アルトゥール・ダラロヤン - 2018年ロシアカップ:個人総合の演技

DALALOYAN Artur (RUS)
2018 Russian Cup Chelyabinsk AA


2018年ロシアカップは全日本種目別選手権の翌週に開催されていましたが、少し紹介が遅くなってしまいました。個人総合優勝のアルトゥール・ダラロヤンの演技を見ていきましょう。

DスコアとEスコアの内訳が判っていません。よってDスコアは手元の計算による非公式、Eスコアは決定点からの逆算となっています。ご注意ください。

#1 ゆか FX


1.前方伸身宙返り1回ひねりFront Lay 1/1CII
2.~前方伸身宙返り5/2ひねり+ Front Lay 5/2EII(CV:0.1)
前方伸身宙返りFront LayBII
3.~前方屈身2回宙返り+ Double Front PkEII
4.後方かかえ込み2回宙返り2回ひねりDouble Back 2/1EIII
5.後方伸身宙返り5/2ひねりBack Lay 5/2DIII
6.~前方伸身宙返り2回ひねり+ Front Lay 2/1DII(CV:0.2)
7.後方伸身宙返り3/2ひねりBack Lay 3/2CIII
8.~前方伸身宙返り3/2ひねり+ Front Lay 3/2CII
9.開脚座から力十字倒立Split Press to Japanese HdstCI
10.後方伸身宙返り3回ひねりBack Lay 3/1DIII

D:6.2
E:8.066
Score:14.266

4月のロシア選手権の時と同じ構成。1本目の前方5/2はまずまずだったが、その後は全体的に着地が決まらなかった。


#2 あん馬 PH


1.逆交差倒立Back Scissor to HdstDI
2.把手上下向き転向〈落下して再試技〉CzechkehrBII
3.Dフロップ3 FlopsDII
4.ブスナリBusnariFII
5.正面横移動連続(あん部馬背着手)Front Travel 3/3 Hands btw PCIII
6.シュテクリBDSBBII
7.縦向き後ろ移動(2/3)Back Loop Travel 2/3BIII
8.マジャールMagyarDIII
9.シバドSivadoDIII
10.一把手上縦向き旋回倒立3/3移動下りP Loop to Hdst Travel 3/3DIV

D:5.5
E:6.933
Score:12.433

セア倒立の後、フクガに入ったところで落下してしまう。その後も旋回は安定しなかったが、D難度の終末技まで演技をやり切る。


#3 つり輪 SR


1.後方伸腕伸身逆上がり中水平支持Back Roll to MalteseFII
2.後方け上がり中水平支持Back Kip to MalteseEIII
3.ナカヤマBack Lever to CrossDII
4.屈身ヤマワキYamawaki PkDI
5.ヤマワキYamawakiCI
6.ホンマ十字懸垂Whippet to CrossDIII
7.後ろ振り上がり開脚上水平支持Back Uprise to Strd PlancheCIII
8.ほん転逆上がり倒立Felge to HdstCI
9.後ろ振り上がり倒立Back Uprise to HdstCI
10.後方伸身2回宙返り1回ひねり下りDouble Back Lay 1/1DIV

D:5.9
E:7.933
Score:13.833

つり輪はホンマ十字懸垂も入れたDスコア5.9で来た。着地まで決めるがEスコアが伸びない。静止時間が全体的に短い印象ではあったが…。


#4 跳馬 VT


DEPenScore
シライ/キム・ヒフンYurchenko Lay 3/15.69.2000.114.700

跳馬は片足こそラインを割ってしまったが、全体としては良好な跳越を見せ、高いEスコアを出す。


#5 平行棒 PB


1.横向き逆上がり1/4ひねり倒立Shoot Up 1/4 to HdstDIII
2.リチャードFront Uprise DiamidovEII
3.前振り上がりひねり倒立Front Uprise 1/2 to HdstEII
4.チッペルトTippeltDIII
5.バブサーBhavsarEIII
6.前方開脚5/4宙返り腕支持5/4 Front StrdDI
7.ヒーリーHealyDI
8.後ろ振り上がり前方屈身宙返り支持Back Uprise Front Pk to SupDII
9.前振りひねり倒立Stützkehr to HdstCI
10.前方かかえ込み2回宙返りひねり下りDouble Front 1/2FIV

D:6.4
E:8.566
Score:14.966

リチャードを取り入れてDスコアをアップ。着地まで止めて高得点を出す。


#6 鉄棒 HB


1.懸垂振り出し倒立StemAIII
2.後方車輪Back GiantAI
3.伸身コバチKovacs LayEII
4.コバチKovacsDII
5.伸身トカチェフTkatchev LayDII
6.アドラーひねりJam 1/2DIII
7.アドラー1回ひねり片逆手Jam 1/1 to MGDIII
8.ヤマワキYamawakiDII
9.シュタルダーStalderBIII
10.後方伸身2回宙返り2回ひねり下りDouble Back Lay 2/1EIV

D:5.4
E:7.733
Score:13.133

鉄棒は抑えめの構成。本来はモズニク(E)、あるいは大逆手系のひねり技を持つ。アドラーひねりで乱れて振り戻り、さらにダブルスイングになってしまった。着地は止める。

Total Score:83.331 (Total D:35.0)
Combined Total:167.929
Rank:1st



ダヴィド・ベルヤフスキーやニキータ・ナゴルニーといった有力なオールラウンダーが6種目演技していないということもあり、予選を84.598で1位通過。決勝では大きなミスが相次ぎ83点台と低調な結果になりましたが、何とか2日間の合計で競うロシアカップを制しました。

実施では難がありましたが、難度は着々と上げています。4月のロシア選手権と比べると鉄棒は抑えているものの、つり輪、平行棒を上げて、合計Dスコアは35.0と世界の上位と戦えるレベルに。ロシアを代表するオールラウンダーになりつつあるダラロヤンに今後も注目です。

この記事へのコメント

  • 伸身ローチェ

    今年の世界選手権での活躍が楽しみな選手ですね。とくに平行棒の演技が気に入りました。そして気づいたんですが平行棒の演技、中技がグループI~Ⅲを3つずつやってますね。選手の得意な技術に合わせて偏ることが普通と思っていたので珍しいと感じました。
    2018年07月24日 21:06
  • Ka.Ki.

    ご指摘のとおりで、グループIやIIIを5技まで目いっぱい入れる構成が多くなっている中、とても珍しいと思います。そもそも棒下宙返り倒立技を使っていないのが非常に珍しいですよね。
    2018年07月25日 22:43