Theoretically Most Hardest Routine
2017年版採点規則において理論上最高のDスコアになる演技構成を考えてみました。
旧サイトでも記事にした企画。どの種目も無茶苦茶な構成であり、特に組合せ加点のあるゆかや鉄棒はありえないような連続ばかりです。しかし、このような検討はルールの勉強には打って付けだと思いますし、もしかしたら本当にDスコア向上につながる発想が潜んでいるかもしれません。
Dスコアの算出方法についてはリンク先の記事を参照してください。※は構成上、必須の技ではなく入れ替え可能な技が存在しますので一例とお考えください。
1. ゆか FX
1. | 後方伸身2回宙返り3回ひねり(シライ3) | H | III | |
---|---|---|---|---|
2. | 後方かかえ込み2回宙返り3回ひねり(リ・ジョンソン) | G | III | |
3. | 後方伸身2回宙返り5/2ひねり | G | III | |
4. | ~前方伸身宙返り3回ひねり(シライ2)※ | F | II | (CV:0.2) |
5. | 後方かかえ込み2回宙返り5/2ひねり※ | F | III | |
6. | ~前方伸身宙返り7/2ひねり(ゴシマ) | G | II | (CV:0.2) |
7. | 前方かかえ込み2回宙返り1回ひねり※ | F | II | |
8. | ~前方かかえ込み2回宙返り3/2ひねり(サパタ) | G | II | |
9. | マンナから伸腕屈身力倒立※ | D | I | |
10. | 後方かかえ込み3回宙返り(リューキン) | H | III |
D:9.0!
相変わらず無茶な組合せばかりではあります。2017年のルール改訂により組合せ加点の適用が2回までとなったため構成は10技で収まるようになりました。タンブリングも一応6本にしています。F難度技とグループIのD難度技は入れ替え可能な技がいくつかあります。
2. あん馬 PH
1. | 正交差とび横移動ひねり逆交差入れ(馬端~馬端)(ミクラック) | D | I | |
---|---|---|---|---|
2. | DSA直接背面とび横移動倒立3/3移動1回ひねり下ろして旋回 | G | II | |
3. | DSA倒立3/3移動1回ひねり下ろして旋回(ブスナリ)※ | F | II | |
4. | Gコンバイン | G | II | |
5. | Fフロップ(開脚4フロップ) | F | II | |
6. | 両把手を挟んで横向き旋回1回ひねり(ケイハ) | F | II | |
7. | 開脚マジャール※ | E | III | |
8. | 開脚シバド※ | E | III | |
9. | 背面とび横移動(馬端馬背~馬端馬背)(ヤマワキ)※ | E | III | |
10. | DSA直接背面とび横移動倒立450°ひねり3/3移動下り | F | IV |
D:7.7!
高難度の旋回倒立技を2技入れるためグループIはセア倒立ではなくミクラックを用いることになります。ブスナリは、例えばDSA直接背面とび横移動倒立1回ひねり下ろして旋回(F)などと入れ替え可能です。グループIIIのE難度技も入れ替え可能な技が多くあります。
3. つり輪 SR
1. | 懸垂から伸腕伸身十字倒立(バランディン2)※ | F | II | |
---|---|---|---|---|
2. | 伸腕伸身逆上がり十字懸垂経過上向き中水平支持(タロック)※ | F | II | |
3. | 前振り上がり上向き中水平支持(ロドリゲス)※ | F | III | |
4. | 伸身グチョギー(オニール) | E | I | |
5. | 後方伸腕伸身逆上がり中水平支持 | F | II | |
6. | 背面水平懸垂から引き上げ上水平支持(ザネッティ) | F | II | |
7. | 伸身ホンマ支持後ろ振り倒立 | D | I | |
8. | 後ろ振り上がり中水平支持※ | E | III | |
9. | 輪の高さで前方宙返り直接脚上挙十字懸垂(タナカ)※ | E | III | |
10. | 後方屈身3回宙返り下り(ウィッテンバーグ) | H | IV |
D:7.7!
