内村航平 - 2017年世界選手権:予選の演技

UCHIMURA Kohei (JPN)
2017 Worlds Montreal (CAN) QF AA


2017年世界選手権・モントリオール大会、内村航平の予選の演技です。7連覇を目指すキングにまさかの展開が待っていました。

20171003_01.jpg

#1 つり輪 SR

1.後ろ振り上がり中水平支持Back Uprise to MalteseEIII
2.中水平支持MalteseDII
3.アザリアンBack Roll to CrossDII
4.後ろ振り上がり倒立Back Uprise to HdstCI
5.屈身ヤマワキYamawaki PkDI
6.ヤマワキYamawakiCI
7.ホンマ十字懸垂Whippet to CrossDIII
8.ほん転逆上がり倒立Felge to HdstCI
9.後方車輪倒立経過Back Giant thru HdstBI
10.後方かかえ込み2回宙返り2回ひねり下りDouble Back 2/1EIV

D:5.7
E:8.300
Score:14.000

日本の予選は第3班つり輪からのスタート。構成はいつものDスコア5.7を持ってきた。演技前にずいぶん待たされたようだが、無難に通して着地もわずかな跳ねに留める。


#2 跳馬 VT

DEPenScore
リ・シャオペンRO 1/2 Hdsp Front Lay 5/25.89.36615.166

跳馬はやはりリ・シャオペン。やや低めの跳越になったが着地までまとめた。かに見えたが、ここで左足首を痛めてしまう。足を引きずりながらポディウムを下り、この後の演技が心配される。


#3 平行棒 PB

1.マクーツMakutsEI
2.ヒーリーHealyDI
3.棒下宙返りひねり倒立Basket 1/2 to HdstEIII
4.棒下宙返り倒立Basket to HdstDIII
5.ベーレBelleDIII
6.ハラダFront Uprise Back Toss 1/2DII
7.モリスエMorisueDI
8.懸垂前振り後方かかえ込み宙返りひねり腕支持Giant Back Toss 1/2DIII
9.前方開脚5/4宙返り腕支持5/4 Front StrdDI
10.後方屈身2回宙返り下りDouble Back PkDIV

D:6.2
E:7.833
Score:14.033

足の痛みを堪えながら平行棒に登場。果敢にも構成を昨年並みに戻して挑むが、最初のマクーツで停滞、その後の振り上がりでも肘曲がりなど、随所に影響が出てしまう。着地も足の痛みに耐えきれず乱れてしまった。

この後、鉄棒の演技を棄権。日本体操協会公式ブログによれば「あん馬の演技だけでもできるかどうか可能性を模索しながら調整したが、回復できなかったのであん馬の棄権を決めた」とのことで、結局3種目のみの演技となった。



内村の世界選手権連覇や個人総合の連勝記録は、誰もが予想だにしないかたちで終わりを迎えることになりました。跳馬で痛めた足のダメージはかなり深刻なものに見えましたが、それでも平行棒の演技に臨んだあたりには内村らしさを大いに感じました。しかしさすがにそれ以上の演技に向かうことは叶いませんでした。

ポディウムトレーニングではゆかでDスコア6.0、あん馬でも6.0の構成を練習していました。つり輪はいつもの5.7の構成にしたものの、平行棒は今シーズン初めて昨年並みの構成に戻し、ベーレなら6.2、屈身ベーレ(E)なら6.3という構成を持ってきました。合計Dスコアは36.0~36.1という高水準を予定していたことになり、オレグ・ベルニャイエフ(ウクライナ)やマンリケ・ラルドゥエ(キューバ)との息詰まる熱戦が期待されただけに、今回の負傷棄権は本当に残念な結果となりました。

今はとにかくゆっくりと休んで怪我がよくなってほしいとしか言いようがありません。そしてまたポディウムに戻ってきて、その美しい演技を私たちに見せてくれることを信じています。どうぞお大事に…。

この記事へのコメント

  • マイコ

    ご本人も言われていた通り
    そうぞうをぜつ
    2017年10月04日 00:17
  • マイコ

    すみません、中途半端に投稿してしまいました。
    想像を絶するレベルの重荷が双肩にかかっていたと思います。
    今はただただお疲れ様でした、と。
    2017年10月04日 00:23
  • 体操大好き人間

    今まで大きな怪我もなく大会に合わせて万全の態勢で
    望んで来られてきていましたから、一番悔しいのは本人の内村選手。
    ただ、ゆっくり休んで頂きたいですね。
    お大事にされて下さい。
    2017年10月04日 08:14
  • Ka.Ki.

