白井健三 - 2018年ワールドカップ・東京大会:個人総合の演技

SHIRAI Kenzo (JPN)
2018 Individual All-Around World Cup Tokyo (JPN) AA


2014年以来4年ぶりに開催された個人総合ワールドカップの東京大会は白井健三が見事な優勝を飾りました。すでに簡単なレポート記事を書いていますが、あらためて6種目の演技構成を確認しておきましょう。

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#1 ゆか FX

1.シライ3Double Back Lay 3/1HIII
2.リ・ジョンソンDouble Back 3/1GIII
3.後方伸身宙返り5/2ひねりBack Lay 5/2DIII
4.~前方伸身宙返り5/2ひねり+ Front Lay 5/2EII(CV:0.2)
5.前方かかえ込み宙返り1回ひねりFront 1/1BII
6.~シライ2+ Front Lay 3/1FII(CV:0.1)
7.伸膝前転脚前挙支持経過倒立Endo Roll Pk to HdstCI
8.後方伸身宙返り7/2ひねりBack Lay 7/2EIII
9.~前方伸身宙返り1回ひねり+ Front Lay 1/1CII
10.シライ/グエンBack Lay 4/1FIII

D:7.2
E:8.000
Score:15.200

アメリカンカップでは終盤の後方7/2~前方1回を~前方1/2にしていたが、今回はフル構成を持ってきた。後半はひねり不足や着地の乱れが見られたが、大きなミスはなく演技を通す。


#2 あん馬 PH

1.逆交差倒立Back Scissor to HdstDI
2.横向き旋回CircleAII
3.Eフロップ4 FlopsEII
4.モギルニーMoguilnyDIII
5.Dコンバイン2 Flops + R180DII
6.マジャールMagyarDIII
7.シバドSivadoDIII
8.一把手上縦向き旋回Pommel LoopBII
9.縦向き後ろ移動(2/3)Back Loop Travel 2/3BIII
10.一把手上縦向き旋回倒立450°ひねり3/3移動下りP Loop to Hdst Travel 3/3 450EIV

D:5.5
E:8.033
Score:13.533

アメリカンカップで挑んだのはやはりモギルニーだった。今大会では見事成功させる。終末技は倒立で力を使うが、しっかりひねってE難度で下りる。Dスコアは5.5となりオールラウンダーとして遜色ないレベルになってきた。


#3 つり輪 SR

1.後ろ振り上がり中水平支持Back Uprise to MalteseEIII
2.中水平支持MalteseDII
3.アザリアンBack Roll to CrossDII
4.ヤマワキYamawakiCI
5.屈身ヤマワキYamawaki PkDI
6.後ろ振り上がり開脚上水平支持Back Uprise to Strd PlancheCIII
7.ほん転逆上がり倒立Felge to HdstCI
8.後ろ振り上がり倒立Back Uprise to HdstCI
9.グチョギーGuczoghyCI
10.後方かかえ込み2回宙返り2回ひねり下りDouble Back 2/1EIV

D:5.7
E:8.066
Score:13.766

つり輪は従来どおりのDスコア5.7。力技では減点を免れないが、着地をピタリと止めてEスコアはまずまず。


#4 跳馬 VT

DEPenScore
シライ/キム・ヒフンYurchenko Lay 3/15.69.36614.966

迫力のあるシライ/キム・ヒフンを見せる。着地は後ろに1歩動くが高いEスコアを出した。


#5 平行棒 PB

1.後ろ振り上がり前方屈身宙返り支持Back Uprise Front Pk to SupDII
2.棒下宙返り倒立Basket to HdstDIII
3.後方車輪倒立Back Giant to HdstCIII
4.ベーレBelleDIII
5.チッペルトTippeltDIII
6.ヒーリーHealyDI
7.前振りひねり倒立Stützkehr to HdstCI
8.懸垂前振り後方かかえ込み宙返りひねり腕支持Giant Back Toss 1/2DIII
9.前方開脚5/4宙返り腕支持5/4 Front StrdDI
10.前方かかえ込み2回宙返りひねり下りDouble Front 1/2FIV

D:6.0
E:8.466
Score:14.466

平行棒もDスコア6.0で変わりはないが、その分実施は安定している。腕支持で受ける技では減点を免れないか。着地はまとめる。


#6 鉄棒 HB

1.ヤマワキYamawakiDII
2.エンドーひねりEndo 1/2BIII
3.屈身コバチKovacs PkEII
4.アドラーJamCIII
5.ポゴレロフPogolerovFII
6.コバチKovacsDII
7.後方とび車輪1回ひねりHop 1/1CI
8.アドラーひねりJam 1/2DIII
9.シュタルダーとび1回ひねりStalder Hop 1/1CIII
10.後方伸身2回宙返り2回ひねり下りDouble Back Lay 2/1EIV

D:5.9
E:8.233
Score:14.133

前の演技者である谷川航がミスのない演技をし、優勝に必要な得点は12.468と落下などの大過失があればまだまだ分からないプレッシャーのかかる展開で、守りに入ることなく自身の持てる技を全てつぎ込んだDスコア5.9のフル構成を完遂する。

Total Score:86.064 (Total D:35.9)
Rank:1st



白井が見事なワールドカップ優勝。最初のゆかでトップに立つのは白井としては当然のことですが、それでも15.200のスタートはもう少し欲しかったところではありました。しかし、我慢の種目となるあん馬、つり輪でもトップを譲らず。ミスをする選手が相次ぐ中、ただ一人大きなミスをすることなく最後まで突っ走ってみせました。アメリカンカップの雪辱を果たす素晴らしい6種目の演技でした。

特に最終種目の鉄棒では驚くべき勝負強さを見せつけ、非常に見応えがありました。あん馬で難度を上げたことにより合計Dスコアはついに35.9と世界でもトップクラスの高水準に。2018年に入ってからはもちろん世界最高でしょう。いよいよ迫る全日本選手権での内村航平との対決がとても楽しみです。

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