FIG Newsletter #33
FIGのNewsletter #33が発行されましたので、ここで内容をまとめておきたいと思います。なお「⇒」以降は私のコメント(戯言)です。
解釈に間違いがあるかもしれません。競技関係者の方は原本を直接確認するか、日本体操協会の公式な情報をお待ちください。
一般条項 General
● 器械から落下した後、選手が30秒の計時が始まるのを遅らせるため意図的に立ち上がらない(休息、プロテクターの調整、コーチからマグネシウムを受け取る、正当な理由なく競技を遅らせる、など)場合、第2-4条 e)「その他のふさわしくない行為」としD1審判によって決定点から0.3の減点が適用される。
● 第9-2条 9.について「いかなる理由でも難度の認められなかった力静止技からの押し上げ技は、難度が認められない」とあるが、最終的な姿勢は認定することが可能である。
例:
つり輪:II-89「十字懸垂から伸腕伸身中水平支持(2秒)」(E)の十字懸垂が46°逸脱していた場合→II-10「中水平支持」(D)のみ認定
ゆか:I-33「上水平支持(2秒)から伸腕伸身力倒立(2秒)」(C)の上水平支持の静止がなかった場合→I-19「倒立」(A)のみ認定
あん馬 PH
● リ・ニン系の交差倒立技で、片手が把手から下りて再び把手に戻り、もう一度片手が把手から下りた場合、両手が把手から下りた場合と同じ扱い、つまり、難度不認定となり、E審判により0.5(演技停止)または1.0(落下した場合)+他の実施減点となる。
● Newsletter #32の訂正
訂正前:選手が両手で反対の馬端に達したとき、移動は完了したものとみなされ次の技に入ることができる(ロシアン360°転向、720°転向など)。
訂正後:選手が720°転向して両手で反対の馬端に達したとき、移動は完了したものとみなされ次の技に入ることができる(ロシアン360°転向、720°転向など)。
⇒これだけだと何のことか分からないかもしれませんが、III-83「ウ・グォニアン」についての通達です。
つり輪 SR
● ジュニア選手はリ・ニン系の技が禁止されているため、「ケキ」は実施することができるが、「ショラニー」は実施できない。
⇒2017年のルール改訂でケキとショラニーが同一枠(I-8)になりましたが、その枠にジュニア禁止のマークが付いていたための通達です。なお、国内におけるジュニアの禁止技については各連盟の通達によりますのでご注意ください。
● 第12-2条-2 m)「演技には一つの振動倒立技(2秒)が必要であり、カウントする10技(ジュニアは8技)に入っていなければならない」について以下の5技だけがこの要求を満たすことができる。
・I-81「後方車輪倒立(2秒)/ほん転逆上がり倒立(2秒)」
・I-87「前方車輪倒立(2秒)/後ろ振り上がり倒立(2秒)」
・I-92「支持後ろ振り倒立(2秒)」
・I-93「ホンマ支持後ろ振り倒立(2秒)」
・I-94「伸身ホンマ支持後ろ振り倒立(2秒)」
⇒I-80「後方け上がり倒立(2秒)/後方伸身支持回転倒立(2秒)」も旧グループIIの振動倒立技でしたが、この技では要求は満たせないのでしょうか。
平行棒 PB
● 一演技でIII-123「ギャニオン」とIII-124「ギャニオン2」を実施することはできない。第14-2条-2 4.a)の宙返り技に関する特別な繰り返しが適用される。
鉄棒 HB
● I-27「ツォウ・リミン」は片逆手または逆手で実施することができる。表記を「前方車輪1回ひねり片手大逆手後ろ振り上がり1回ひねり」とする。
⇒これまでは表記の最後に「逆手倒立」が付いてしました。以前から気になっていた部分でしたが、これですっきりすることになります。
今回のNewsletterでは新技の申請と命名についても詳しい通達がなされています。実はその内容は2017年11月6日付で発行された女子のNewsletter#42で通達されたものとほぼ同じです。つまり、これまで男女で差異があった新技申請と命名に関するルールが統一されたということのようです。
そしてすでに2018年1月11日付で『女子体操競技情報26号』が発行されており国内でも内容が通達されていますので、ここではこれを引用するかたちで掲載しておきます。
● 新技の申請について
・新技は大会要項で定められた日時に遅れることなく提出しなければならない。
・評価の申請をするには、技術の図と USBメモリスティックに入ったビデオが添付されていなければならない。
・その競技会で与えられたすべての評価は、FIG技術委員会の承認を得るまでは暫定的な価値となる。
・オリンピックの資格取得となる競技会で実施される新しい技は、それぞれの競技会で評価をする前に、FIG技術委員長に暫定的な価値の確認を必要とする。
・その競技会での評価は、できるだけ早く関連する連盟及び各競技会の前に行われる審判会議または打ち合わせにおいて審判員に向けて書面にて通達される。
・その決定は、当該競技会のみ有効である。
・新技は、選手の実施が成功した時のみ、それぞれの技術委員によって提出され、確認された後に初めてニュースレターまたは採点規則の更新に掲載される。
● 新技の命名について
・FIG公式競技会グループ1、2または3の競技会(FIG公認の競技部長の参加があってもなくても)において、またはFIG公認競技部長の参加があるFIG公式競技会グループ4の競技会において国際的に初めての実施であること。
・C難度またはそれ以上の価値のある実施であること
・難度価値と名前は、技術委員会が実施の分析をした時のみ承認される。
・もし、同じ競技会で同じ新技を二人以上の選手が実施した場合、その新技にはすべての選手の名をとって名付けられる。
・選手の連盟には、その競技会終了後できるだけ早く申請された新技のビデオを FIG 技術委員長に提出する義務がある。
・その上、その競技会の競技部長は、公式のビデオと(可能であれば)コーチから提出されたビデオの原物と技術の図、その競技会で与えた暫定的な評価についてのすべての詳細をできるだけ早く FIG 技術委員長へ提出しなければならない。
新しく名前が付いた技が掲載されていますが、これまで紹介した以下の記事と同じですので省略します。
・新しく名前が付いた技(2017年12月)
1つの技に遡って名前が付けられています。
あん馬 PH
ベルトンチェリ 発表者:BERTONCELJ Saso (SLO)
・一腕上上向き270°転向(横向き~縦向き)
・C難度(グループII)
・2010年世界選手権・ロッテルダム大会で発表

いわゆる270°ショーン。動画ではショーン(E)の後に実施しています。また微妙な技に名前が付きました。
この記事へのコメント
tuku
Ka.Ki.