上向き中水平を入れることは必須であり、十字倒立や上水平でF難度が取れる技を用いることがポイントになります。表にはありませんがザネッティの前には背面水平懸垂(A)が入ります。伸身ホンマ倒立だけでもグループIと振動倒立技の要求は満たせますが、力技の連続をリセットするためオニールも必須となります。
4. 跳馬 VT
跳馬は現在、D:6.0の最高難度技が5つあります。
・前転とび前方屈身2回宙返りひねり(リ・セグァン2)
・前転とび前方伸身宙返り3回ひねり(ヤン・ハクソン)
・伸身カサマツ5/2ひねり
・ツカハラ後方かかえ込み宙返り1回ひねり(リ・セグァン)
・伸身ユルチェンコ7/2ひねり(シライ2)
種目別ではこれらから2本を揃えてくることが現在のところ最高の構成となります。
5. 平行棒 PB
1. | 棒下宙返り3/4ひねり単棒倒立経過、軸手を換えて3/4ひねり支持(ヤマムロ) | G | III | |
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2. | 棒下宙返り片腕支持5/4ひねり単棒倒立(チョウ・シーション) | G | III | |
3. | 懸垂前振り後方かかえ込み2回宙返り1回ひねり腕支持(キンテロ) | G | III | |
4. | 懸垂前振りひねり前方2回宙返り腕支持(タナカ) | F | III | |
5. | 懸垂前振り片腕支持3/4ひねり単棒倒立経過、軸手を換えて3/4ひねり支持(バウマン) | F | III | |
6. | 前振り上がり片腕支持3/4ひねり単棒倒立経過、軸手を換えて3/4ひねり支持(ツォラキディス) | G | II | |
7. | 前振り上がり片腕支持5/4ひねり単棒倒立経過、1/4ひねり倒立(ツォラキディス2) | F | II | |
8. | 前振り上がり後方屈身2回宙返り腕支持(リ・シャオペン) | F | II | |
9. | 前振り片腕支持5/4ひねり単棒倒立経過、軸手を換えて5/4ひねり支持(ゾンダーランド) | F | I | |
10. | 後方かかえ込み2回宙返り1回ひねり下り(カトウ・ヒロユキ)※ | G | IV |
D:8.5!
棒下宙返り倒立技は2技までの制限ができたため、ヤマムロとチョウ・シーションを入れるとテン・ハイビン(F)は使えません。従って用いることのできるF難度以上の技は9技となり、中技は全て必須技になります。終末技は前方屈身2回宙返りひねり下りやラルドゥエでもOKです。
6. 鉄棒 HB
1. | 伸身ピアッティ1回ひねり(スアレス)※ | G | II | |
---|---|---|---|---|
2. | ~伸身ブレットシュナイダー | I | II | (CV:0.2) |
3. | ~コバチ2回ひねり(ブレットシュナイダー) | H | II | (CV:0.2) |
4. | ~伸身コバチ1回ひねり(カッシーナ)※ | G | II | (CV:0.2) |
5. | ~コバチ3/2ひねり片逆手(シャハム) | G | II | (CV:0.2) |
6. | 後方とび車輪3/2ひねり大逆手(リバルコ)※ | D | I | |
7. | 前方浮腰回転開脚抜き1回ひねり大逆手(キンテロ大逆手) | E | III | |
8. | アドラー1回ひねり逆手 | E | III | |
9. | シュタルダーとび3/2ひねり大逆手 | E | III | |
10. | 後方かかえ込み3回宙返り1回ひねり下り(ベーレ)※ | G | IV |
D:9.2!
2017年のルール改訂で、鉄棒の組合せ加点はトップ10技に入っている必要はなくなりましたが、10技に限らないといくらでも手放し技を連続できてしまうため、ここでは10技で検討することにします。また、手放し技からピアッティ系の手放し技には連続できないものとしました。スアレスやカッシーナは、同じG難度のマラスや伸身イエーガー2回ひねりと入れ替え可能ですが、車輪の方向の関係でシャハムだけは必須になります。
Total D:48.1!
もっと高い演技構成がある、ルールに抵触している、計算がおかしい、などお気づきの点があればご指摘いただけると幸いです。
この記事へのコメント
r
伸身ローチェ
確かに私もそう思いますが、この記事が掲載された当時はコウディノフは発表されておらず採点規則にも載っていなかったのです。記事の先頭に「2017年版採点規則において」とあるように採点規則にない技は入れないという方針だったかと思います。例えば鉄棒の2番目の技には「伸身ブレットシュナイダー」とだけあり「ミヤチ」との注釈はありません。2016年にブレットシュナイダー選手により申請されI難度となりましたが実施は失敗で名前がついていなかったのです。
コウディノフがある今のルールで考えるなら「コウディノフ~マラス~ミヤチ」としてシャハムが必要ないのは同意見です。