2018年アジア競技大会:種目別あん馬の演技

2018 Asian Games Jakarta (INA) EF PH


2018年ジャカルタ・アジア競技大会:種目別あん馬の演技です。

LEE Chih-Kai (TPE)


1.逆交差倒立Back Scissor to HdstDI
2.下向き逆移動倒立3/3移動下ろして旋回Back Stöckli to Hdst 3/3 Lower to FlairEII
3.ケイハFlair 1/1 Spindle outside PommelsFII
4.両把手を挟んで横向き旋回Flair outside PommelsBII
5.アイヒホルンFlair 1/1 Spindle Travel and ReturnEII
6.横向き旋回1回ひねりFlair 1/1 SpindleDII
7.1回の旋回で正面横移動Front Hop Travel 3/3CIII
8.開脚マジャールFlair MagyarEIII
9.開脚シバドFlair SivadoEIII
10.下向き逆移動倒立3/3移動下りBack Stöckli to Hdst Travel 3/3DIV

D:6.3
E:9.100
Score:15.400

予選はDスコア6.0(でそれでも1位通過)だったが、決勝では5月のワールドチャレンジカップ・オシエク大会でも見せたDスコア6.3のフル構成。成功率がそこまで高くないF難度のケイハ(両把手を挟んで横向き旋回1回ひねり)をしっかり決めた。実施面でも、開脚旋回を得意とするスペシャリストが少なくない中、雄大さ、質の高さ、安定感といったものが頭一つ抜き出ており、それがEスコアに如実に現れている。


ZOU Jingyuan (CHN)


1.横向き旋回1回ひねりCircle 1/1 SpindleDII
2.トン・フェイTong FeiDIII
3.マジャール・シュピンデルLoop 1/1 SpindleDII
4.馬端馬背ロシアン1080°転向Leather Russian 1080DII
5.Eフロップ4 FlopsEII
6.逆交差倒立Back Scissor to HdstDI
7.Dコンバイン2 Flops + R180DII
8.マジャールMagyarDIII
9.シバドSivadoDIII
10.一把手上縦向き旋回倒立3/3移動下りP Loop to Hdst Travel 3/3DIV

D:6.1
E:9.000
Score:15.100

横向き閉脚旋回のシュピンデルから入る。終始ミスらしいミスのない安定した旋回を見せた。


SUN Wei (CHN)


1.逆交差倒立Back Scissor to HdstDI
2.正交差倒立Front Scissor to HdstDI
3.Eフロップ4 FlopsEII
4.Dコンバイン2 Flops + R180DII
5.ウ・グォニアンRussian Travel 3/3 720EIII
6.馬端馬背ロシアン1080°転向Leather Russian 1080DII
7.ロスRussian Travel 3/3 360DIII
8.マジャールMagyarDIII
9.シバドSivadoDIII
10.一把手上縦向き旋回倒立3/3移動下りP Loop to Hdst Travel 3/3DIV

D:6.2
E:8.875
Score:15.075

中国のオールラウンダーだが、今大会では得意種目で安定感を格段に増した演技を披露した。このあん馬では予選、団体決勝、種目別決勝を通じて全て15点台をマーク。一躍、中国代表のキーパーソンに浮上してきた感がある。


4th KEIKHA Saeedreza (IRI)


1.正交差横移動ひねり逆交差入れFront Double Scissor Travel SdwCI
2.両把手を挟んで上向き転向Direct Stöckli outside PommelsD?II
3.ピネーロCzechkehr outside PommelsDII
4.縦向き前移動(1/2)Front Loop Travel 1/2BIII
5.開脚シバドFlair SivadoEIII
6.開脚マジャールFlair MagyarEIII
7.両把手を越えて縦向き後ろ移動ひねりBack Travel over Both P 1/2 SpindleE?III
8.アイヒホルンFlair 1/1 Spindle Travel and ReturnEII
9.横向き旋回1回ひねりFlair 1/1 SpindleDII
10.一把手上縦向き旋回倒立3/3移動下りP Loop to Hdst Travel 3/3DIV

D:6.1
E:8.675
Score:14.775

開脚旋回を主体に相変わらず難解な構成を見せる。3月のワールドカップ・ドーハ大会で見せた新技と思しき技が今回も入っているが、Dスコアは抑え気味になっている。


5th PARK Minsoo (KOR)