    >マイコさん
    いえいえ、投稿された方が削除できないこのサイトのシステムはいまいちですね。

    本当にまずはお疲れさまでしたと申し上げたいですね。公式ブログによれば「全治2、3週間」「当初の予定通り、選手団と行動と共にする」ということで、まずはホッとしています。
    2017年10月04日 21:29
  • Ka.Ki.

    >体操大好き人間さん
    内村選手は体操選手には付き物の大怪我も少ない選手でしたね。思えば2011年の世界選手権の2か月前に捻挫したときのほうが重傷だったかもしれません(当時、全治3週間から1か月との報道)。この時は世界選手権3連覇を果たしたわけですが、今回は大会中の負傷ですし、どうしようもなかったところですね。少し肩の荷が下りたところもあるでしょうし、復活してまた私たちに美しい演技を見せてほしいと思います。
    2017年10月04日 21:41
  • 太一

    本当にまさか…でしたね。
    普通あのような怪我は転倒を伴うような大きな動きの狂いがありますよね。
    しかし内村選手はリシャオペンを着地までまとめていました。

    改めて思うに、タイミングがブレて多少高さが 無くても「体を操り」きって演技をまとめてしまう感覚は超人的ですね。

    今まで9年間もの間負けなかった必然がそこにあるように思えます。

    今回生身の足だけが悲鳴をあげてしまったということでしょうか。

    男子体操競技の歴史の中で、五輪連覇をしてもその間の世界選手権も制した選手権はおらず、つまり4年間でさえ勝ち続けた例がありませんでした。

    7連覇はかないませんでしたが、彼の五輪含めた「8連覇」は空前で絶後に違いない偉大な記録だと思います。

    本人は再起を明言していますし、またあの華麗な技を観られることを楽しみにしています。
    2017年10月07日 11:22
  • 太一

    誤りがあったので、訂正します。
    男子で4年間個人総合で無敗の選手はいました。
    ソ連のV.チュカリンが52ヘルシンキ五輪、54ローマ世界、56メルボルン五輪で優勝し「3連覇」をしています。

    当時とは世界選手権開催サイクルが違い、スペシャリストが活躍出来る現代とは背景のちがいはありますが、内村選手の実績の輝かしさは曇るものではないですね。

    連投失礼しました。
    2017年10月07日 11:36
  • まーよ

    いつもブログありがとうございます。
    今回世界選手権を観ていて、「ここに内村選手がいてくれればな。内村選手の演技が見たいな」と思ってしまいました。

    オレグベルニャエフ選手とマンリケ選手が優勝候補でしたし、ベルヤフスキー選手は落下しなければ金メダルでしたね。
    勝つと思われている中で勝つ事がどれ程大変か。勝ち続ける事がどれ程大変か。
    6種目通して平静を保つ事は難しい事なのだなと感じ、内村選手は凄い選手だと改めて思いました。
    怪我での棄権は本当に残念でしたが、この悔しさが刺激となりモチベーションとなり、また頂上に立ってくれる事を期待したいと思っています。

    ちなみに今回の新ルールでの採点はどう思われましたか?今までとの違いはあったのでしょうか。出来ればka.kiさんのご意見を伺いたいです。
    2017年10月07日 18:07
  • Ka.Ki.

    >太一さん
    あのリ・シャオペンはどう見ても成功ですからね。Eスコア9.366ですし。一方、そんな風に着地を決めても、ほんのわずかなずれや何かで大きな怪我につながることもある。怪我とは常に紙一重という体操競技の厳しさをあらためて思い知らされました。

    オリンピックと世界選手権合わせて8連覇。個人総合でも種目別でも、こんな記録は出ないでしょうね。
    2017年10月07日 23:35
  • Ka.Ki.

    >まーよさん
    こちらこそ、いつもご覧いただきありがとうございます。

    5種目を終えてトップだったベルヤフスキー選手は本当に惜しかったですね。獲らせてあげたかったと思います。内村選手の精神力、集中力の凄さにもあらためて気づかされましたね。

    Eスコアは詳しく分析しているわけではありませんが、それほど極端な違いはないかなという印象です。ルール改訂でEスコアが厳しくなったと言われますが、変更点として明文化されたものは、あん馬の旋回の大きさや、鉄棒の膝のゆるみくらいです。シーズン当初、かなり厳しい出方もありましたが、基本的には運用の範疇だったと思っています。
    2017年10月07日 23:55