着地における減点について

Deductions for Landings


体操競技においてピタリと決まると何より盛り上がるのが着地です。空前絶後の世界チャンピオンである内村航平が人一倍着地にこだわりを持っていることは今更言うまでもありませんし、近年は1996年世代である谷川航の精度の高い着地が注目されています。

今回はこの着地について、具体的にどんな着地にどのような減点が課されるのか採点規則を確認しておきたいと思います。



採点規則には着地について次のように記されています。

正しい着地とは、偶然の結果により収められたものではなく、準備がなされた実施である。選手は技を十分に習得し、着地の前に回転力を抑え、体を伸ばして着地できる優れた技術によって演じるべきである。

このように、着地はただ止まればいいというものではありません。着地の先取りなどとよくいわれるように、準備局面が見られずただ偶然に止まっただけの着地では減点を免れません。手を回すのももちろん減点です。

着地に関する減点については採点規則において以下のようにまとめられています。

小欠点
0.1
中欠点
0.3
大欠点
0.5
着地で脚を開く肩幅以下肩幅を超える
着地でぐらつく、小さく足をずらす、手を回す+
転倒や手の支えのない不安定な着地
(歩く、とぶに対して最大1.0)
安定感に欠ける、小さくとぶ、1歩動く
(1歩につき0.1)
大きく1歩、大きくとぶ、片手、両手がゆかに触れる
着地で転倒する、または片手、両手で支える1.0
足からの着地がみられない1.0
難度不認定(D審判)
体を伸ばす準備のない着地+

着地での転倒は、落下と同じく1.0の減点となります。手がゆかに触れる程度なら中欠点で済みますが、体を支えるような手の突き方と見なされた場合は転倒と判定されます。転倒の減点は最大で1.0であり、何歩か歩いて転倒した場合なども減点は1.0です。ただし、高さ不足、準備不足、ひねり不足などの減点は別途適用されます。

脚の開きは肩幅以下でも0.1の減点とありますが、何がなんでもぴったりとくっついていなければ減点になるというわけではありません。安全上の理由により2014年から以下のようなルールが別途定められています。

実施
(とぶ、歩く、手を回すことなしで)
判定
着地で開いた足が肩幅以内で、つま先を浮かさず踵を揃える減点なし
着地で開いた足が肩幅以内で、脚を上げて踵を揃える
または踵を揃えない
0.1
着地で開いた足が肩幅を超えて、脚を上げて踵を揃える
または踵を揃えない
0.3

このルールが意識されている実施としてユル・モルダウアー(アメリカ)の演技を挙げておきます。完璧な着地ばかりではありませんが、つま先を浮かさず踵を揃えられるときはしっかりと揃えています。元々きびきびとした所作が好感の選手。お気に入りのゆかの演技です。

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