1.正交差横移動ひねり逆交差入れFront Double Scissor Travel SdwCI
2.正交差倒立Front Scissor to HdstDI
3.逆交差倒立Back Scissor to HdstDI
4.横向き旋回CircleAII
5.Eフロップ4 FlopsEII
6.Dコンバイン2 Flops + R180DII
7.ロスRussian Travel 3/3 360DIII
8.マジャールMagyarDIII
9.シバドSivadoDIII
10.一把手上縦向き旋回倒立3/3移動下りP Loop to Hdst Travel 3/3DIV

D:5.7
E:8.775
Score:14.475

グループIが3技入った構成だが、旋回技が苦手というわけではなく、Eスコアにも表れているようにむしろ旋回の質は高い。最後まで危なげなく演技を通す。


6th KURBANOV Nariman (KAZ)


1.ミクラックMikulakDI
2.横向き旋回CircleAII
3.ニン・レイエス2Nin Reyes2EIII
4.縦向き前移動(1-5)Front Loop Travel 1-5DIII
5.クルバノフKurbanovEIII
6.Eコンバイン2 Flops + R360EII
7.ショーンSohnEII
8.Eフロップ4 FlopsEII
9.トン・フェイTong FeiDIII
10.〈終末技なし〉

D:5.3 (EGR IV:0.0)
E:8.250
Score:13.550

オリジナル技のクルバノフ(両把手を越えて縦向き後ろ移動)を持ち、2月のワールドカップ・メルボルン大会ではDスコア6.3まで出していた。今回の決勝でもそれに準ずる構成を予定していたと思われるが、なんと終末技で倒立に上げられず。やり直しもしなかったため、終末技なしとなり大きくDスコアを落とした。


7th 長谷川智将 HASEGAWA Tomomasa (JPN)


1.アイヒホルンFlair 1/1 Spindle Travel and ReturnEII
2.横向き旋回1回ひねりFlair 1/1 SpindleDII
3.逆交差倒立Back Scissor to HdstDI
4.ブスナリBusnariFII
5.1回の旋回で正面横移動Front Hop Travel 3/3CIII
6.開脚マジャールFlair MagyarEIII
7.開脚シバドFlair SivadoEIII
8.ウ・グォニアンRussian Travel 3/3 720EIII
9.ロスRussian Travel 3/3 360DIII
10.DSA倒立3/3移動下り〈落下して再試技〉DSA to Hdst Travel 3/3DIV

D:6.5
E:6.675
Score:13.175

今大会は予選、団体決勝と落下し続けて非常に不本意な結果となった。この種目別決勝でも前半は順調だったが、後半ウ・グォニアンで乱れると、終末技で大きくバランスを崩してしまう。減点を取り戻そうとひねりを加えたのが裏目に出たか。終末技はやり直して難度は確保する。Dスコア6.5は決勝進出者の中でもダントツだっただけに残念。


8th 千葉健太 CHIBA Kenta (JPN)


1.逆交差倒立Back Scissor to HdstDI
2.横向き旋回CircleAII
ブスナリ〈落下〉Busnari
3.Eフロップ4 FlopsEII
4.Dコンバイン2 Flops + R180DII
5.縦向き前移動(1-2-5)Front Loop Travel 1-2-5DIII
6.シバドSivadoDIII
7.馬端中向き旋回Front LoopAII
8.ロス〈この後、落下〉Russian Travel 3/3 360DIII
ウ・グォニアン〈落下〉Russian Travel 3/3 720
9.シュテクリBDSBBII
10.下向き逆移動倒立3/3移動下りBack Stöckli to Hdst Travel 3/3DIV

D:5.3
E:5.575
Score:10.875

指の負傷が伝えられる中、この種目別決勝では果敢にブスナリ(F)に挑むが、落下。その後も落下が相次いでしまう。ロスは何とか旋回につなげたため難度認定されたが、ウ・グォニアンは旋回につなげられなかったため不認定となる。



Dスコアは長谷川が6.5まで上げていますが、上位に入ったのは6.1~6.3の構成を持つ選手たち。その共通点はEスコアの高さであり、難度もさることながら、実施の質が重要になっています。特にあん馬は2017年のルール改訂で大きさの不十分な旋回や、腰の曲がりはどんどん減点されるようになりました。いくつかの技の格上げも相まって、雄大な開脚旋回を安定して回せる選手が有利になっており、今大会はその傾向が如実に表れたとも言えそうです。

李智凱の優勝スコア15.400は2018年の国際大会ではおそらく最高。驚異的な点数が出ました。世界選手権ではヨーロッパチャンピオンのリース・マクレナガン(アイルランド)との一騎打ちになるでしょうか。中国勢は優勝こそ譲ったものの、2位、3位と表彰台を固めました。日本勢はミスが相次ぎ7位、8位。奮起を期待したいと思います。

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