北園丈琉 - 2018年ユースオリンピック:個人総合の演技

KITAZONO Takeru (JPN)
2018 Youth Olympic Games Buenos Aires (ARG) AA


2018年のユースオリンピックがアルゼンチンのブエノスアイレスで開催され、個人総合では清風高校1年生の北園丈琉が優勝しています。その演技構成を見ていきましょう。


#1 ゆか FX

1.前方かかえ込み2回宙返りDouble FrontDII
2.後方伸身宙返り3/2ひねりBack Lay 3/2CIII
3.~前方伸身宙返り2回ひねり+ Front Lay 2/1DII(CV:0.1)
4.後方伸身宙返り5/2ひねりBack Lay 5/2DIII
5.~前方伸身宙返りひねり+ Front Lay 1/2BII(CV:0.1)
6.後方伸身宙返り2回ひねりBack Lay 2/1CIII
7.マンナMannaCI
8.後方伸身宙返り3回ひねりBack Lay 3/1DIII

D:4.9
E:8.933
Score:13.833

ユースでは2回宙返りは必須ではないが、しっかり最初に入れている。尻上がりに安定感が増す印象で、後半は着地をことごとく止めてくる。


#2 あん馬 PH

1.逆交差倒立Back Scissor to HdstDI
2.アイヒホルンFlair 1/1 Spindle Travel and ReturnEII
3.横向き旋回1回ひねりFlair 1/1 SpindleDII
4.正面横移動連続(あん部馬背着手)Front Travel 3/3 Hands btw PCIII
5.開脚マジャールFlair MagyarEIII
6.開脚シバドFlair SivadoEIII
7.一把手上縦向き旋回Pommel LoopBII
8.下向き逆移動倒立3/3移動下りBack Stöckli to Hdst Travel 3/3DIV

D:5.2
E:8.766
Score:13.966

動画は2:04から。雄大な開脚旋回が素晴らしい。アイヒホルンなどの高難度技をこなし、開脚の縦向き移動の角度も良好に見える。終末技の安定感はやや気になるが、見事な演技を見せた。


#3 つり輪 SR

1.け上がり脚前挙支持Kip to L-SitBIII
2.中水平支持MalteseDII
3.ホンマ十字懸垂Whippet to CrossDIII
4.ほん転逆上がり倒立Felge to HdstCI
5.屈身ヤマワキYamawaki PkDI
6.ヤマワキYamawakiCI
7.後ろ振り上がり倒立Back Uprise to HdstCI
8.後方かかえ込み2回宙返り2回ひねり下りDouble Back 2/1EIV

D:4.8
E:8.666
Score:13.466

動画は3:41から。得意種目だけあって中水平やホンマ十字の入ったユースとしては力強い構成。新月面の着地はわずかに跳ねる。


#4 跳馬 VT

DEPenScore
アカピアンKasamatsu Lay 1/14.89.43314.233

動画は5:27から。跳馬はアカピアン。空中姿勢は良好で、着地もわずかに跳ねる程度に収める。


#5 平行棒 PB

1.後ろ振り上がり前方屈身宙返り支持Back Uprise Front Pk to SupDII
2.ヒーリーHealyDI
3.棒下宙返りひねり倒立Basket 1/2 to HdstEIII
4.棒下宙返り倒立Basket to HdstDIII
5.後方車輪倒立Back Giant to HdstCIII
6.チッペルトTippeltDIII
7.バブサーBhavsarEIII
8.前方かかえ込み2回宙返りひねり下りDouble Front 1/2FIV

D:5.5
E:7.500
Score:13.000

動画は6:25から。最初の後ろ振り倒立での腰の曲がりは減点を免れないが、棒下系や車輪の実施は素晴らしい。順調に演技を進めていたが、最後の着地で踏ん張れず後ろに転倒してしまう。


#6 鉄棒 HB

1.ヤマワキYamawakiDII
2.アドラーひねりJam 1/2DIII
3.伸身トカチェフTkatchev LayDII
4.トカチェフTkatchevCII
5.後方浮腰回転後ろ振り出し順手背面懸垂Stoop in to Back TossCIII
6.順手背面車輪Czech GiantDI
7.ケステKosteCIII
8.後方伸身2回宙返り2回ひねり下りDouble Back Lay 2/1EIV

D:5.0
E:8.800
Score:13.800

動画は8:06から。トカチェフ系の手放し技を決めた後は、順手背面車輪で難度を稼ぐ。終始、姿勢は良好で着地まで決める。

Total Score:82.298 (Total D:30.2)
Rank:1st



4年に一度のユースオリンピックですが、出場資格は今回でいえば2001~2002年生の選手とどの年代にも公平にチャンスがあるわけではありません。そんな中、5月の代表決定競技会で代表の座を勝ち取った北園が、地球の裏側でもその実力をいかんなく発揮、見事に個人総合優勝を果たしました。平行棒でのミスをものともしない圧勝。8技のユースで83点に迫る合計得点も驚異的です。

小学生時代から有名だった選手ではありますが、6種目を通じての実施の質の高さにはあらためて驚かされました。今大会では個人総合のほか、種目別のゆか、つり輪、平行棒、鉄棒でも優勝という5冠を達成。種目別あん馬では落下で優勝を逃しましたが、予選は1位であり、あわや総なめというところでした。間違いなくこの年代のリーダーであることを世界に示したと言っていいでしょう。

この記事へのコメント

  • こっこ

    北園選手は高校1年とは思えない質の高い演技ばかりで驚かされますね。
    2018年10月17日 16:26
  • こっこ

    すみません、途中で送信してしまいました。
    本人は東京五輪を目指すと言っていますし、シニアのトップレベルまであと2年で行けるのか楽しみです。

    話は変わるのですが、今回のユースオリンピックで他の国の選手の演技はどこかに上がっていますかね。もし知っていたら教えていただけるとありがたいです。
    2018年10月17日 16:29
  • 伸身ローチェ

    82.298という得点をみてユースのものと思う人は少ないでしょうね(そもそもユースの存在もそんなに有名ではないでしょうが)
    個人総合の予選では83点を超えていて仮に8技から10技にする際に全てC難度技を加えたとすると0.3×10で3点の上乗せ、86点を狙える計算になるんですね。
    もちろん今回の大会のEスコアが世界体操並みに厳しいのか、増やした技での減点、10技に増やすことへの体力的な負担などは無視した推量ですが、際立った実力を持っていることは間違いないと感じます。特に平行棒はシニアのトップと使っている技が変わりませんね。
    こと女子レスリングと男子器械体操に関しては日本は異常と思えるほどです。最近問題も取りざたされましたが、いい部分の育成ノウハウを知りたいと思ってしまいます。
    2018年10月17日 23:12
  • こっこ

    Ka.Kiさん
    ありがとうございます。
    2018年10月18日 14:19
  • Ka.Ki.

    >伸身ローチェさん
    本当にすごい結果を出してくれました。これからも順調に成長を続けてほしいと思います。
    2018年10月20日 23:34