Deducted Move on PB
振動技を有する種目において、無価値な振り下ろしやダブルスイングが減点となるのは周知のことだと思います。特に平行棒においては、採点規則で
単純な方向転換や懸垂や支持への振り下ろしのような、無価値な腕支持や支持での後ろ振りは減点対象となる。
と規定されており、演技構成上減点の対象となる動きが列挙されています。どのような動きなのか、いずれもかつては認められていた動きであるため、実際の動画も確認しながら見ていきたいと思います。
腕支持後ろ振りから懸垂に下ろしてけ上がり
Back swing in upper arm hang, layaway to glide kip.
1993年の演技で、この頃しばしば見られた動き。このような動きが認められなくなったことも、腕支持後ろ振りで受ける宙返り技の実施が減った原因と思われる。
支持後ろ振りから腕支持に下ろして前振り上がり
Back swing in support, layaway to front uprise.
かなり古い映像。そもそもその前の支持前振りからの後ろ振りなど現在では減点になる動きが多く見られる。
支持後ろ振りから下ろして懸垂
Back swing in support, layaway to hang.
1987年の演技。その後のルール改訂ですぐに認められなくなったようで、1989年以降の同選手の動画を確認すると静止技を挟んでから懸垂に下ろすようになっている。
腕支持へのけ上がり、またはけ上がり瞬時支持から下ろして腕支持
Glide kip to upper arm hang or to momentary support and lay back to upper arm hang.
腕支持へのけ上がり。現在は棒下振り出し腕支持に取って替わられた動きと言える。
こちらはけ上がり瞬時支持から下ろして腕支持の動き。
倒立から前に下ろし、腕支持前方ローリング
From handstand, lower to shoulder roll forward.
2001-2004年ルールの頃は、この動きから後ろ振り上がり倒立やカットを実施してグループIIの要求を取る構成が多く見られた。
いずれも現在では減点対象となるためまず見られない動きですが、全くないというわけではありません。FIGの予選動画などを見ていると、これらの動きで減点を受けていると思われる演技を目にすることがあり、注意が必要です。
2015年世界選手権・グラスゴー大会より。支持後ろ振りから腕支持に下ろして前振り上がりの動きが見られます。
こちらは2016年プレオリンピック。腕支持へのけ上がりで演技を開始しています。
この記事へのコメント
alchemist
時間がだいぶ経過してからで申し訳ありません(コメントという
よりこの話題とあまり関係していないご質問となります)。
平行棒の降り技は、昨今、難度的に前方系が流行っており、その技は、
ダブルスイングを避ける形で倒立からアーム支持を経由して実施される
ことがほとんどですが、逆に、倒立から腕を伸ばしけ上がりから実施
している選手はおられるのでしょうか?
Sylvio Kroll 選手の倒立から腕を伸ばしけ上がり:
https://www.youtube.com/watch?v=mT6FWH3lUzA
器具に対して体を大きく動かすため、非常にダイナミックで見栄えの
する技捌きのように見えるのですが。
終盤の技で実施することや振動が大きく降り技をコントロールしにく
いという観点から、肘を曲げない捌き方からの降り技は加点や新技と
して対象になりえるのでしょうか?
K
Ka.Ki.
け上がり支持から前方系の下り技ということであれば、見たことがないです。
モイからの前方ダブルひねり下りであれば前野風哉選手がやっていますね。雄大で切れのある実施を見せていると思います。また、かつてはヒーリーから直接前方ダブル下りをした選手もいました。
前振り上がり以外からの終末技に加点を与えることは個人的にはどうかと思いますが、平行棒にかつてのような組合せ加点が復活するのであれば、一定の難度以上の組合せということならありかなとも思います。