2018年ワールドカップ・東京大会レポート

2018 World Cup Tokyo (JPN) Report


2018年個人総合ワールドカップ・東京大会のレポートです。

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#1 ゆか FX

白井健三はアメリカンカップでは少し難度を抑えたが今大会は本来どおりのDスコア7.2。実施は演技後半でひねり不足や着地の乱れが見られたが大きなミスはなく決定点15.200を出す。谷川航もDスコア6.0の構成で良い実施を見せる。

サミュエル・ミクラック(アメリカ)やアルベルト・タリョン(スペイン)は2回宙返りを使った個性的な演技を見せた。ジャクソン・ペイン(カナダ)が2本目のタンブリングで着地に失敗、足を痛めたようで演技を続行できなくなる。

DEPenScore
1.白井健三 SHIRAI Kenzo (JPN)7.28.00015.200
2.谷川航 TANIGAWA Wataru (JPN)6.08.50014.500
3.DALALOYAN Artur (RUS)6.27.96614.166


#2 あん馬 PH

白井が新たにモギルニー(D)を取り入れた構成を成功させる。終末技で力を使ったがひねってE難度で下り切った。谷川もロス(D)を入れて難度を上げてきたが縦向き前移動で惜しくも落下。演技再開までのタイムオーバーでペナルティ(ND)も取られるがそれでも3位に留まる。

落下する選手が相次ぐ中、イェフゲン・ユデンコフ(ウクライナ)がロシアン転向を多用した構成を通す。ペインは棄権せず競技を続行。あん馬では3回落下するが、逆ブライアン(D)が入った個性的な演技を見せた。ブスナリ(F)の使い手が多かった印象。

DEPenScoreTotal
1.白井健三 SHIRAI Kenzo (JPN)5.58.03313.53328.733
2.MIKULAK Samuel (USA)5.87.56613.36627.366
3.谷川航 TANIGAWA Wataru (JPN)5.86.9330.312.43326.933


#3 つり輪 SR

白井は従来どおりのDスコア5.7。演技をまとめて1位をキープする。谷川は後転中水平(F)を入れた構成をまとめ着地までピタリと決める。

アンドレアス・ブレットシュナイダー(ドイツ)はバブサー(E)やピネダ(D)が入ったユニークな演技を披露。ユデンコフにプロテクターの破損があり再演技が認められた。

DEPenScoreTotal
1.白井健三 SHIRAI Kenzo (JPN)5.78.06613.76642.499
2.谷川航 TANIGAWA Wataru (JPN)6.08.30014.30041.233
3.MIKULAK Samuel (USA)5.58.06613.56640.932


#4 跳馬 VT

白井がしっかりシライ/キム・ヒフン(D:5.6)を決める。アルトゥール・ダラロヤン(ロシア)は白井に劣らぬシライ/キム・ヒフンの使い手だが、今日は惜しくも転倒してしまった。谷川はやや腰が低くなったが見事にブラニク(D:5.6)を決めて大歓声を浴びる。

ミクラックはドリッグス(D:5.2)を、ブレットシュナイダーはローチェ(D:5.2)をピタリと決める。ペインは跳馬も棄権せず前転とび(D:1.6)を跳んでみせた。

DEPenScoreTotal
1.白井健三 SHIRAI Kenzo (JPN)5.69.36614.96657.465
2.谷川航 TANIGAWA Wataru (JPN)5.69.30014.90056.133
3.MIKULAK Samuel (USA)5.29.36614.56655.498


#5 平行棒 PB

白井は従来どおりのDスコア6.0をそつなく通す。谷川は棒下ひねり倒立(E)を入れてここでも難度アップ。倒立で歩く場面もあったが、着地はまたも見事に決めて見せた。

ユデンコフ、ブレットシュナイダー、ミクラックと単棒ヒーリー(E)や棒下ひねり(E)といった難しい技で大きなミスをする選手が相次ぐ。ペインは終末技こそA難度になったが、ピアスキー(D)やコロレフ(D)が入った独特の演技を見せてくれた。

DEPenScoreTotal
1.白井健三 SHIRAI Kenzo (JPN)6.08.46614.46671.931
2.谷川航 TANIGAWA Wataru (JPN)6.28.13314.33370.466
3.MIKULAK Samuel (USA)6.47.70014.10069.598


#6 鉄棒 HB

最終種目はワールドカップルールで順位順の演技となる。鉄棒もアドラー1回ひねりでの振り戻りや手放し技での落下など大きなミスが相次いだ。そんな中ブレットシュナイダーが本家本元ブレットシュナイダーを決め会場を大きく沸かせる。

上位はさすがの実施。ミクラックはコバチ系、トカチェフ系と手放し技を次々と決める。谷川はなんと順手背面車輪を入れて難度を上げてきた。そして最後は白井。落下があればまだまだ分からなくなる状況で持てる技を全て決める素晴らしい演技を見せた。

DEPenScoreTotal
白井健三 SHIRAI Kenzo (JPN)5.98.23314.13386.064
谷川航 TANIGAWA Wataru (JPN)5.88.13313.93384.399
MIKULAK Samuel (USA)6.18.40014.50084.098

この記事へのコメント

  • 初めてコメントいたします。
    いつも楽しく拝見しております。
    さて、テレビ放映ではペインさんの件は一切触れられていませんでしたが、そういう事情だったのですね。怪我をおしても、できる範囲でチャレンジされてたのですね。ペインさんの万全での演技をいつか拝見したく、ご回復をお祈りしたいと思います。
    レポート、ありがとうございました(^ ^)
    2018年04月15日 17:57
  • Ka.Ki.

    いつもご覧いただきありがとうございます。

    テレビはいずれ完全版もあるようですが、とりあえず触れられなかった部分をお伝えできたのであれば幸いです。今大会のペイン選手の頑張りは特筆すべきものがありました。ただ状態によっては無理をしてさらに悪化してしまうこともあるので、手放しに感動ストーリーにはできないものとも感じています。仰るとおり、再び6種目の演技が万全にできるよう回復を祈りたいと思います。
    2018年04月15日 22:23
  • 伸身ローチェ

    ペイン選手のスコアは私もかなり気になっていました。
    2種目合計のスコアで10.0点差以上が付いているのであん馬から棄権だったのかと思ったんですが、スコアは記載され続けていて、さらに点数も加算されている様子だったのでとても不思議にうつりました。
    床でケガしたのは予想できたのですが演技を続行していたんですね。
    せっかくの遠征で演技を見せたい気持ちは強いと思いますが、症状が悪化していないといいですね。
    2018年04月16日 21:36
  • Ka.Ki.

    跳馬や終末技はかなり抑えられており無理のない範囲で演技をしていたとは思うのですが、直接足を使わない部分でも苦しそうなところが見受けられましたし、鉄棒ではピアッティで落下もしていました。万全に回復して、ぜひまた日本で演技をしてもらえるといいなと思います。
    2018年04月17日 21:45