UGEIII
7.エンドー1回ひねり大逆手Endo 1/1 to ElDIII
8.ヤマワキYamawakiDII
9.後方とび車輪1回ひねりHop 1/1CI
10.後方伸身2回宙返り2回ひねり下りDouble Back Lay 2/1EIV

D:6.4
E:7.666
Score:14.066

トカチェフからリンチを連続し、これまで見せたことのないDスコア6.4の構成としてきた。リンチの振り上がりでわずかに停滞、ホップターンも減点要素か。着地は止まったかに見えたがわずかに前に跳ねる。


7th XIAO Ruoteng (CHN)


1.リューキンLiukinFII
2.エンドー1回ひねり大逆手Endo 1/1 to ElDIII
3.伸身トカチェフTkatchev LayDII
4.トカチェフTkatchevCII
5.リンチLynchDII
6.アドラー1回ひねり片逆手Jam 1/1 to MGDIII
7.ヤマワキYamawakiDII
8.アドラーひねりJam 1/2DIII
9.後方とび車輪1回ひねりHop 1/1CI
10.後方伸身2回宙返り2回ひねり下りDouble Back Lay 2/1EIV

D:6.1
E:7.800
Score:13.900

大きなミスなく演技を通し、着地まで止めるが、Eスコアは伸びない。アドラー系2つの角度逸脱が大きかったか。


8th DALALOYAN Artur (RUS)


1.懸垂振り出し倒立StemAIII
2.後方車輪Back GiantAI
3.伸身コバチKovacs LayEII
4.コバチKovacsDII
5.伸身トカチェフTkatchev LayDII
モズニク〈落下〉Moznik
6.アドラーひねりJam 1/2DIII
7.アドラーJamCIII
8.ヤマワキYamawakiDII
9.シュタルダーStalderBIII
10.後方伸身2回宙返り1回ひねり下りDouble Back Lay 1/1DIV

D:5.2
E:7.466
Score:12.666

伸身トカチェフを決めた後、続く手放し技で落下。おそらくはモズニク(E)を試みたと思われるがひねりのタイミングを逸したか。ここまで5つのメダルを獲得してきた今大会の主役だったが、最後は思いどおりにいかなかった。



連続技でDスコアを上げてきた選手が少なくありませんでした。ゾンダーランドは難度を抑えていますが、それでもDスコアは頭一つ抜き出ています。鉄棒のEスコアは厳しいですが、選手によって大きな差は付かないのが現状で、ゾンダーランドに対抗しうるのは種目別用の構成を用いた内村くらいしかいないかもしれません。

今大会活躍の中国勢、ロシア勢も鉄棒では振るわず。ディフェンディングチャンピオンやアジアチャンピオンも得点が伸び切らない中、ミクラックが世界選手権の個人種目で初の嬉しい3位となっています。

この記事へのコメント

  • 体操大好き人間

    いつも楽しく見させて頂いています。

    内村選手の鉄棒はいつも見てもやっぱりステキですね。
    今回の構成は正直残念でした。
    足を負傷した分、今まで練習してきたブレッドシュナイダーを実施
    又は、カッシーナ+コールマンの連続はして欲しかったなぁ~と
    個人的に思っていました。

    ゾンダーランド選手は今まで通り2つの連続技を実施してきました。
    ただ、美しさでは少し難があるように思えたのですが、内村選手と
    Eスコアが0.1しかなかった。
    少し疑問が残りますが、それを払拭するためにも攻めて欲しかった
    ですね。。

    また、鉄棒での連続技を実施する選手が多い中、日本選手は少し
    消極的なイメージが個人的にあります。

    どの種目を強化して世界に挑むのかの明確な指針が見る側に伝わって
    来ないのが気になりますが、今後も日本が世界をリードしていく姿を
    見続けたいですね^^
    2018年11月20日 19:17
  • Ka.Ki.

    いつもご覧いただきありがとうございます。

    今回はブレットシュナイダーはないと発言していましたし、カッシーナ~コールマンも準備していなかったということでしょうが、内村選手の種目別用の構成はファンとしては常に期待してしまいますよね。

    日本も内村選手は別とすると鉄棒のDスコアは高くないので、強化のためには連続技に挑戦することは必須だと思います。そのためには手放し技が常に安定していなければなりませんが、海外との差はパワーなのでしょうかね。決して消極的というわけでもないと思うのですが…。課題ですね。
    2018年11月21日 23:15
  • 伸身ローチェ

    今大会のことに限らないんですが、リバルコが減りましたねえ。とうとう世界体操の種目別決勝で姿を消してしまいましたか。リオ五輪では4人が実施していたのに。
    前からゾンダーランド選手のシュタルダーからのリバルコの時のバーのつかみ方が気に入っていたんですが、それが無くなりそういえば、と思って調べてみましたが……平行棒の二回宙返り腕支持技の減少を連想してしまいました。
    あと最近気づいたのですが内村選手って大逆手になる技を近年やってないみたいなんですね、「■ 個人総合 AA」のリンクから見てみましたがアドラーひねり系の技を「大逆手になる」と見なさなければ2009年に実施したのが最後でした。人気の高いエンドー一回ひねり大逆手もそれ以来していません。大逆手エンドーもその大会で実施していたので大逆手車輪が苦手とは思えないのですし、ルール改正のタイミングとも違うのでより異色を放って見えます。
    2018年11月24日 02:43
  • Ka.Ki.

    リバルコ減りましたね。旧サイトでリバルコが好きというだけの記事を書いたこともある身としては寂しい限りです。ひねり技の減点がこれだけ厳しいと今後もこの傾向は続くでしょうね。

    内村選手が大逆手をやらないのは確実性や実施減点を考慮してのことだと思われ、まぁ苦手かどうかと言えば苦手ということになるのだと思います。ただ、鉄棒は大逆手を入れなくても十分な構成が組めるので問題ないのでしょう。その点では、平行棒に課題がある気がします。
    2018年11月24日 23:44